秋の庭シーズン到来
いかがでしたか、夏。多くの人にとって、にっちもさっちもどうにもぱっとしない、胸元が揺れたらしずくが砂に舞いあきらめの夏だったわけです。ところが植物にはそうじゃなかったようで、あのうんざりするほど降り続いた梅雨と、暑さに喘いでマスクをかなぐり捨てたかった灼熱の日々に、「これだよこれ、夏はこうじゃなきゃ」とばかりに熱線で葉を焦がしながら根っこにパワーをため込み、夕立の丁度いいお湿りと朝夕の気温の下降を合図にして、一気に実りの季節が始まりました。
秋の庭シーズン到来、例年ならば『恒例お庭の相談会』を段取る頃ながら、ステイホームによって人々の庭への意識がケミストリーで、ここ数ヶ月、まるで大型台風に翻弄されるが如くに多忙の大混乱のため、この状況下では相談会を行う余裕なし。とりあえずちょっと先送りということにいたそうかと。
んなりと。芝生の手入れ、庭木の剪定術、バラのコツ、野菜・草花のあれこれ、目隠しのこと、壊れたデッキの補修方法、レンガの積み方、雑草取りを楽にするアイデア、ワンちゃんの庭、キッズ・ガーデン、キッチン・ガーデン、ヒーリング・ガーデン、照明、アーチ、パーゴラ、屋根、バーベキュー、燻製、ハーブ料理、etc・・・
ところで、あの暑さは体感としてまだ残っているでしょうけど、その前の長梅雨、来る日も来る日も降り続いていたあの日々の音や湿気や、コロナ騒ぎ一色の報道と相まった憂鬱さはもう忘れているのではないかと思います。それでいいんです。忘却とは忘れ去ることなり 忘れ得ずして忘却を誓う心の悲しさよ(君の名は)、わすれじのレイド・バック(サザンオールスターズ)、記憶喪失学(菊地成孔とペペ・トルメント・アスカラール)、毎夜毎夜のメラトニンによる整理整頓で、キツかった記憶が破棄されてゆくからこそ、朝の庭に今日を思い描く真っ新なカンヴァスが用意されるのですから。
さあさあ皆の衆、皆の衆、嬉しかったら腹から笑え、悲しかったら泣けばよい。無理はよそうぜ体に悪い、洒落たつもりの泣き笑い。どうせこの世はそんなとこ、そうじゃないかえ皆の衆。
コロナアイドル岡田晴恵さんもひと休みみたいだし、都の営業時間自粛要請も終わったし、長かった長かった中腰の辛さは忘れ、全国民への給食マスク配布とか、助成金やら協力金が店の救済に遠く及ばなかったことの苛立ちとか、テレワークのストレスで家庭がギクシャクしたり、そんなあれこれは安倍と共に去りぬということにして、頭を切り替えて前を向きましょう。あ、マスクはしたままで。
でも家ではマスクを外して庭に出て、秋の収穫祭に沸く植物たちの仲間入りから始めましょう。参加費はたっぷりの水やりと肥料を。草花も食欲の秋なので。