ビフォーはこうです。
駐車場の奥の前庭と、リブングの外の裏庭に分かれています。
芝生と花壇。
それなりのコストをかけて、ちゃんとそれらしくなっているこの2ヶ所の庭スペースが、なぜ何年経っても「楽しめない場所」のままだったのか。
いくつかの要因があるんですけど、ピンとくるでしょうか?いつもぼくのクドクド話しに付き合ってくださっている常連さんはいくつかのポイントが見えることと思います。
さあ、今回のシリーズはまたそのクドクド話をやりますよお!そこに庭を楽しい場所にするヒントがたくさん詰まっていますので乞うご期待。もしかしたらお宅の庭も当てはまることが出てくるかもしれませんよ。
お付き合いくださいね。庭が楽しい場所になっていることは、幸せを実現している人たちの共通点なのです。
毎日絶好調で暮らしたいものですが、なかなかそうはいきません。体調もよく気分も晴れ晴れとして、何をやってもうまくいく日もあれば、たまにはまったく逆の日もあります。
自分で気がついていることがあるんですね。それは、朝の調子がいいと一日いいことが起こリ続けるし、朝からイライラしたり起き抜けの体調が良くないとなかなかリカバリーできなくて、その日はあまりいい日にはならないということです。人によって違うんでしょうけどぼくの場合はそうです。
だから朝が勝負。朝の一時間を使って、(掃除や身支度しながら)自分をいい状態に仕上げていきます。スポーツ選手がウォーミングアップをするように、その日の設計や打ち合わせが素晴らしいものになって、思いもよらないすてきな出会いがあって、ものすごく美味しい食事にありついて、大笑いしたり、感動で涙したりして、多少筋肉痛が残るくらいの適度な運動もして、そして「あぁ、今日は素晴らしい一日だった」と充実感いっぱいで眠りにつく、というようなイメージを膨らませます。
そうしているうちに、寝ている間固まっていた表情筋がほぐれてきて、ぼくのこんな顔でもだんだん人相がよくなってきます。人相がよくなると運気も上がるんじゃないですかね。
「早起きは三文の得」です。早起きしてイマジネーションのウォーミングアップをしましょう。
• 前庭は芝生と花壇がほしい。
• 裏庭はウッドデッキと石かレンガのテラスがほしい。
• 雑草取りをしなくていいように土は砂利を敷き込んでほしい。
業者さんはとってもまじめな人で、そのあなたの提示した要望の言葉そのままの庭をつくりました。
依頼通りの庭なのであなたは代金を支払いました。
新居での生活で、その庭はあってもなくてもたいして変わらない、あまり存在感のない場所になりました。
あなたは3つのことを失いました。1、価値のない庭にお金を払った。2、せっかく手に入れた土地の何割かを、あまり価値のない場所にしてしまった。3、本来なら家族で楽しめたはずの庭での時間を過ごさなかった。
残念なことですけど、新築の家の大半はこのパターンです。
住宅地には、パッと見庭っぽくなっていても、実際には庭の楽しみを感じることができない庭が無数に存在しています。
あなたの言葉通りに庭をつくった業者さんには何が欠けていたのでしょうか?あなたはどういうふうに依頼すればよかったのでしょうか?
両者に欠けていたのは「楽しむ」ということです。
- 前庭は、ガーデニングか大好きなので、芝生の手入れや草花や野菜を育てることを思う存分楽しめる庭にしたい。
- 裏庭はリビングが外に広がった感じの、いつでも本を読んだりティータイムを楽しんだり、子どもたちがおもちゃだらけにして遊べるようなウッドデッキと、バーベキューや朝食を楽しめるようなテラスにしたい。
- 極力雑草取りの手間がかからないようにしつつ、デッキやテラスにいながら季節を感じられるような、そんな、外にいることが楽しくなるような植栽スペースがほしい。
こういうふうに依頼したら、まじめな業者さんは「楽しむ」ための庭を真剣に考えてくれることでしょう。
では、まじめに「楽しむ」ことを考えたプランをご覧ください。
前庭プラン
左側から拡大で2分割します。
裏庭プラン
「楽しむ」ために、既存の庭に何を加えたのか。明日から解説していきます。
ここ数年は暖冬が続いていましたけど、今年は冬らしい冬ですね。西高東低の気圧配置で太平洋側に刷毛でサッと描いたような筋状の雲が流れていて。新潟は大雪で、横浜は快晴なんですが庭の日陰に霜柱が立っています。
昨日の朝、いつものように店の前を掃除して水を打ったら、スケートリンクのようにツルツルに凍ってしまいました。
予報によると来週は冬型が緩んで、こんな冬らしい寒さも今がピークだそうです。そう思うとこのキーンと冷えた朝の空気もうれしく感じます。
ホームセンターの園芸コーナーには、昨日色とりどりに咲いたチューリップが入荷して、売り場が一気に明るくなりました。
「冬来たりなば、春遠からじ」
てっきり日本のことわざかと思ったらちがいました。イギリスの詩人シェリーの詩に出てくる言葉だそうです。
If Winter comes, can Spring be far behind?
