風の歌を聴け 啓示
植物の成長を眺めていると、閃いたり、気付いたり、さまざまな啓示を受け取るものです。

嬉々として夏の灼熱を遊んでいるうちに、気づけばひんやり秋風が。
何としたことか、既にマンジュシャゲもキンモクセイも終わっているではないか。
疲れを知らない子どものように、時が自分を追い越して行ったのでありました。
それだけ楽しかったわけだけど、なんか、ほろ苦いんだなあ。
咲いてるのは視界に入って知っていたのに、意識がそこへ行かないままに秋の空。
通り過ぎずに、しゃがんで見つめてピントを合わせないと気づいたとは言えない。
はしゃいで駆け回ってばかりだと、気づきはやってこないのだ。
今から27億年前、地球上(海中)に出現した生物シアノバクテリア(アオミドロのようなもの)は、光合成という奇跡の能力を有し、それが爆発的な大繁殖をして、水中と大気圏に膨大な酸素をもたらしました。その酸素が、地球に多種多様な生物を生み出す土台となったのです。もしも光合成を行う生物、植物がいなくなったら全ての生物は死滅してしまいます。つまり森林、雑草・草花、苔、海藻こそが、神様が最も愛する生き物で、他は、まあ適当に淘汰を繰り返していればそれで良し、というのが本音というか、生態系の本質なのでしょう。

地球は植物の星である。故に彼らの生き方には、地球で繁栄を続けるための知恵、手法、礼儀作法が満ちています。

例えば、野の花であれ、森の木々であれ、畑の野菜であれ、ストレスが成長を促します。喉をカラカラにした草花は水分を得るために根を伸ばし、樹木は灼熱の季節に葉を茂らせ影を作って幹と根を守り、枝葉は光を求めて競い合うように上へ伸びます。草は受粉のために花を咲かせ、香り、果樹類は種を遠くへ運んでもらうために実をつけます。そしてあらゆる植物には必ず敵が現れます。最初は争い滅ぶ者もありますが、やがて折り合いをつけて共生をし始めます。天候の変化や外敵の襲来など、生息地に安住できなくなればニッチを探して移動を始めます。

人生楽ありゃ苦もあるさ。植物に倣うなら、苦のない人生は滅びの道。問題は苦労に負けない根性と知恵を身につけること。世に溢れる啓発本や名言格言の類いは、庭で植物に導かれた賢者たちが導き出した、根性と知恵の結実なのだ。格言好きな母の影響か、ぼくもその神秘的とも思えるパワーを秘めた言の葉を、コツコツとコレクションしています。
