連日鬼のように設計に熱中していたある日の午後、突然妻から電話が入って、「田中さんちのバラがすごいことになってるから撮影に行って!」と。

そりゃあそうでしょう。田中さんちが庭を楽しみまくっていることは百も承知で、奥様がセンス抜群で、バラに夢中なことも千も承知ですから。そして今の時期なら、そりゃあ見事に花いっぱいになっていることはぼくにも想像がつきますよ。
でも、わざわざ妻が電話してくるということは、・・・その想像を超える咲き方をしているのかもしれない。

すぐに仕事を切り上げて、カメラを持って田中さんちに向かいました。天候が不安定で、西の空に豪雨を予感させる黒い雲が迫っていたからです。

家の前にクルマを停めた時点で、妻が電話してきた気持ちがわかりました。庭の花は、ぼくの想像を超えていました。

まず最初に、ガーデンリフォームが完了した3年半前の写真をご覧いただきます。

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これがスタートで、それから3年半でどんな進化をしたのか、その3年半の時間もイメージしながらご覧ください。

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庭で、「バラの妖精」のような風情を漂わせながら手入れをしていた奥様に、「凄いですねえー!」と。その先の言葉が出て来ないままに撮影を開始しました。そのひと言以外に、言葉はありませんでした。

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花に酔うってこういうことなんですよねえ。
それは花の量の多さに酔うんじゃなくて、それを植えて育てた人の時間と思いに酔いしれるのです。

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情熱と言ってしまえばそうなんですけど、花を咲かせるための情熱というのはとても静かなものです。
ボーッと燃え上がる炎じゃなくて、微かに揺れながら灯る小さな炎。それがいつまでも消えない、そういう種類の情熱が、庭を花でいっぱいにします。

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奥様は、3年半前の時点で、漠然と、こうなることをイメージしていたに違いありません。
ぼくにはここまでのイメージはありませんでした。
きっと奥様以外の誰も、これだけの花を咲かせるイメージを持っていなかったと思うのです。

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イメージできないことは実現しませんからね。それと、イメージし続けることも必要。
いつも穏やかで笑顔が絶えることのない奥様の、並外れた想像力と、不滅の灯明のような情熱が、この庭を生み出しました。

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凄いなあ。
3年半、ワクワクしながら庭を楽しんだということは、庭だけじゃなくて、暮らし全般にワクワクした気持があったということですから。
庭ってそうなんです。

庭を楽しむ人は、暮らしを楽しめる人。

奥様にとって、充実の時間だったに違いありませんし、奥様がそうだったということは・・・、ぼくはご主人がうらやましくなりました。「男の幸せは、女房の上機嫌の上にしか築くことができない」という名言がありますから。
この名言、誰の言葉かというと、ぼくなんですけどね。

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暮らしを楽しみまくるにはそれ相応のエネルギーが必要です。

エネルギー値が高い人の庭は花がいっぱい。

その人たちがなぜ高エネルギーで暮らせるのかというと、常に発電しているからなんです。自家発電でいつもフルチャージです。
そして、その発電装置が庭。庭を楽しむ暮らしをしている人は、発電しながら暮らしているってことです。

田中さんちの庭でバラの香りに包まれながら撮影をして、ぼくは目が覚める思いでした。
目が覚める思いということは、それまで寝ていたということ。
ぼくは寝ていました。毎日忙しく働いていて、それで起きていたかというとそうじゃなかったと気付きました。
そう、ぼくは寝ていました。起きているなら、もっと毎日を楽しく、情熱を持って楽しく、明日終わろうとも悔いなきほど楽しく、そういうふうにイメージして、そのように過ごすはずだと。

これ、時々感じるんですね。起きているようでも、忙しいようでも、それが命が躍動するような、破顔一笑!笑顔が炸裂するような時間ではないという状態は寝ていることに等しいと。ストレス溜め込んで不機嫌な顔でいるとか、疲れた疲れたって言って、へたってばかりいるとか。
何日も何日も、人によっては何年も、そうやって寝続けた人生を送っていますからね。・・・ぼくはそういうのはいやです。せっかく生まれてきたんですから、思いっきり楽しみつくさなきゃバチが当たりますよ。

いやあ、妻の電話のおかげで、田中さんちの奥様の情熱のおかげで、寝ていたことに気がつけた、ありがたい日でした。

さきほどご来店くださったお客様から「どうすれば時間が経つほどに魅力を増す庭にできるんですか?」という質問をいただきました。
ぼくは、目隠しや庭に出やすいことなど、よく考えられた理に叶った庭の構成とか、ワクワクできるまでイメージしてから着手するとか、そういうことを話しました。
これをお読みくださっているかもしれませんので、追加でもうひとつ。

時間が経つほど魅力を増す庭を実現するために必要なのは、時間が経つほど魅力を増すあなたです。

人も庭も、進化をし続けると、輝きは増していくものなんですよ。
そうありたいものですね。