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ティータイムを楽しむ-田村邸

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ついつい族の悩める庭( 田村邸 1)

ガーデニングが好きで、と言っても薔薇マニアとかオープンガーデンを目指してというほどそれに夢中なわけではなくて、でも園芸店に行くと育ててみたい草花に出会ってついつい買って帰るという、そういう感じの方って多いですよね。もしかしたら割合的には庭をお持ちの方の中で半分くらいはそういうタイプかもしれません。
ぼくはけっこう好きなんですよ、そのくらいの距離感で植物を楽しんでいる、ついつい買って帰る人たち。そういう人たちを仮に「ついつい族」と呼びましょう。

ついつい族の共通点は自分が育った環境の中にふんだんに植物があったということです。実家が農家だったか、あるいは家族が庭を花や野菜でいっぱいにしていたかです。このことは今までほぼ100%そうでした。つまりついつい族の方々は、花と緑に囲まれた幸せな環境で、花を見事に咲かせる素敵な人々によって育てられたということですね。
園芸店の店先に並ぶ花苗に反応するとき、ついつい族はその花が見事に咲いた庭をイメージします。でもそのイメージの舞台が自宅の庭じゃなくて記憶の中の庭、自分が育った幼少時代の庭だったとしたら、買って帰ったもののそれを我が家でどこに植えてどう育てていくかという、現実の方向にシーンが描けていないのでなかなかうまくいかない。いつのまにか鉢だけが増えていって庭全体が雑然として収拾がつかなくなります。
このような「ついつい族の悩める庭」はものすごく多くて、住宅地を歩いていても次々目撃するのです。そしてその解決方法は・・・、今回はそういう設計でした。

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「現実の庭」を「幸せな記憶の庭」以上にガーデニングを楽しめる場所にするために、考えるべきことは何なのか。どこをどう整備したら花鉢を購入した時のワクワク感が庭でさらに強くなっていくのか。そのポイントのいくつかを解説しながら、明日から数日間、田村さんちをご紹介していきますのでお付き合いください。

餅は餅屋( 田村邸 2)

草花や野菜が好きで買っては来るものの、庭がいつのまにか雑然として収拾がつかなくなってしまっている庭、よく見かけます。
思いは強いのにうまくカタチになっていかない。これは庭だけではなくて室内も、生活全般においてもよく起こることですね、思いが空回りしてイメージ通りにことが運ばない。

そんな時は自分であれこれ考えて試行錯誤をするよりも、餅は餅屋、各分野の専門家に相談するのがいちばんです。思いを携えて専門家に頼る。
ぼくの場合パソコンに関することがまったくそうでして「パソコン使ってこんなことやりたい」とひらめくと、即、詳しい人に相談。1度やり方を教えてもらうと実に簡単で便利で、それ抜きでは仕事が成立しないほどになってしまいます。もしもそう言う場面で自分で何とかしようとし始めたら(凝り性な性格なので)他の一切のことが滞ってもそれに熱中してしまうかもしれないし、当初の目的も、きっと結果は芳しくないでしょう。だから餅は餅屋、なのです。
インテリアならインテリアコーディネーター、健康のことならお医者さん、そして庭のことは迷うことなくぼくにご連絡ください。なーんてね、軽くコマーシャルしちゃいましたけど、毎日ため息つきながら庭を眺めているくらいなら、ほんとに、ぼくじゃなくても世の中に庭の専門家はたくさんいるので、じっくりと相談してみるといいですよ。「悩める庭」のその場所も、悩んでいる時間ももったいないですから。庭に関するいくつかの問題を解決することで、庭だけではなくて暮らしが一気に楽しくなりますよ。

で、ぼくが提案したリフォームプランがこれです。

Plan A

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設計のポイントは追々解説するとして、奥様から「もう少しだけ土の部分を多くしたい」というご要望がありましたので、スペース取りを調整して、細部の変更も加えて次の Plan B で施工することになりました。

Plan B

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明日はビフォー・アフターです。

「暮らしが変わる」感じ( 田村邸 3)

