
どういう新素材かといいますと、アルミ部材に木目のシートを貼った、それだけのことです。他社で数年前から同じような発想の製品は目にしていました。どちらかというと、庭にアルミ部材は使いたくないし、木目シートを貼って本物っぽい偽物を目指すという考え方自体が好きではなく、「日に焼けたり、反ったり、割れたり、手入れも必要ですけど、それでも本物の木材の方がいいと思います」と話しながら、この手の物を極力使わないようにしていました。

それでもお客さまから「やっぱり手入れはしたくない」「アルミフェンスがいい」という要望をいただくと、アルミ部材の中でのベストな選択を考えます。そして思いきって使ってみたら、予想以上に仕上がりがよくて、お客さまの満足度も高く、これまでの頑固な本物志向をあっさり変更して“エバーアートウッド”のファンになってしまいました。
この180度の方向転換をした一番の要因は、タカショーのこの製品へのこだわり方が尋常ではないと感じたことです。実物をご覧いただくと早いのですが、ちょっと感動してしまいました。木目のプリントが合板のような単調なものではなくて、うっとりするような、本物の木よりも木の魅力を感じさせる出来なのです。木目も色もバリエーションが豊富で、その色合いがまた素晴らしい!今現在、そしてこれからの建築と庭を把握して、かなり深いところまで探求しなければ、このグレードとラインナップは出来上がらなかっただろうと思いました。探求し、志向錯誤があり、さらにこだわり続け、おそらくは商品開発のメンバーにとっても、夢中でやっているうちに最初のイメージよりも数段いい、もしかしたら予想していなかった別の物というくらいの仕上がりだったのではないかと推測します。物を生み出すという作業にはそういうことがあるのです。
庭作りも同じ、設計図が100だとして、それに近付ける作業が施工であり、施工管理です。100を目指して結果的に90だったり95だったりということです。でも時々思いがけないことが起こります。一生懸命に100を目指していて、いろんな理由で設計図とは違う仕上がりになったけど、結果は200だった、というようなことです。こういう時は感動します。「偶然ではない、みんなが一生懸命やったことで、想定外の幸運が舞込んでくれたのだ」そんな気持になります。一生懸命に夢中でやっていると、後で考えると不思議なほど“ギリギリのところで運が好転した”ということの連続です。エバーアートウッドにこの感じ、真剣に取り組んで、半端じゃないこだわりを持ち続けて、そのことでいろんな幸運が舞込んできて出来上がった製品、そんな感じを受けました。

ここまでの出来だと、アルミ製の偽物木材ではなくて、今まで無かった便利で美しい新素材というふうに考えてもいいと思っています。何よりお客さまがすごくよろこんで下さいますので、この素材の魅力を生かせる場面では、どんどん使わせていただきます。
それにしても、こういう物を生み出すタカショーという会社、どういう人たちが、どういう気持で、何を目指して働いているのか、我がグレースランドもあやかりたい。「タカショーさ~ん、爪のあかを分けてくださ~い」