長野の松本から引っ越してこられた浜岡さん。設計依頼の電話をいただいて訪問すると、奥様の第一声が「うちの子きっと変なんです」でした。事情をうかがったところ、お姉ちゃんと弟くんの、どちらも小学生のお子さんがいらして、弟くんの方がやたらに動き回って手に負えないのだそうです。そのあまりの激しさにお母さんはかなり疲れ気味で、それで「うちの子・・・」となったわけです。お母さんによると、庭に穴を掘る、庭(土のままです)を駆け抜ける、段ボールの工作をコレクションしている、学校から「高いところから落っこちました」と電話がくる、というような日々だそうです。それを聞いて、いっしょにおじゃましていた妻と顔を見合わせて「普通ですよそれ」とひとこと。
特に男の子の場合は一時期“アラレちゃん”のようにキ~ン!と走り回る時期があるものです。それと、男の子が穴を掘るのはどうやら本能的な行為のようで、ずいぶんあちこちの庭でそれに出くわしています。男の子はまず歩けるようになると石を拾って投げたがり、幼稚園に行く頃には大量のドロ団子を作って天日干しし、小学生になるととにかく土を掘りたくなるもののようです。それと、男の子の子育ては“痛い”。急に体当たりしてきたり、思わぬ動きで顔や腹を蹴られたり、親もアザだらけの数年間があります。初めての男の子でそういったことに戸惑い、疲れ果てているお母さんもこれまで多く出会いましたが、その後の結果は全て同じでした。お母さんがたくましくなるのです。小学校の保護者会ではっきりわかります。男の子のお母さんは総じてたくましいのです。「浜岡さん、がんばれ~」。
後日その弟くんに会ったら、これがまた、ニコニコしていてお茶目で実にかわいい、“ボクの夏休み”に出てくる主人公の“ボク”みたいな元気な子でした。そんな弟くんとしっかり者のおねえちゃん(ミズキちゃんなので最終プランでハナミズキを植えました)、そして弟くんとそっくりのお父さんと、家族思いのお母さん。そんな浜岡家がにぎやかに休日を過ごせる、そんなイメージで設計しました。
Plan A
Plan B
ポイントは5つ、目かくし、庭に出やすくすること、部屋のように過ごせる場所をつくること、ガーデニングスペース、リビングの居心地をよくすることです。とりあえずウッドデッキプランとテラスプランのA・Bをご覧いただいて、ふたつをミックスしたPlan Cになりました。
Plan C
明日はビフォー・アフターとウッドデッキの完成写真をご覧いただきます。
浜岡邸のビフォー・アフターです。
Before
After
Before
After
長方形でお隣りの玄関アプローチに接している敷地なので、用途をきっちりとイメージしたゾーニングと適度な目かくしがポイントになります。目かくしはリビングの居心地を良くすることと、ウッドデッキでの過ごしやすさも同時に考えて、横張りの木工フェンスにしました。横板の隙間と高さを、デッキに立ったとき、椅子に座ったとき、リビングから外を見たとき、それぞれから考えて決めました。ちなみに隙間の幅は25ミリです。
素材はレッドシダーです。柔らかくて木の風合いがありながら腐りづらい、ウッドデッキには最適な材です。年に一度の再塗装が必要ですが、皆様家族で楽しみながらやっているようで、毎年ゴールデンウィークころから「どの塗料を塗るんでしたっけ」という問い合わせがあります。そんな“家族でペンキ塗り”の楽しみも含めてこの材をおすすめすることが多いのです。
明日はデッキ以外の完成写真です。
「うちの子変なんです」から打合せがスタートした浜岡邸、ご覧のような庭になりました。これから夏に向かっていろんなシーンが想像されて、私も混ぜてもらいたいような気持ちです。
最近人気急上昇のレモンです。
しっかり者のお姉ちゃん、ミズキちゃんのリクエストでブルーベリーを植えました。
最後に植栽スペースの土壌改良をしていると、奥様が「土壌といえば、こないだ子どもと主人がドジョウを買ってきたんですよ~、もうやんなっちゃう。私に聞くとダメって言うから黙って買ってきちゃうんです」とのこと。次々と楽しい事件が起こる浜岡家です。