「餅は餅屋」、庭屋が考えたガーデンリフォームのビフォー・アフターです。

Before 1

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After 1

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Before 2

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After 2

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Before 3

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After 3

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Before 4

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After 4

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Before 5

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After 5

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いかがでしょうか、単に風景が変わっただけではなくて「暮らしが変わる」感じ、伝わるでしょうか。

奥様はもともと庭や植物に興味がないわけではなくて、好きなのにただ雑然としていただけですから、「Before の中から楽しさを抽出して仕立て直す」というような気持ちで設計しました。「さあどうぞ、どんどん楽しんでください!」という感じにできたらいいなあと。

ガーデンリフォームによって生活空間から手こずっていた厄介な場所が消えて、「さあっ、何を植えようかなあ」と楽しい意欲がわいてくる場所が出現する。昨日の繰り返しになりますけど、それは単にガーデニングが楽しくなるだけではなくて、暮らしが全般的に楽しくなる、運気が上向くということにつながっていきます。
生活の中からマイナス要因を消していって、そのついでに一気にプラス要因を生み出して暮らしをはつらつとしたものに一変させてしまう。ガーデンリフォームはそんな「暮らしを変える力」を持っています。

庭を広く感じさせる( 田村邸 4)

今日はアップが夜になってしまいました。一日中運動会みたいに忙しくて、心地よい疲労感を味わっています。ではいきましょう。

庭の全景です。

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もう一度 Before をご覧ください。

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広々したでしょう!これが何度やってもおもしろい「整理すると広く感じる」という視覚的な効果です。整理するというのは整理整頓だけじゃなくて整備、導線計画やスペース取り(ゾーニング)、図形的な要素など、設計作業でその場所に付加されていく意味やカタチでその場所、風景の中からこちらに主張してくることが増えるので、その主張の量が増えた分意味が生まれて広く感じるようになる、ということです。

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同じ面積の庭が見せ方や感じ方によって広くなったり狭くなったりするんですから、おもしろいものですよね。

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いくつかのシーン(見せ場)をつくる、場所に役割や意味を持たせる、パネルや樹木でそれまで認識していなかった空中、空間をスペースとして感じさせる、庭内の移動を強制したり誘導したりしながら庭の隅々まで興味がいくようにする、図形やアクセントになる点景物で風景に弾みを付ける、など、こうしたことを Before に練り込んでいくという設計作業によって庭はそれまで感じていた1,5倍は広く感じられるようになるものなのです。

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こういう理屈抜きで「何となく」仕立てた庭は広く感じないばかりか、庭が語りかけてこないので、ぼくとしてはそれにかけたコストとその場所がもったいないなあと思います。よくあるんですよ、そういう庭。

京都のお坊さんの言葉

庭に石を置いたために、庭がきゅうに狭く感じられるようなら、石の置き方が間違っているのだ。できばえのよい庭は、一個の石によって、無限の空間を感じさせてくれるものである。

これは社会の中での個人の立ち位置、あり方を説いた例え話ですけど、ベタにそのまま受け取ればガーデンデザインの核心を突く言葉です。よくできた庭は総じて広く感じるものですし、無限の広がり、宇宙、精神世界の入り口にもなるのです。ちょっと大げさですけど、けっして荒唐無稽なことではない。庭は人を幸せにしたり元気にしたりしますし、キャンプデービットや日の出山荘のように、世界の首脳陣が人類の未来を左右するような階段をしたりもするんですからね。円卓会議のように、重要でかついい結論を導き出したいときに庭がその舞台になるということは、庭が何かしらの良質なパワーを出す場所だということを感じているということです。

