雑誌の取材で、以前このブログでご紹介した松下さんちに行ってきました。
取材のテーマは「シェードガーデン」です。

松下さんちを施工したのは5年前。そのときのプラン図とビフォー・アフターをご覧ください。

14edc4fc

Before
40532171

After
4d70ba82

縁側がある雑木の庭です。

a5296b80

その奥に、イス・テーブルを置いて庭でのお茶や食事を楽しめるスペースがあります。

39b962c5

施工から5年が経過した今回の取材です。
5年という時間で、庭がどう変化したのかが楽しみでした。

庭は予想以上に緑濃くなっていました。

DSC_1573

すごいでしょうこの変化。
しっかりと成長した樹木から一斉に吹き出した葉っぱで、庭にフレッシュな空気が満ちていました。

木や草花の成長が、庭にパワーを生み出します。
雑木の庭は、その木々の生命力を、シャワーのように浴びることができます。

それぞれの木が健康で、樹形も整いつつ大きくなっていることから、この庭に注がれてきた愛情を感じました。

DSC_1586

設計をするときに、「木が多いと大変だからできるだけ少なくしたいし、なるべく大きくならない木がいい」というご要望も多いんですけど、この庭に居ると、まったく逆のことを思います。

できるだけたくさんの木に囲まれて、それが鬱蒼と茂っている庭がいいなあ。

ぼくの理想は、北向きの天井が高いアトリエの外にある、落葉常緑入り交じった雑木林の庭。
ひときわ大きな木の下に昼寝ができるベンチと囲炉裏があって、春夏秋冬、朝から晩までそこで過ごすような、雑木林で暮らしているような庭です。
そしてその、薄暗く茂った、精霊かなにかが住んでいそうな林を抜けると、パーッと視界が開けて、そこから相模湾が見下ろせる。これがぼくの妄想の庭です。

毎日、けっこう明るいイメージの庭を設計しながら、自分としては薄暗くてこもった場所に魅力を感じていくことの不思議。作用・反作用みたいなことかもしれません。

DSC_1575

木漏れ日が心地いい雑木の庭。

DSC_1581

例えば広々とした芝生の庭でも、こういう木漏れ日を感じる場所や、周囲から隠れて過ごす場所が必要だと思っています。

人は草原のシマウマではなくて、森のサルなのです。隠れていると落ち着くようにできています。

DSC_1582

いい感じでしょう、この葉っぱの影。

DSC_1585

揺れる木漏れ日に心安らぐって、やっぱり森のサルですよね。
サルでよかったーと思いますよ。ほんとに気持ちいい。

DSC_1583

雑木の庭というと、とかく「眺める庭」と捉えられがちです。雑木類を植えて、風景に雑木があれば「雑木の庭」みたいな感じで、一時期ちょっとしたブームになったものです。
でも、そうじゃないんです。雑木を感じながら、雑木林にこもった感じで過ごすことで、はじめてその雑木を味わえる。

サルがサルとして、健全に暮らすために必要な、木々に囲まれて過ごす庭こそが、雑木の庭なのです。

・・・とぼくは思うんですけど。

DSC_1584

まあいいですよね、ぼくの雑木の庭論などは。
それよりも、今回とても強く感じたことは、時間の経過で増した庭の魅力でした。
どの庭もそうなるかというとそんなことはなくて、世の中の庭の多くはその逆の道をたどっています。
思い当たりますよね、そういう庭。たくさんあるでしょ、時間とともに色あせていく庭。

成長しない庭は、時間とともに色あせていきます。

この場合の成長とは、木や草葉のことではありません。庭そのものが成長するかどうかということです。
植物じゃなくて庭が成長するってピンとこないかもしれませんが、確かに起こっておることです。人と同じく、庭自体が人格を持っているかのように成長します。

成長する庭と、成長しないで色あせていく庭の違いって、つまり、庭が生きているかどうかってことです。生きている庭は成長します。元気に生きている庭は、元気にすくすくと成長します。

そして、庭が成長するために必要なことは、それを育てる人です。人抜きに、庭の成長は有り得ません。
放ったらかしだったら、木は成長するかもしれませんが、庭は成長しないですよね。でしょ、わかりますよね。だから、木じゃなくて、庭自体の成長という捉え方ができるのです。

DSC_1577

庭に命を吹き込むのは、その庭を育てる人の存在。

ではどんな人が庭を育てられるのか。
さあ、ここが大事なところです。どういう人が庭に命を吹き込んで育てていくことができるのか。いいですか、いきますよ。

日々成長している人が、庭を育てられる人。

これなんですよ、これ。
庭を楽しみながら自分自身が成長していける人の庭は、時間とともに育つのです。
つまり庭と人が、お互いを成長させ合っているということ。

庭が育つと人も育つ。人が育つと庭も育つ。
あなたが輝くと、庭も輝き出します。

DSC_1591

どうよ!いい話でしょう。
こんなふうに庭を捉えると、庭って、暮らしに欠かせない場所になりますよね。幸せを実現しながら、よりよく生きるために必要な場所、庭。

DSC_1592

5年ぶりに訪れた庭で、その成長ぶりがうれしくて、おかげで庭の魅力がまたひとつハッキリしました。

ある人にとっては、なくても別に困らなかったり、ストレスの元でしかない庭が、幸せに向かって成長し続ける人にとっては、暮らしに欠かせない、なくてはならない重要な場所になるのです。

どうでしょう、あなたの庭は、すくすくと育っているでしょうか。