イギリスも四季がある国。季節は人に耐えることと希望(また春がやってくること)を教えてくれますね。
庭の霜柱が朝日にキラッと光りながら融けてゆく感じ・・・「冬来たりなば春遠からじ」です。
Before 1
After 1
打ち合わせを重ねるうちに当初の設計とは違う仕立てになりましたが、設計意図は同じです。
Before 2
After 2
木工フェンスで目隠ししつつ、庭の空間を認識させる。空間を認識させるとそこに行ってみたくなり、そこで時間を過ごしてみたくなるものです。
平面的な場所には人は立ち入りません。まるでそこに身の危険を感じているかのように、平面的な場所をさけて暮らしているのです。
ほんとですよこれ。ぼくが重箱の隅をつつくような思考で発見したことなんですけど「人はこもった場所に入りたがる」のです。
Before 3
After 3
平面に立体的な厚みを持たせて空間に仕立てたとき、庭は「おいでおいで」と人を誘い込んでくれます。
Before 4
After 4
木陰ができるような木を植えるとか、アーチを設置するとか、方法はいろいろあります。
平面に厚みを持たせると、庭は招き入れてくれる。
あなたの庭に当てはめてみてください。
キーンと冷えた空気と澄んだまぶしい日差しと、冬の朝は気持ちいですねえ!
天気図を見ると日本海側は大雪です。新潟の実家では、きっと暗いうちから起き出して道路の雪かきしてるんだろうなあ。がんばれー!
できるなら飛んで帰って雪かきを手伝いたいんですが、そうもいかなくて・・・。
雪のない土地でのんきに暮らす、このかすかな後ろめたさをエネルギーに変換して、さっ、今日もはりきっていきますよお!
Before 5
After 5
何をやったかと言うと、目隠しです。
庭を過ごす場として成立させるためには「道路や隣家からの目隠し」が必要。テラスやデッキをつくって、そこにイス・テーブルを置いても、周囲から丸見えだったら過ごす場所にはなりませんよね。
多いんですよお、このことに気がついていないばっかりに使えていないデッキやテラス。
庭から周囲を見渡して、さらに道路から庭を見て、どの位置にどれだけの目隠しがあれば落ち着いて過ごせるのかをイメージしてみましょう。
目隠しの方法は、塀を建てる、木を植える、ラティスを設置するなどいろいろとります。あまりやりすぎると閉塞感が出たり、防犯上のこともありますので、最低限必要なのはどこまでなのかを探るようなやり方がいいでしょう。
Before 6
After 6
昨日の「こもることの快適さ」に加えて「必要なところには、必要最低限の目隠しをする」という、このことも庭を楽しい場所に生まれ変わらせるためのチェックポイントです。
週末はお客様との打ち合わせが続きます。昨日も数件のお宅にうかがって庭の話をしながら夜になりました。
設計しているときの高揚感、充実感と同じく、お客様にお会いして、一緒に庭をイメージしているときの楽しさは最高なんですね。
お客様と一緒にまだ見ぬ庭をイメージする。庭をイメージするということは、家族の風景をイメージすることですから、自然とそのご家族の幸せな未来をイメージすることになります。
ピンポーン「こんにちは。グレースランドのいわふちです」と、一日に数件のお宅にうかがって、そのご家族の幸せな未来をイメージする。
幸せ伝道師とか幸福コーティネーターみたいな仕事なんですよね。そう言うとちょっと怪しいですかね。
Before 7
After 7
今日解説する「庭を楽しい場所に生まれ変わらせるためのポイント」は庭に出やすくするです。
Before 8
After 8
よーく見てください。バーベキューテラス全体がビフォーよりも約40センチ高くなっています。これがポイント。
庭を外の部屋と捉えれば、その部屋に行くのに大きな段差があることはものすごく不便で不自然です。
庭に出やすくする方法は他にもいくつかあります。最初の一歩が広々している階段。一足目が広いと、玄関から出る時のように足元を気にしないでサッと出られます。そしてウッドデッキ。これは段差がないわけですから、部屋にいる感覚のままで屋根のないところに行けます。
現在の建物は昔の家と違って基礎が頑丈にできていて、その分床面の設定も高くなるので庭が遠い存在になっています。山手の洋館を見ると、その段差が少なくて、そのとこだけでも庭が近いと言うか、リビングと同等の価値を持って暮らしの場所として存在していることを感じます。