話はまだ続きます(庭の話は楽しいなあ!)。
庭石と言うと、最も有名な石庭は龍安寺の方丈庭園ですよね。上空から見下ろすと五郡十五石からなるその石庭の石が、地上ではどこからどう見ても十四個しか見えないという、そういう仕掛けになっています。広縁からそれを眺めながら、ひとしきりその謎掛けの答えをああでもないこうでもないと考え論じて、そして庭の裏側へと進むと、坪庭に苔むした手水鉢が置いてあります。水戸黄門様が寄贈したというその鉢には「吾只足知/われただ足るを知る」と刻まれています。「石が1個足りないのがどうしたというのだ。そんな石ころひとつに心を奪われているあんたが情けないぞ!あんたの命はお釈迦様よりも尊く貴重なものなんだから、『やれ神じゃ、菩薩じゃ仏じゃ釈迦牟尼じゃ、ああだこうだと言うが愚かじゃ』、現状を丸々肯定して、今を精一杯生きなさい!」そういうことですよね。大掛かりな仕掛けでセッパ!と問いかけておいて、必死で考えているとあっさり落されてしまう。おもしろいでしょう禅寺って。特に京都の禅寺は一休さんのトンチみたいで実におもしろい。まるで吉本興行が経営しているかのように、洒落っ気や仕掛けや楽しさに満ちています。

できあがった庭を見て「わあ、スッキリして広くなったわねえ」とか「すてきになったわねえ、ねえねえ何植えようか」とかそれで大成功なんですけど、実はそこにはいくつもの理屈と仕掛けが隠されている。でもそういう理屈が庭から聞こえてこないで、「すてきねえ」と感じてもらえる、これがぼくの狙っているところなのです。
龍安寺の石庭も石を数えてはいけません。ではどうするのかというと「感じろ」です。
ブルース・リーの名言ですね、

「Don’t Think Feel! / 考えるな 感じろ!」

それが正解なのです。考えるのはぼくの仕事、皆さんはその庭を感じまくって楽しみ尽くしてください。

地面の整備( 田村邸 5)

雑然とした庭をスッキリさせるために最も有効なのが通路をハッキリさせるということです。歩く場所(ルートも考えながら)と植える場所を明確に区分けすることで、植物の管理もしやすくなりますし、植える場所を何ヶ所かに分散したりして1ヶ所スペースを小さくすることで、植栽のイメージがしやすくなって意欲もわいてくるのです。「この花壇にはハーブを植えて、こっちの植え込みは薔薇をメインにして」といった具合です。広いスペースに植物で高低差を付けて、多年草、宿根草、一年草の割合や花の配色を考えて・・・、そういう凝った感じに熱中していけるのも、ベースとして通路と植栽スペースの区分ができているから。あのターシャ・テューダーだってそうなんですから。通路がハッキリしていないただの原っぱで植物の生長をイメージしながら植物メインで庭を構成していくことは困難なのです。

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ご覧の通りでまだ土の部分が多く残っていますが、目指すのは土が見えない状態です。自分が植えた草花が成長して、パッと見庭に土が見えない状態、そうなってからが楽なんですよ。土が見えなければ雑草も生えづらいですからね。
植える場所をハッキリさせて、何ヶ所かに分けて、土が見えなくなるまで早く植物を育てる。これがコツです。

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この地面の整備(通路や花壇やテラスをどう配置するか)を考えながら、同時に立体構成も考えます。ぼくの場合は自分が図面の縮尺になって仮想の庭を歩き回りながらイメージするんですけど、これがまた楽しいんですよ。その話はまた後日。

人がいて、人が集って「庭」( 田村邸 6)

田村さんちは、日中も人通りの少ない落ち着いた雰囲気の住宅地にあります。その表通りからは樹木の向こうに半分隠れるような感じでテラスをつくりました。

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ガーデニングがメインの庭ですが、過ごす場所も必要です。

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リビングからスッと出られるように地面より高くして、これで室内と庭が解け合いました。お友達を招いてお茶してもいいですし、本を読んだり、洗濯物が乾いたらそのまま庭でたたんでもいいですよね。そうそう奥様は絵をやってらっしゃるので、このテラスはアトリエにもなります。

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リフォーム前はアルミの物干し台がこの場所を占領していましたが、テラスの左右にアイアンウッドで柱を建てて物干金具を設置しました。これでスッキリ。

