栄区公田町、鎌倉街道から丘を登った古くからの住宅地。背後の森は自然保護区のハイキングコースがあって、天園(峠の茶屋があります)経由で鎌倉二階堂の瑞泉寺や北鎌倉の建長寺まで歩けます。鎌倉街道の渋滞が嘘のような喧騒とは無縁の静かな場所の公田町に長くお住まいの石川さんのガーデンリフォームです。
元々はマツやツゲの仕立物と果樹が植わった立派な和風庭園で、ご家族のお気に入りの場所だったのが、何月とともにゆっくりと荒れてしまって、いつのまにか雑草取りと物干し場の庭になってしまった、こういう経緯です。最初は「思いきって今風の庭に」という提案をしたのですが、「和風の木々に思い出もあるので今の雰囲気を残したリフォームプランを」というでした。ならばということで、樹木はそのままでサビみかげ石のピンコロでエリアを分けて、テラスとガーデニングスペースをつくり、物干台兼用のまくら木スタンドを立てました。
Before
After
夫婦も家も家族も、時間とともに鮮度が落ちます。いろんな家族と庭を拝見していてつくづく思うのは、この落ちていく鮮度をどう感じ、そのことにどう向き合うのかによって築10年、あるいは結婚10年目の幸福度に大きな差ができるということ。
鮮度は、例えば何か大切なものを、しまい込むようにして守っていても保つことはできません。常に新鮮な空気を入れながら新しい細胞を生み出していかない限り、どんなに輝く物や時間や関係性もくすんでしまうものです。それは庭も同じで、植物が成長したときのことをイメージしながら種をまき、苗を植えて日々手をかけている庭は何年たっても鮮度が落ちるどころか輝きと風合いを増していきます。以前にも書きましたが“家族と庭のいい感じは比例する”のです。そうは思っていても、知らず知らずのうちに庭(家庭)が色あせてきてしまった場合、その色あせた庭を眺めて、それから目をつむってイメージしてみてください。「輝いていたあの頃は・・・」「こんな場面が展開したらきっと・・・」「本当はこういう感じで・・・」。イメージできたら出来たも同然、さあ庭の改造を始めましょう!
ガーデンリフォームは家族の鮮度を上げるための有効な手段なのです。