反対側から見てみましょう。
Before 9
After 8
昨日の目隠しと、今日の庭に出やすくするで、この場所はワクワクするような「過ごす庭」になりました。
Before 9
After 9
今回のように庭全体を持ち上げたり、階段を工夫したり、ウッドデッキや濡れ縁を設置することで庭に出やすくすること。
庭に出る時に「よっこらしょ!」と声が出るようでは、庭の入り口からしてすでに困難なわけですから、そこを楽しい場所にするのはたぶん困難です。
今朝は暖かいですねえ。一瞬「春かな」と錯覚するほどです。
昨日なかなかいい感じに描けなずにやりかけだった設計が、夢に出てきて、夢では一瞬で完成しました。たぶん今日はその夢のようにサクサクと描けるはずです。
ユングとか夢判断は詳しくありませんが、経験的に、仕事が夢に出てきた翌日は、たいがい絶好調。
よしっ!夢のイメージが消えないうちに、即、仕事に取りかかります。
まだ朝なのに「今日はいただき!」というこの感じ、いいなあ。ニヤニヤしちゃうなあ。勝ちが見えていて、あとはその瞬間を待つだけみたいな。
油断しないように、ちょっと気を引き締めつつ、今日を楽しませていただきます。
Before 11
After 11
既存のデッキにベンチとパーゴラを取付けました。
そのことによって生まれた感じは部屋っぽさです。
テラスやデッキを部屋っぽく演出する時に、この三角のパーゴラ(コーナーパーゴラ)がとても便利で、いろんな庭で毎月何ヶ所も設置し続けています。
これを使って空間の角を押さえることで、庭全体に厚みが生まれて、パーゴラの下はこもった感じになって、さらに柱にパネルを組み込むことで部屋っぽい感じが生まれます。屋外仕様の壁と天井というか、実は壁でも天井でもないんですけど、それを連想させる構成ができあがるということですね。
Before 12
After 12
そうやって部屋っぽくなったデッキの外側に、常緑樹と落葉樹を植えました。これもまたデッキを魅力的な場所にするための演出です。
Before 13
After 13
デッキからテラス側を見ると、テラスの目隠し塀がウッドデッキにも効果を発揮していて、
Before 14
After 14
これでもともとあったテラスとデッキの2ヶ所が楽しい場所になりました。
Before 15
After 15
ここまでビフォー・アフターをご覧いただきながら「庭を楽しい場所にするためのポイント」として、
- 平面に厚みを持たせる
- 目隠しをする
- 庭に出やすくする
- 部屋っぽくする
と解説して来ました。
明日からは前庭と裏庭の完成写真を並べながら、さらに続けます。
今日はこの木工フェンスについてです。
このフェンスの意味は3つあります。
- お隣りとの目隠し
- 前庭全体に厚みをもたせる
- 場の雰囲気をつくる
そして3番目が今日のポイントです。場の雰囲気をやわらかい、なごやかな感じにするために、風合い素材で構成するということ。
1の目隠しと2の立体構成を考えてここに塀を建てる場合、一般的にはブロック積んでアルミか樹脂の目隠しフェンスを設置してしまいます。でもぼくのヘソは少しだけ曲がっているので、ご覧のような手作りで天然板を使った木工フェンスを提案することが多いんですね。
コンクリートブロックやアルミや樹脂の製品なら、メンテナンスもいらないし、腐食の心配もしなくていい。なのになぜ手入れが必要で、日に焼けたり反ったり割れたりする材木のフェンスを提案するのかと言うと、「その方が感じがいいから」です。
庭を構成する時に平面よりも立体の構成物の方が場の雰囲気を支配します。もしここがブロックとアルミのフェンスだったら・・・、とイメージしてみてください。どうでしょうか?味気ないでしょ。殺伐とした感じ、とまでは言いませんけど、コンクリートブロックとアルミでお隣りの視線を遮断して、その前でガーデニングを楽しむよりも、材木のやわらかい風合いに包まれた空間の方が数倍楽しい感じがします。
それともう一点、アルミや樹脂やコンクリートは、時間が経つにつれて劣化します。材木も劣化しますけど、同時に風合いを増します。
時間が経った時に風合いを増す素材、木材、レンガ、天然石などと、劣化するばかりで風合いが出て来ない素材、コンクリート、アルミ、樹脂を適材適所で使い分けたいものです。
庭を楽しい場所、時間の経過で価値を増してゆく場所にするために、極力天然に近い風合いを増す素材で構成しましょう。