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テラスのはじっこにタカショーのe-ウッドストッカー2型。木製物置なんですけど上半分が棚なので、見た目、テラスが部屋っぽくなります。それが気に入ってよく使っていたんですが、残念なことに販売中止になりまして(全国的にはあまり売れなかったようです)、これが最後の設置になりました。

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ガーデニングが好きといっても、ただ植物の成長を楽しむよりも、誰かに見せたいですよね。料理だってそうですからね、いっしょに食べてくれる人がいなければ、そうそう手の込んだメニューにはならないと思います。ぼくなんかは普段は料理担当ですけど、家族が留守でひとりの日はラーメンさえつくる気になりませんからねえ。それと同じでいつでも人を招いて草花を見ながらティータイムを過ごせる場所があったほうがいいんです。
お客様のご希望が草花や家庭菜園がメインの、つまり庭全体がガーデニングスペースという場合でも、過ごす場所は提案に入れるようにしています。丹精した植物を眺めながら座れる場所。庭は植物を生息させるための場所じゃなくて、人がいて、人が集って、庭ですから。

天使の思考は( 田村邸 7)

昨日ご覧いただいたテラスのお隣り側に木製パネルが設置してあります。これはテラスを「部屋っぽく」するための構成です。
次の写真から白いパネルを無くしてイメージしてみてください。

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何となく落ち着かなくなるでしょ。これが空間構成です。空中を仕切ることで何もない空中が意識に入ってくるんですよ。

庭の反対側にも同じ目的でパネルを2枚設置しました。

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道路からの軽い目隠しも兼ねています。

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この空中を仕切る何かを庭の内部に設置すると、パーテーション効果でまた様々な世界つくり出せます。迷路のように導線を誘導しながらいくつも場面を変えていくとか、わざと狭いところを通らせて次の瞬間パーッと見せ場が現れるとか。
庭に限らず、人の思考というものは平面的になりがちです。学校で黒板に書かれたことをノートに書き写すという勉強方法を繰り返したせいかもしれませんね、平面で示されたことを平面に整理する。

ガウディーの言葉です

人は平面上で思考し、天使は空間で思考する

話しが庭からはなれますが、毎日起こるいろんな問題や課題に対しての対応を考えるときに、空間で(立体的に)思考するということがものすごくいいんですよ、特にA型の人には。
ぼくはA型なので几帳面に、論理的にものごとを考える傾向がありました。言葉、理屈で組み立てて「こうあるべきだ」とか「これは許せない」とか、自分でも笑ってしまうんですけど30代の頃は、思考の組み立ての末に「遊ばなければいけない」という結論に達して一生懸命に遊んだり、「楽しむべきだ」ということになれば意地になって楽しもうとしていました。楽しくないですよね、そんなのは。でもぼくはそうでした。これが平面的な思考なのです。「こうあるべきだ」なんて眉間にしわ寄せて必死にしがみついていた理屈は、後で考えると何ひとついい結果は生んでいません。
空間で考えるというのは、言い替えれば直感やときめきを受け入れるということです。理屈っぽい平面的な思考から空中に抜け出して、楽しさ優先で判断したり、何の保証も無いけど「こっちだ」とひらめいたら即行動したり。これが天使の思考なんですよね。
砂遊びやレゴに夢中になっている子どもたちを見るたびに「天使がいる」と思います。そうやって理屈抜きで創造に夢中になる時間は、彼らが将来必要になる「知恵」を育んでいるんです。そう、知恵。天使の思考は立体的で知恵があふれています。
子どもたちが夢中で遊んでいるときに親は邪魔しないように、知らんふりして遠くから見守りましょう。いちいちかまうと知恵が育ちませんよ。

庭は夜も庭( 田村邸 8)

