雑草対策
庭の相談は、多くの場合「もう雑草取りは疲れた」から始まります。もちろんそのケースに合わせた雑草対策を提案して「ああよかった」となるわけですけど、残念ながらその施策の効能は一時的なものに終わることが多いのです。
朝露に咲くホトケノザ。
立って見下ろすとただの雑草にしか思えないかもしれません。
一度、思いっきりしゃがんで、
子供の視点になって横から見てください。
視点の変更で世界は一変します。
あなたが雑草取りをする動機というか、そこに至る経緯というか、理由って何でしょう。人は行動を繰り返すほどにその動機を強める性質を持っているそうですので、もしも嫌々やっていると、抜いても抜いても生えてくる雑草が、まるで親の仇のように思えてくる可能性があります。逆に積極的な気持ちで、家族が気持ちよく暮らせるから、庭を整えると自分が整ったような清々しさを味わえるから、というように思って体が軽やかに動く感じの作業を繰り返す人は、やればやるほど庭への愛着と家庭への愛情が増してゆきます。
結論。究極の雑草対策は「愛情に基づいて抜き続けること」。しかしそれも程度問題ですから、庭の構造上、できるだけ楽に、楽しみながら作業ができる工夫は不可欠ですので、その方策をいくつか並べてみたいと思います。
◉ 歩く場所、過ごす場所を拡張して、土の面積を少なくする。これは庭全体の間取り(ゾーニング)が曖昧だと、どこもかしこも雑草だらけの庭になりやすいからです。逆に庭の大半を芝生や畑にして楽しむなら、土の面積が多いほど雑草取りは気分を上げてくれる作業になるでしょう。
◉ 家の脇の通路などにはきちっと防草対策を施す。庭以外の場所は強靭な防草シートと砂利、あるいはコンクリートで固めて、二度とそこにしゃがんで草を引くことがないようにしておきたいものです。そうしないと、やっても意味のない場所の苦労、徒労感が庭仕事の苦労に加算かれかねません。
◉ 雑草を抜いた場所に違う植物を植える。みなさん膝が痛いのに一生懸命に草を抜いて、更地を広げて、そこで作業を終えてしまいます。雑草たちにしてみたら我が意を得たり、大喜びでまたはびこります。そうではなくて、雑草以外の、あなたが欲しい草花でいっぱいにして欲しいのです。それは単に土が露出している場所を減らすことだけではなく、新たな草花を植え足すことで土壌が改良されて、雑草が生えづらくなるからです。奴らは良質な土には馴染まない性格ですので。
◉ 雑草を楽しむ。これは屁理屈ではなく、庭を長年楽しんでいると誰でも自然にそうなってゆくようです。ぼくが可愛がっている雑草はホトケノザ、ペンペングサ、タンポポ、ドクダミ、クローバーなど。そもそも「雑草という名の植物はありません」という昭和天皇だったか、朝ドラのモデルになった植物学者だったかの名言がある通りで、愛おしい者たちも多く、それが毎年顔を出すのですから片っ端から引っこ抜くのではなく、エリアを区切って雑草を育てみたらよろしいのでは。
庭が嫌いになる理由は数限りなし。でもほんの少しの改良とマインドセットの変更で、その苦労が喜びの種であったことに気づくことがあります。もしかしたらその気づきを得られることが、庭の価値のひとつなのかもしれません。
「もう雑草取りは疲れた」から始まる相談を、ぼくは庭を楽しむ暮らしへの入り口なのだと考えるようになりました。本当に庭が嫌なら無くしてしまえばいいわけですけど、誰もそんなことをお望みではありませんし。ですからその庭の現状の、何をどう変えれば雑草取りが楽しい庭に変貌するのかをイメージしながら、防草シートや人工芝や砂利敷き、プラスアルファの提案をしています。時には「変な人」と思われたり「ただ草が生えないようにしたいだけで、庭を楽しむとか関係なんだけど」と訝しがられながら。

