その庭がいい感じのお気に入りの場所だったら、多少の手入れは庭の楽しみのひとつになります。つまり、風合い素材で構成することは、手入れということも含めて庭の楽しさを増す選択なのです。
運気ってありますよね。
ここ数日、突然のうれしい来訪者が続いていて、何となくそういう運気なのかなあと感じています。
人に会うって楽しいです!というか、楽しい人だけがやってくるというか、そういう感じです。ちょっと怖いくらいに、ぼくが会いたいと思っている人と、特にそんなふうに思っていなくても会ってうれしく感じるタイプの人だけが目の前に現れて、楽しい時間を提供してくれます。
ありがたやありがたや。
はなし変わって、武田双雲さんのブログに「なるほどなあ」ということが書いてあったので転記しときます。
僕が1年以上続けている習慣は
・1週間に1回は嫁のマッサージをすること
・腹筋10回以上(たった10回というのがミソ)
・毎日ブログを書く
・毎日書を書く(これは仕事上、ほぼ自然にできている)
・月に10冊読書
・1日1回は大笑いすること(これは何十年もできてるかも)
・1日100回以上「ありがたい」と思うこと(これはマジですごい効果)
です。
双雲さんらしいなあ。勉強になるなあ。ほんと、素敵な方です。
これはガーデニングがメインの庭では特に大事なことで、歩く場所と植える場所をハッキリと分けて、土を踏まずに植物の管理ができるように、さらに庭での動きがスムーズに、庭の端から端まで手が行き届くように設定します。
これができていない庭は草花を植えれば植えるほど雑然として、ついには収拾がつかなくなってしまうんですね。雑草取りも切りがないというか、ついには、どれが雑草かもわからなくなってしまいます。
当初の設計では歩く場所を天然石の乱張りで設定していましたが、コストダウンのためもあって、テラスにもともと敷いてあった平板を転用することになりました。
これですね。
丁寧にはがして、組み替えて、こうなりました。
次は裏の駐輪場に自転車を入れる通路です。
これも既存のまくら木を使いました。
地面をその庭の用途や、庭での人の動きを考えながら区分けすることを、設計ではゾーニングと言います。
このゾーニング(平面的は区分け)と昨日まで解説して来た立体的な構成によって、庭は楽しい場所に変わってゆきます。
ガウディーは言っています「人は平面上で思考し、天使は立体的に思考する」と。
幸せな空間を追い求めて思案する人のもとに天使が舞い降りて来た時、楽しい庭、しあわせな場所はできあがるのです。
いい天気だあ!
朝から気力充実で、早く次の設計に取りかかりたくてウズウズしています。根っから好きなんですよね、この仕事。
昨日書いた武田双雲さんに倣うと「こんなに楽しい仕事をしながら暮らすことができて、ありがたいなあ」という気持ちです。
いち日に100回「ありがたいなあ」と思う。
さっそく今日からやってみます。
よしっ、今日も設計しますよ!ありがたいなあ。
これは、庭を設計する時の核になることなんですけど、提案者も依頼者もこのこと抜きに庭を考えている場合が多くて・・・。
「イメージできたらできたも同然」なんですね。イメージしないことは実現しません。たとえ「楽しい庭」と百回となえても、その楽しさをシーンとして思い浮かべない限り楽しい庭は目の前に現れないのです。
では、バーベキューテラスに入って行きましょう。
小椋さんちはご夫婦と小さい男の子の3人暮らしです。
シーン1:休日の朝
ゆっくり目に起きて来たご主人は、缶ビール片手にテラスに出てきて、囲炉裏に炭を熾すことから一日が始まる。
シーン2:休日の午後
朝からのビールで気持ちよくなってベンチで昼寝していると、遊んでほしいとぼくちゃんが起こしにくる。
ひとしきり遊んだところに、友人家族がやってきて、バーベキューが始まり、深夜まで楽しい時間が続く。
シーン3:平日の朝
ここでの朝食が習慣になって、家族全員早起きになった。
庭で朝食をとるようになってから、体調が良くなり気分も最高で仕事も絶好調。暑くても寒くても、庭での朝食はもう止められない。
シーン4:平日の夜
仕事から帰ったご主人がリビングを通り越してテラスのベンチに腰掛けると、そこに奥様が冷たいビールとメニューを持ってくる。クーッうまい!とビールを飲んで、つまみを注文。おつまみは有料で、その水揚げは奥様のガーデニングの資金になる。
シーン5:テラスで夕食