テラスの脇に街灯を設置してあります。これが奥様にとても好評でした。

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夜は雨戸を閉めて、暮らしから庭の存在が消えてしまうというお宅がたくさんあります。ぼくはそのことがとても残念で、もう何年も「夜の庭はいいですよ」と言い続けているんですね。ほんとにいいんですよ、夜の庭は。
夜遅くに帰宅して庭に灯りが灯っているとか、夜になったらカーテンを開けたくなる庭、いいと思うんだけどなあ。照明器具を設置して「庭は夜も庭」というふうにすれば、平日も庭のある暮らしになります。夕飯は庭で、夏は風呂上がりに夜風を楽しむのも最高に気持ちいいですし、就寝前にいち日の締めくくりに庭で一杯やるなんてのもいいですね。「豊かな人生」って感じするでしょ。
夜だけじゃありませんよ、朝も。冬はまだ暗いうちに庭に出て、そこで朝食やコーヒーを楽しんでから「いざ出勤!」という方がけっこういらっしゃって、その方たちは口をそろえて「これやんないと仕事ができない」と言うくらい、その朝の習慣は気持ちよく、有意義ないち日のスタートを切るために、有効な習慣になっています。それも庭に照明器具があればこそできることです。
休日の夜もいいですよ。日曜日は朝から庭でガーデニングして、ブランチでよく冷えたビールを飲んで、木もれ日を感じながらウトウトと昼寝して、午後は友人がやって来てバーベキュー開始。

中区 本間邸
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夕方薄暗くなっても話は尽きないし、

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そのまま夜更けまで、庭での幸せな休日が続く。

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いいでしょう!

真っ暗な庭に照明をイメージするところから、思いもよらない幸せな場所が生まれるかもしれません。「庭は夜も庭」です。

ジューンベリー( 田村邸 9)

テラスの居心地をよくするためにコニファー(ブルーエンジェル)とジューンベリーを植えました。

ブルーエンジェル
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お隣り側の木製パネルと同じく、「空間を仕切ると居心地が増す」という狙いでの配置ですが、

ジューンベリー
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ジューンベリーにはもうひとつ役割があります。それは室内から見えるということ。
現在の建築は高機密高断熱で、それはそれで快適なんですけど、室内にいると外の様子を感じづらくなりました。快適な空調・防音と引き換えに「自然を感じながら暮らす」ということが消えてしまったんですね。田舎育ちのぼくとしてはそのことがとても不自然に感じていて、はたしてその快適さはいいことなんだろうかとすら思うのです。
ちなみに庭の設計をするときには極力エアコンを使わないようにしています。使わないように心がけているというよりは、いつのまにかそういう習慣になったという感じなんですけど、今の時期だったら蒸し暑さで日に何度かTシャツを着替えながら設計しています。なぜかその方がいい感じに仕上がるからです。
(仕事はそうなんですけど、寝る時はエアコン様々で、ドライ機能のおかげで熟睡できていますから、別に自然派指向ということでもないんですけどね)

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高機密高断熱の快適さは享受しつつ、それでも自然を感じながら暮らしていただきたいという思いから、リビングの外の、できれば部屋から手が届きそうな位置に落葉樹を植えるという提案をよくします。
風が吹いたら枝が揺れて、雨が降ったら葉っぱが濡れて、春は芽吹いて、夏は木もれ日が輝いて、秋には紅葉する。そういった自然の営みが室内に居ながら感じられるという、たった一本の木でそういう暮らしになるのです。花が咲いたり、実がなってそれを食べに野鳥がやって来たり、そんな話題が絶えないリビング、いいでしょう!

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ぼくが設計に込めるその思いに、ジューンベリーは最適な庭木です。
アメリカザイフリボク、通称ジューンベリー。数年前から話題になっていたものの、最初はなかなか手に入らなくて入手にも苦労しましたし高価な木でした。でも今では生産が追いついてごく一般的な庭木として売られています。

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実にいいですよこの木は。花はサクラみたいで葉っぱはアカシアのようにやわらかい緑で、ブルーベリーを赤くしたような実はつまんで食べてもいいですし、木が成熟してたくさん穫れるようになればジャムを作れます。

