土間コンクリートは1台分、それもタイヤが乗るところまでと最小限にしました。残りの部分は普段は花壇で、来客時は駐車場として使えます。欲を言えば樹木やアーチやトレリスで立体構成をしたかったのですけど、なにぶん幅が狭くて・・・。それなら、ということで照明器具で夜だけでも厚みのある世界感をつくろうと考えました。「そうだ、アレがある!」タカショーのフロアーライトを思い付いて設計に入れました。少々値が張りましたが、普段から私の仕事を見ていて結構気に入ってくれているようで、予算オーバーなことは夫婦でグッと飲み込んで、そのままのプランで施工となりました。
夜のアプローチを楽しく-勝山邸
旗地のアプローチを設計(勝山邸 1) さあ、今回は友人の勝山ご夫婦(まだ新婚さんです)ががんばって建てた新居のアプローチです。宅地が道路から入り込んでいるいわゆる“旗地”で、クルマを止めると身体をやや斜めにして通るほどの幅です。しかもそこにクルマを2台駐車したい(1台は来客用)ということでした。
建物は玄関しか写っていませんが、道路から見て左側のお宅の後ろにいい感じの家が建っています。ただ敷地一杯の設計で庭スペースが確保できません。そのこともあって“前庭”を提案したわけです。新婚の、穫れたて新米夫婦がこれから家族になっていく場所ですから、庭は絶対にあった方がいい。そう話しながらの提案でしたが、実は隠された(私の)楽しみがあるのです。ご夫婦には内緒にしてあります。
庭はハッキリと家族の状態を映します。つまり通りがけに庭の様子を見れば勝山ご夫妻のラブラブ度がわかるのです。自宅の前庭を手入れしながらこんなことを意識している人は少ないでしょうけど、長いこと庭と家族を見続けてきた私にはまるわかり。もし庭が荒れてきたらそれは夫婦の危機を知らせるサインなので、ワインでも持って遊びに行こうと思っています。今は当然ホットなふたりですけど、なかなか、山あり谷ありですから。時々この庭をチェックしながら多少年上の我が夫婦が監督指導に当たろうというわけです。
光の色はブルー、イエロー、ホワイトの3種類があって、最も演出効果が期待できそうなブルーを推薦。ご主人が「毎晩、僕は仕事から青い顔をして帰ってくるわけですね」と言いつつ、でもやっぱりブルーがきれいそうだということでこれに決定しますた。
大成功でした。撮影をしているとお隣の奥様が窓から顔を出して「夜になるとすっごくきれいで、うちの庭みたいで大喜びしてるんですよ~!」とうれしいお言葉。“ブルーライトハウス”としてご近所で話題の家になりました。
このライトはLEDなので電気代は5灯で1ヶ月20円です。しかも電球は60,000時間の長寿命。1日5時間点灯で33年間使える計算になります。で、33年間使ったとしてその電気代は7,920円と驚異的にローコストなのです。
ここ数年、タカショーをはじめとしてガーデンライトが充実してきました。設計も光の演出という要素が増えたことで、より深く楽しい提案ができるようになりました。
両サイドはアイビー(ヘデラバリエガータ)を植えました。1年ではびこり這い上がって、化粧ブロックを隠してくれるでしょう。
唯一の立ち木、ブルーエンジェル。庭エリアのアイストップ兼バックで駐車する時に下がり過ぎて脱輪しないための目印です。
当初、だだのコンクリートの駐車場になる予定だった場所が、あれこれ考えながらつくり上げることで、ガーデニング・スペースをかねた、アットホームな新婚さん家庭の前庭になりました。
先日ご主人が遊びに来て、今度は室内の観葉植物をどうしたらいいかということでした。まかせてちょうだい!インドアグリーンも得意なのです。私でやれることは何でもやるから、お願い、油断せずに、積極的に、がんばって幸福な家庭を築いていってちょうだいよ。