気候のいい時期はテラスで夕飯が普通になった。バーベキューをしなくても、外で食べると何でもごちそうに思えるし、開放的なので会話がはずし、いち日の疲れがきれいさっぱり消えてしまう。
シーン6:就寝前に
元気いっぱいで駆け回っていたぼくちゃんが、電池が切れたようにコテッと眠ったら、そこからは夫婦の時間。ふたりで庭に出て、キャンドル灯してワインで乾杯。
という具合で、その場所を舞台にしたシーンを次から次へと思い描きながら設計しています。
だから時々ニヤニヤと笑っていたり、「いいねえ!」と声を出したりで、そういうぼくの奇行を新人スタッフはいぶかしく思うようです。でも、そういうものなんですよ庭の設計って。
楽しさをシーンとしてイメージする。このことを抜きに楽しい庭は実現しません。できることならカラーで、セリフも入って、風や日差しや、花の香りもイメージできるといいですね。
朝、まだ誰も歩いていない道を店へと向うときには、すでに、その日に設計する庭でのシーンが浮かんできます。もしかしたらこれって才能なのかもしれないなあなんて思うんですね。
この仕事を始める遥か前、小学生のころから始まっていた空想癖。はた目にはただボーッとしているように見えたそうですけど(いつも空を見上げてボーッとしているのでヒデボーと呼ばれていました)、本人の頭の中は映画館状態でした。目の前のスクリーンにゴジラやケムール人が大迫力で出てきたり、「もし今、地球上にぼくひとりになったら・・・」とか。タイムマシンに乗るのは定番の空想でしたし、空を飛ぶことも3回に1回は成功しました。
視線は教室の窓から見える山並と空行く雲。しかし焦点は合っていません。先生に指されるか、授業の終鈴で我に返るまでの宙に浮いているような時間。その空想世界にいるときってワクワクして、現世の100倍楽しかったなあ。
きっとぼくだけじゃなくて、小学生ってそういうもんですよね。だから、朝から設計する庭のシーンが浮かんでくるのは、特殊な才能でもなんでもなくて、ただ幼稚な頭脳のままで大人になってしまったってことかもしれません。
今日もいち日、小学生頭脳でワクワクしながら設計します。
まず樹木です。木は四季折々に変化しそして成長し続けますので、近い未来では夏になったらどうなって、秋、冬とどう変化するのか。遠い未来では5年後どうなって、10年後、20年後にはどんな形の大木になるのか。それをイメージした上で樹種の選択と配置を考える必要があります。
樹木だけではなくて、このウッドデッキもそうです。デッキの寿命は一般的に15年と言われていますので、その間どんなふうにして楽しみまくるのかをイメージすること。限りある時間だからこそ、有意義に楽しむという気持ちがあると、ウッドデッキの価値は何倍かに膨らみます。
そしてさらに、デッキの寿命がきた後に、今度はその場所で何を楽しむのかまでイメージしましょう。「15年後かあ。子どもも大きくなって親と遊んでくれなくなって、そしたらここは畑にして夫婦で野菜づくりでもしようかなあ」とか、「15年経ったら定年が近くなるから、ガーデンハウスを建てて趣味のプラモデルに没頭できるホビールームにしたいなあ」とか、「孫が5人はできているだろうから、その子たちが夢中で遊べる庭がいいかなあ」など。そして念じるのです「みんなが元気でそんな日をむかえられるように、このデッキで、いい時間を重ねていこう」と。
先々の庭をイメージすることは家族の未来予想図を描くということ。これもまた「イメージできたらできたも同然」です。幸せな未来の庭を思い描くことができたら、家族の幸せな未来も実現したようなものです。これは庭屋の実感。
ウッドデッキの寿命は15年と言いましたが、最近増えて来たポストウッドデッキは「またウッドデッキ」です。塗装や補修をしながら使ってきて、さすがにもう限界かな、となったときに、再度ウッドデッキをつくる。それだけ楽しんできたということですね。
「もう一度ウッドデッキを」という依頼があるたびに、ウッドデッキ特有の魅力ってのがあるんだよなあと感じます。
ホームセンターの園芸売り場からパンジービオラが姿を消して、代わってチューリップが並べられました。春だなあ〜。
おっと、まだ1月でしたね。
今日は港南台店にいますので、遊びに来てくださいね。
そうそう、今日はロイヤルホームセンターが全品10%offだそうですよ。うちの奥さん、ちょっとはりきってました。一緒にバリバリ仕事してるのでついつい忘れがちですけど、そういうところに反応するところが、主婦だなあ〜!