旭区にあるうちのお店「レノンの庭」にも1本植えてあって、この春観察していたら、花が咲くとハチがせっせと働いてくれて、ほぼ全ての花が実になりました。その実が熟してくると小鳥がやって来て食べます。おもしろいんですけど、やって来た鳥はバクバク食べ尽くすことはしません。甘くなったのだけを選んで食べていきます。毎日やってきては少しずつ食べていく、なかなかグルメですよ。すっぱい実はさわりもしないんですから。

何年も前からジューンベリーを楽しんでいるお客様からの情報では、鳥が食べる前のまだすこしすっぱいうちに収穫した方が、ジャムづくりにはいいそうです。
いかがですか、ジューンベリー。これからますます人気が出る木です。

リビングから見える位置に落葉樹を植えると、たった1本の木で自然を感じる暮らしになるということ、いち度イメージしてみてください。

ブライダルベールの想い出( 田村邸 10)

パシャパシャと撮影していたら、奥様がハーブティーをごちそうしてくださいました。庭で摘んだミントを洗って熱湯を注げばできあがり。美味い!
フレッシュハーブティーはミント、カモミール、レモングラスなど、いついただいても気分がスッキリして、ゆたか~な気分になります。

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これがそのミントです。

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ティータイムを楽しんで、撮影再開しようとしたら、庭の隅にブライダルベールが咲いていました。この花には想い出があって・・・、再び椅子に腰掛けて「あの日」のことを思い出し、手帳に書きました。

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中学1年の、季節は今ごろ、学校帰りに渡辺農園という園芸店でブライダルベールの鉢植えを買って帰って、四畳半の自室の窓辺にぶら下げました。当時、別に花に興味があったわけではなく、もちろん将来庭の仕事に関わるなんて夢にも思っていなかったぼくが、なぜ唐突にそんな鉢植えを買って帰ったのかは謎です。まあ気まぐれだったんでしょう。
鉢には育て方のシオリみたいなのがくっついていて、その小さな花が昼間は咲いて夕方には閉じて、また翌日明るくなると咲く、と書いてありました。そこに興味が行っちゃったんですね。
その小さな花が開いたり閉じたりする様子を自分の目で確認したくなったんです。で、どうしたかと言うと、翌日学校を休んで(熱があるとか嘘ついたんだと思います)朝から晩までその花を眺めていました。部屋でひとり、電気をつけないで、レコード聴きながらずーっと花を見つめていました。シオリに書いてあるように、日光に当たると無数にあるつぼみが見事に開いて鉢植えはその名の通り、ブライダルベールでつくったように淡く白いボールになりました。そして夕方にはすべて小さく閉じて、深緑の葉っぱのボールになりました。
35年前の、特に何ということのないそのいち日のことが、ものすごく鮮明に記憶に残っていて、ブライダルベールを見かけると条件反射的によみがえってくるんです。花を眺めながらその日聴いたレコードは吉田拓郎のライブ盤「ともだち」と、カーペンターズの2枚組ベスト盤と、サイモン&ガーファンクルの21曲入りベスト盤と、エルビス・プレスリーの「エルビス・オン・ステージ」、よく覚えているでしょう。それくらいその日のことは鮮明な記憶なのです。
それがなぜなのかと考えると、きっとぼくにとってこの上なく幸せないち日だったんじゃないかなあと思っているんですね。もともとそういうことが大好きで、土手に寝っ転がって流れる雲を見上げているとか、魚釣りに行ってじっと川面を見つめているとか。
周囲から見るときっと呆けているようだったと思うのですが、当人はそういう時にただボーッとしているのではなくて、実はものすごくいろんなことを考えているんです。理論的にものごとを思考しているのとは違って、空想の世界。ありえないストーリーが浮かんできてそのドラマの主役として空想世界を駆け回ったり、空想と言うには曖昧でカタチを成していない、色とか香りとか、田んぼでオタマジャクシを触った時の感触とか、そういうのに浸っていることもありました。ひとことで言うと、ものすごく内向的な子どもだったということですね。

自分のそういう面を「自分のイカした個性」として受け入れられたのは、30歳を過ぎてからだった気がします。それまでは自分のそういうところに、ほんの少しだけですけどコンプレックスを感じていて、できれば人に悟られたくないと思っていた気がします。

