「もう歳だし、庭の苦労を減らしたい」という相談が立て続きました。状況を伺って、何通りかの解決策をお話しし、多くの場合はご自分たちでガーデンリフォームに着手、途中何度か進捗状況の報告に来てくださる方もいらっしゃって、皆さん嬉々として庭へ向かいます。これもステイホームの効用と言いますか、庭を改善することで暮らしを整えるという、次なるカタチなのかもしれせんね。
枕詞
夏は来ぬ。
夕立雲で陽が陰り、もえぎ野公園に静寂が。
それはいいんですけど、自分の中でちょっと引っかかっちゃうのが「もう歳だし」という枕詞。「たらちねの」や「ちはやぶる」みたいに、さほど意識せずに前置しているのでしょうけど、それを使うことに迷いがあるのです。さらっと言っちゃう方が自然な気もするし、同時に言いたくない気持ちもあるし。
ぼくは60歳。この逡巡を抜け出すために、いつも思い出すのが所ジョージ(65歳)と坂崎幸之助(66歳)のこと。つまり「やりたいことがありすぎて、そんなこと考えてる暇はないよ」という出口にたどり着く。人生楽しんだ者勝ち、勝ち負けじゃないけど、もしも庭が勝利を阻害しているなら声をかけていただきたい。そこをどうやったら楽しい場所になるかをお伝えすることが、ぼくの、年齢とは無関係に存在する大きな楽しみですから。
あ、そうそう、ホームページはすごいけど、なあに、うちは大した店ではありません。あるお客様から「ホームページを見たんだけど、立派な庭ばかりだからこんな相談すると叱られそうで」と前置きされてしまいまして、そうかあ、そんなふうに感じるのかと、このトゥーマッチな性分が敷居を上げてしまっていたのかと反省猿。相談内容は芝生をなくして手入れの苦労から解放されたいというものでした。しばし改善策をお話ししているうちに「なるほど、芝生を少なくするだけで手入れが楽しくなるんですね。うんうん、確かに広すぎた。気がつかなかった。もともと芝刈しながら暮らすのが夢だったことを思い出しましたよ」とニッコニコ。次は減らした部分をどう扱うかを考えてください、と話を進めたところ「それは畑と、本を読めるテラスだな」と即答。めでたしめでたし、これでまたひとつ素敵な庭が出現します。