- 平面に厚みを持たせる
- 目隠しをする
- 庭に出やすくする
- 部屋っぽくする
- 風合い素材で構成する
- 平面を区分けする
- 楽しいシーンをイメージする
- 未来予想図を思い描く
解説がピンとこなかったり、こういうことをネチネチ考えるのが好きじゃない人は、ぼくに電話してくだされば、現地にうかがって即座に問題をあぶり出して解決策をお教えします。
ぼくのフィルターを通すことで、つまらなかった庭が楽しい場所になって、あなたとあなたのご家族が幸せをひとつ手に入れられるとしたら、こんなにうれしいことはありません。
明日から、引き続き小椋さんちの庭の細部を解説していきます。
数日間、港南台の店で設計していました。冬らしくない暖かい日が続いたせいでしょうか、みなさんの庭への意欲に火がついたようで来店数が急増。いろんな方と庭の話ができて、何だか満ち足りた気分になっています。
庭について考えるっていいなあ。庭のことをあれこれ考えている人は、実は庭がある暮らしとか家族のことを考えているんですよね。
そうそうこのことです。
庭を考えることは家族を考えること。
すてきな家族にはすてきな庭が存在します。そして、すてきな庭はすてきな家族を育てます。
昨日ご来店くださった新婚さん、読んでくれてるでしょうか。
庭によって家族が育つというのは、子育てのことだけじゃありませんよ。夫婦も、親子も、その関係性は成長するのです。
夫婦は結婚したら夫婦になれるわけじゃなくて、結婚は二人三脚のスタート地点。いきなり足が絡まってずっこけたり、コースを外れて道に迷ってふたりっきりで途方に暮れたりしながら、少しずつ夫婦らしくなっていきます。何たって二人三脚ですから最初はなかなか呼吸が合いません。うちなんかちょっと進んでは転び、やっと立ち上がったらまた転びの繰り返しでした(いまだにヨロヨロしています)。
親子関係も同じ。親は子どもに育てられることで親になっていきます。奥さんのお腹の赤ちゃんが、これからおふたりを親として育ててくれますよ。
ですからおふたりには、新居の庭スペースを「木や草花を育てる場所」じゃなくて「家族を育てる場所」としてイメージしていただきたいなあと。庭ってそれができるんですよ。家の中、リビングやキッチンも家族を育てますけど、庭にそういう意味を持たせたら、室内の何倍もその役割を果してくれます。
庭は家族を育てる場所。おぉ!今日は言葉が決まるなあ!
「家庭」と言うぐらいですから、庭も、家のことと同じく家族の大切な場所としてイメージしましょう。
新婚さんとお話しすると、いつも自分たちダメ夫婦ならではのうんちくを山ほど伝えたくなります。「がんばれー!」と思わずにはいられません。あまりひどく転ばないように、上手に上手に、すてきな夫婦になっていってほしいなあ。ひどい転び方すると・・・痛いですからねえ。
いくつつくりましたかねえ、これ。毎月何ヶ所か施工しているので職人さんたちも上手になってきて、このごろでは円が歪むことがなくなりました。最初のころはこうはいかなかったんですよ。けっこう難しいんです、四角いレンガを丸く積み上げるって。
なぜ苦労してまで丸なのか。それは実際にこの囲炉裏でバーベキューを楽しむと実感できます。
円形だとイスの配置が制約されないので、参加者によって増やしていけるんですね。ベンチ以外に7人まで無理なく火を囲めます。だからベンチに3人並べば10人でバーベキューができるんですよ。四角い囲炉裏でもベンチに3人がけして各辺に2つずつイスを置けば9人になりますけど、全員が火を正面にして座るためにはやっぱり円形です。大人数の時の楽しさは四角よりも丸。
それともうひとつ、円形だとお互いに全員の顔が見えるということ。これもいいんです。
円卓会議って言いますよね、何かいい結論を導き出すための会議をそう言います。円卓を囲んで全員の顔を見ながら話すと、コミュニケーションがスムーズなんですね。
何かの番組で「一日でパートナーの顔を見つめる時間は2分に満たない」というのがありました。そうかもしれませんよね。うちみたいに一緒に仕事していて四六時中となりにいても、2分以上顔を見ているかと言うと・・・。この囲炉裏があれば、顔を見ながら食事をしたりお酒を飲んだりしますので、その時間は格段に長くなると思います。そうすればコミュニケーションアップ間違いなし!