これが田村さんちでハーブティーをいただいた後に手帳に書いたことです。何だか微妙な話で、わかりましたかねえ。
この話、明日に続きます。

コンプレックスの裏側( 田村邸 11)

田村さんちのブライダルベール以外の草花をご覧いただきながら、昨日の続きです。

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一日中、流れる雲や花を眺めて空想の世界をただよっているような、周囲から見たらただボーッとしているような自分の性質を、コンプレックスから「何となくいいかも」と思い出したのは20代の終わりごろでした。そうしたら日常が俄然楽しくなってきたんですね。
振り返るとその辺りからぼくは人間らしくなった気がします。それ以前はカタチは人間ですが中身はクワガタみたいな(不気味でしょう)、まあそういうもんですよね若いってことは。

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コンプレックスかあ・・・。あなたのコンプレックスは何ですか?ありますよねひとつやふたつ。
実はコンプレックスと自己肯定観は裏表一体なんですよ、これほんと。コンプレックスだと思っていることをパラッと裏返せれば、そこに自分の自分らしさや得意分野があるのです。つまりコンプレックスの裏側に幸福の入り口がある、ということ。

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・・・そんなこと言われたって、どうしたらいいのかわからないですよね。もう少し我慢してくださいね、ちゃんといい結論を用意してますから。

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例えばパナソニックの創業者・松下幸之助さんは、学歴がなかったから勉強して、お金がなかったから一生懸命に働いて、身体が弱かったから従業員を大切にして、それで松下電器ができあがったというのは有名な話です。学歴がないこと、貧乏なこと、身体が病弱なこと、すべてコンプレックスですよね、普通は人生がうまくいかないことの理由や言い訳にしてしまうことばかりです。
松下幸之助さんはなぜそれらをいい方向に活用できたのでしょうか?精神力、根性、天性の才能・・・、伝記を読むとそういうことになるんですが、ぼくはもっと単純なことのような気がしています。それは「自分が好きだった」ということです。もの静かな風貌なのであまりそういう風には語られていませんけど、経営の神様・松下幸之助は自分大好き人間だった。自分大好きな関西人。
コンプレックスがいくつあろうと、それ込みで自分が好きですから、だからコンプレックスから目を背けることがなくて、それどころか(それ込みで自分が好きなわけですから)コンプレックスは自分の個性・特性、魅力とすら思っていた。名著「商人心得帳」なんかを読むと、そういう感じが伝わって来ます。きっと当たっています。

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自分が好きなら自分の抱えるコンプレックスから目を背けることもないし、それを隠そうともししません。これね、ぼくも含めて関東の人って苦手なんですよね。でもそう言っててもしょうがないので、もし「自分の◯◯が◯◯だからうまくいかないんだ」と思っている関東人の方は、ちょっとトライしてみましょうよ、その◯◯が何なのかを紙に書くんです。
言葉で書くとその◯◯が何なのかがはっきりします。たいがい◯◯から半分目を逸らせたまんまで文句だけ言っているもんですからね。その実態がつかめれば、案外たいしたことではないという場合もあるし、正体がつかめれば対処方法はいつくも浮かんでくるはずですから。

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自分大好き人間はコンプレックスを利点に変える。そうなるための第一歩はコンプレックスと向き合ってその正体を暴き出すことです。

いやあ、何だかテレフォン人生相談の加藤諦三みたいになってしまいました(笑)。

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出っこみ引っこみ丸抱えで自分を認めること、それが自分を好きになるということですよね。そうすると何が起こるかというと、他人のことも好きになるんです。自分を好きになると人も好きになる。するとどうなるか、おもしろい人、すばらしい人が次々目の前に現れ始めます。出会いが積み重なっていって、人生がどんどん楽しくなっていくんですよね。出会いの連続で人生がつくられていく感じが49歳の今まで続いています。

