雪が舞う
年の初めに、ジャネット・リンのごとくに雪が舞う。数センチ積もった午後に娘からLINEが入り、孫たちと雪だるまを作ったとのことで、なかなかの力作の画像が送られてきました。ふたりの孫は絵本の中で知っている雪の冷たさに大興奮だったそうな。いいぞいいぞ、その健やかなる感受性。数年したら越後のスキー場でソリ遊びと、雪の露天風呂に連れてってあげるからね、と娘に伝言し、今度は自分が興奮する番だとばかりに早めに帰って庭へ出る。雪好きなミーが、何を思うかジーッと遠くを見つめて動かない。


さてと、今夜は雪見飯。メニューは熱々クリームシチューと揚げ物と、犬たちの白内障予防に常備してあるブロッコリーを頂戴して手作りラー油で。


ゴージャス。


食後にしばし庭にてもの思う。何を思ったかと申せば幼き日の記憶と故郷の人たちのこと。不思議なもんですよね、たったこれっぱかしの雪に刺激されて、生まれ育った豪雪地帯のことが次から次から鮮明に蘇り、その脳内映像にはたくさんの香りや触感や音までついている、一編のドラマのようです。そうそう、年末にやってた『岸辺露伴は動かない』みたいに上出来に。凄かったですよね、高橋一生は別格として、ことに第2話『くしゃがら』での森山未來の狂気。そして全編を通して物語の背後に流れる菊地成孔の音楽。

と、雪から始まった妄想世界はそこそこに、お楽しみは翌朝だと部屋に戻って床暖入れて、犬たちにおいしいご飯と歯磨きを施し、しばしまったりしてから寝室へ。

一夜が明け、狙いは最初に入る光で輝く雪の庭。じっと待つ。チャンスは数分だ。






大満足。あえて言えば、ここで大満足しておかないとカメラ担いで散歩に出かけ、半日はシャッターを切り続けてしまうからです。それでは仕事が進まない。だからその誘惑をじっと堪えるために庭でのベストタイミングを逃さずその光を切り取っておくのだ、というような気持ちで。


う〜ん、マンダム。これでよし。マンダムって言うより庭駆け回る子供の世界で遊んだ昨夜と今朝でした。

ちなみに、雪に興奮するのは、雪と闘う越後の人たちでも同じことなんですよ。屋根の雪下ろしは大変だけど、あれほど爽快な暮らしの作業は他にない。厳しい自然との付き合いを営営と続けられる理由は、その自然が果てしなく魅力的だからに他ならず、どうぞ皆様も、滑って転ばないように気をつけながら、明日か明後日には消えてしまう白い景色をお楽しみあれ。