みなさんは、連れ合いの顔のどこにホクロがあるか把握できているでしょうか。
いつもつくっている囲炉裏がなぜ円形なのかというお話しでした。
こないだテレビで、あまり映像では紹介されないという国会の閣議室の様子が流れました。なんとなんと、閣議は円卓で行われているんですね。結構狭い部屋で、大きな丸い机でした。
ちょっと微妙な印象を持ちました。国の舵取りを議論する人たちが円卓会議というのはどういうもんなんでしょうかねえ。もちろん内閣のチームワークは重要ですが、あまり仲良しこよしというのも困ってしまいますよね。・・・と思ってしまうほど、円形は和気あいあいな場を演出するのです。
わが家の食卓は、円形です。それになれているせいか、レストランに入って円卓の席に案内されると。ちょっとうれしい気分になります。
円形はいいですよ。円は家庭円満の円。
ぼくの設計するテラスやデッキには、スペース的に可能な限りこの手のベンチを入れています。昼寝ができるベンチ。
海外の庭ではハンモックをよく見かけます。
ぼくが最初にハンモックを目にしたのはた、まだ白黒だったころのテレビ番組「わんぱくフリッパー」だったかな、庭の木にくくりつけられたハンモックで、男の人がストローハットを顔に乗せて昼寝をしている、そんなシーン。その様子がこの上なくかっこよくて、気持ちよさそうで、ずっと記憶にこびりついていました。
そのハンモックでの昼寝を体感したくなって行動に出たのは34歳の夏。当時まだ独身で、豊島区の東長崎で一人暮らし。雑誌ブルータスで見つけたハンモックを衝動買いしたものの、住まいは狭いワンルームだったのでそれを広げることさえできませんでした。
そこで、そのハンモックをクルマに積んで、気持ちよく寝られそうな森を探して関越動を北上。東松山で下りて、人目につかない手頃な雑木林を発見し、中に分け入っていきました。
さっそく木にハンモックのロープをくくりつけて寝てみたんですけど、これが何とも寝辛くて。色々張り具合を変えてやってみましたが、やっぱり寝心地は良くなりません。寝返りが打てないのはイメージできていたんですが、それよりも肩が動かないんですね。ネットが重力をまんべんなく受け止めて一切身動きできません。自分の体重分の圧力が逆重力のように下側から被いかぶさってくる感じ。見事に罠にかかった動物みたいになって、もがくことすらできないのです。
「誰もいない森の中で、木漏れ日を感じながらハンモックで昼寝したら気持いいだろうなあ」というイマジネーションと、間抜けな獲物のようになっている現実のギャップ。ハンモックへの憧れというか期待が大きかった分、がっかりして、続いて何だか無償に腹が立ってきて、そのメキシコ製の3万円くらいしたハンモックは、その後使うことなく捨ててしまいました。
はずかしい、衝動と挫折(大げさですけど)の想い出です。
その後何年か庭の仕事をしていて、お客様への「庭で何がしたいですか?」という問いへの答えに「昼寝」というのが多くて、それでハンモック代わりに昼寝ができるベンチをつくり始めたんですね。これが大好評で。
昼寝はいいですよ。昼食後に10分でもうとうとすると、午後の動きが違ってきます。きっと体が朝と勘違いするのかもしれません。午後を朝の勢いで始められると、いち日が2倍になったようなお得感を感じます。
ちなみに、これはラジオ番組からの情報ですけど、午後3時以降や夕方に昼寝するのはよくないそうです。体が夜と勘違いしてしまって体内時計が異常を起こし、時差ぼけのような状態になるのだそうです。
睡眠というのは、毎日のことなのになかなかうまくいきませんよね。歳取ると早く目が覚めるのは、眠る体力が衰えてくるからだそうです。眠ることにも体力が必要ってのもおもしろいものです。
それと、朝の二度寝はいいことらしいですよ。
えーっと、それからですねえ(メモを確認)、いち日に6〜7時間眠る人が長生きしているそうです。忙しくて睡眠時間を確保できなかったり、熟睡できなくて早く目が覚めてしまう人は、二度寝や昼寝でカバーするのがよくて、細切れでもいいので、合計で6〜7時間になればいいということでした。
心身の不調から睡眠障害になる人が増えていると言います。気をつけましょうね。慢性的な寝不足とか昼夜逆転の生活は危険ですよ。
庭で昼寝、昼寝ができる庭、いいでしょう!休日にはこのベンチで本を読みながらウトウトするなんてのも、リゾートフルで贅沢な時間です。
このブログではおなじみの、栄区の庭達人、後藤さんが店に遊びに来てくださいました。丹精しているバラの根っこにカナブンの幼虫が大量発生したそうで、その駆除剤を買いに来られたんだそうです。
相変わらず元気いっぱいで、日々ワクワクしながら庭に出っ放しなご様子。ご主人はご主人で自室で趣味に没頭しているとのこと。ご夫婦それぞれに、毎日を楽しみまくっているんですねえ。いいですよねえ、そういう感じ。
後藤さんちの庭は一年中オープンガーデンしているみたいなもので、しょっちゅうお友達が集まっています。いつも笑顔があふれている庭です。そうやって集うとよく言われるんだそうです「いいわねえすてきな庭で。毎日楽しそうでうらやましいわ」と。そんなとき、後藤さんは
「あら、簡単よ。楽しむコツはね、楽しいことを後回しにしないことよ。楽しみを後に取っておくんじゃなくて、すぐに楽しんじゃうのよ。そうするとまた次の楽しみが浮かんで来るから、それもすぐに楽しむ。次から次から楽しみが浮かんで来るから、一日中楽しむのに忙しくて、楽しくないことをやってる暇がなくなるのよ」
と話すそうです。
さすがです!