この話題を、ブライダルベールの花から延々引っ張ったのにはふたつの理由がありました。
ひとつは子育て中の皆様へのメッセージ。

お子さんがものすごく内気でも、何をやるにも超マイペースでも、それがその子の個性だというふうに認めて、子どもたちの自己肯定観を育ててあげてくださいね。「ダメ!」と「早く!」は極力封印して(ついついこればっかり言ってしまいますよね)。子どもなんですから、大人の思い通りにいくはずがないんです。聞き分けがよくて親がストレスを感じたことがない、そういう子どもがいたらかえって心配なくらいですよ。大丈夫です、放っといてもちゃんと大人になって、あなたを叱るようになりますから。

そしてもうひとつは「庭」のことです。それはまたあした。

「自分大好き」なもんで( 田村邸 12)

ブライダルベールの小さい白い花からよみがえった「幸せないち日の記憶」から、延々とコンプレックスと自己肯定感の話に熱が入ったもうひとつの理由は、庭も同じだと思ったからです。

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一年中、もう何年も、ほぼ毎日庭に関する相談を受けていて、繰り返し「現状の庭への不満や問題点」をお聞きしています。それをヒントに何をどう改善するのかを考えることが、ガーデンリフォームの基本。問題点さえハッキリすれば、そこを変えていくことで庭は進化します。大丈夫です、まかせてください。

ちょっと残念なのは、問題点が曖昧だったり、不満が漠然とした状態のままで、そこから先に思考が進まないケースや、問題がハッキリしていても改善しようという方向にイマジネーションが広がっていかなくて、不満の上で足踏みしているような場合です。庭のこと以外でもそうなりがちなんですよね、「文句言って終わり」みたいな。

「もっと広かったらいいんだけど、うちの庭は狭いから何もできない」

「日当りが悪いから何やってもむり」

「ほんとはいろいろやりたいけど、道路から丸見えだから」

「お金が余ってたらねえ・・・」

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「文句言って終わり」、ぼく自身日常生活の中で結構そういうところがあって、しょっちゅう反省しています。文句言ってても何ひとつ変わりませんからね。

それで、庭も同じだというのはこういうことです。

「コンプレックスと自己肯定感は表裏一体で、コンプレックスと向き合ってそれをひっくり返せれば、そこに幸福感に満ちた世界への扉がある」

「不満だらけの庭とよくできた庭は表裏一体で、庭への不満と向き合ってそれをひっくり返せれば。そこに幸福感に満ちた世界への扉がある」

ね、同じことなんです。人生も庭も「コンプレックス(不満)不満があればこっちのもん」なんですよ。
松下幸之助さんのように、自分(庭)大好きになって、コンプレックス(庭への不満)の正体をハッキリさせて、イマジネーションを発揮して、幸福感に満ちた人生(庭)を実現しましょうよ!

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コンプレックスと自己肯定観か・・・。
大好きな夏休みがスタートして気持が高揚しているもんですから、ついつい熱く語ってしまいました。暑苦しかったですか?まあこんなこともあります。自分でも暑苦しいなあと思いながら書いてるんですよ。うるさいですよね庭がどうした人生がどうしたって。まあそういうガーデンデザイナーがひとりくらいいてもいいですよね。ぼくもまた「自分大好き」なもんで。

明日は田村んちの最終日です。もう一度ビフォー・アフターを眺めながら、この庭の何が変わったのかをまとめてみようと思います。

庭への新たな意欲( 田村邸 13)

田村さんちの最終日です。
もういち度プランとビフォー・アフターをご覧ください。

Plan A

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Before 1

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After 1

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Before 2

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After 2

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テーマは「ついつい族の悩める庭をどう改善するか」。

導線を整えながら平面を整理して、過ごす場所をつくって、立体構成で居心地のよさを演出して、そして庭が完成し、「ついつい族」に新たな意欲が。グランドカバー用の植物が大量に買い込んでありました。

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近所のお友達からも「きれいになったわねえ」と声がかかるそうで、リニューアルした庭で、新しいガーデニングの世界が始まろうとしています。ガーデンリフォーム大成功!


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