Happy Birthday

　時の経つのが早すぎて、この調子だと気がついたらもうジイジくんは消えていて、いい人だったよね〜みたいな。

　まあそんなこと考えても仕方ないので、やーめたっと。ただそれほど、ぼくが感じている時間と孫たちが成長する時間との落差が激しすぎなのです。

　古今東西、この不可思議な感覚は全人類が抱いたことで、総括するならば、「幸せだなあ〜」となるのでしょう。

　もうひとつ、その幸福感を胸に「頑張らねば」と思います。

　何を頑張るのか？よくわからないけど、とにかく頑張って、その姿を彼女らの記憶に刻まねばなるまいて。

　ぼく自身がそうだったんですよ。生涯現役で家業と民生委員の役に励んで、世間様から感謝され、大家族の幸福を築き上げた賢一爺さんの姿が、ぼくの人生を支えてくれました。

　記憶の中で、休むことなく動き回り働いていた祖父は、笠智衆に似た老人そのものでした。ところがよくよく考えると、今の自分と同じくらいの年齢です。

　健康寿命が延びたのか、あるいは老人の概念が変化したのか、昭和と今では老人像が全く違います。よく言われることで、磯野波平は５４歳ですよ。それであの姿。ぼくなんか頭が古いものだから、歳取ったらそれなりに老人化して、好々爺となるのが人生上の勤めである、くらいに思っていたのに。

　もうやーめたっと。こうなったら美魔女ならぬ美魔王を目指しますよ。フォーレバヤング（ボブ・ディラン）、ビバ〜ヤング・パヤパヤ・ビバヤング！（オールナイトニッポン）。

　てなことをウダウダしていたら、いい感じのご夫婦がご来店。庭に目隠しが欲しいとのこと。横浜から鎌倉の海辺に移住されたそうで、やっぱり海を見ながら人生を仕上げたいと、一大決心で家を建てたそうです。さすがに湘南の一等地ですから、空気感も、生活感も、横浜とは違うとおっしゃっていました。本当に、決心して良かったと。

　とにかく素敵なご夫婦だったんですよ。ぼくよりひと回り下らしいけど、仲良しでいるということだけでも素晴らしいのに、二人で理想の暮らしを実現してゆくその感じが眩しかった。