バーベキューテラスの壁。この壁の一番の狙いは道路からの目隠しです。
ビフォーをご覧下さい。庭スペースが丸見え状態です。
それがこの壁によって、
こうなりました。
目隠しの他にもうひとつ役割があります。空間構成です。
ベンチの背後に壁があることで、テラス全体に空間としての厚みが生まれて「さあどうぞどうぞ」と招き入れてくれる場所になりました。もしそこに壁がなくてブロックとアルミフェンスとお隣の家の壁が見えていたら、囲炉裏とベンチがあったとしても、そういう雰囲気は出せないと思います。
奥に見えるコーナーパーゴラも同じ意味があります。
壁の仕上げはジョリパットという着色モルタルです。
小椋さんちの家の外壁に合わせた小手使いで、職人さんには「ケーキ屋さんが、スポンジに生クリームを下塗りしているみたいに仕上げてください」とお願いしました。
生クリームみたいに、新鮮で、やわらかくて、
指ですくってペロッと舐めたくなるような、
あま〜い感じに。
イメージ通りに仕上がりました。
「生クリームみたいに」とか「フワッと風が吹くイメージで」とか、いつもぼくのそういうリクエストを解してくれて、おもしろがって作業してくれる職人さんに感謝です。
「何言ってんだか」という受け取り方だと設計から施工へのパスがつながらなくて、そうなるとぼくのイメージはこの世に出現しませんからね。一緒に楽しんでくれる仲間がいるってありがたいなあ。
さっ、レノンの庭に出発します。今日は設計作業はひと休みで、庭のこと、夢のある庭、幸せな家庭のつくり方、上手な焼き芋のつくり方・・・、語りまくる一日にします。遊びに来てくださいね。
これはシェードセイルを取付けるためのものです。建物の外壁にもフックが取付けてあります。
当初の設計にはこのアイデアは入っていません。奥様から「夏は日よけが欲しい」というご要望があって、それでこうなりました。
すばらしいことです。庭ができあがる前から、奥様のイマジネーションはすでに夏の庭までワープしていたということですからね。
庭での家族の幸せな光景をイメージすることは、映画の予告編みたいなもので、必ず上映されるのです。
シェードの下でバーベキューやプール遊び。今年の夏、この庭はにぎやかになりそうです。
ラジオで久しぶりに因幡晃の「わかってください」を聴きました。35年前の曲なんですよねえ。ほろ苦い失恋の記憶のバックに流れている曲・・・。当時の風景や顔や空気までよみがえってきました。ボタ雪の夜だったなあ・・・。音楽に刷り込まれた記憶って、色あせないものですねえ
ビフォーはこうなっていました。
使っていない(楽しめない)ウッドデッキって多いですよねえ。住宅地を歩いていてそういうデッキを見つけるたびに「もったいないなあ」と思ってしまいます。
ウッドデッキが楽しい場所にならない要因は次の3つです。
1、目隠しがされていないため、周囲から丸見え。
2、広さや形が適当ではない。
3、居心地をよくするための要素(座れる、こもれる、夜も過ごせる)が欠けている。
この3点をチェックして改善できれば、ウッドデッキはものすごく魅力的な、ご家族の特等席になりますよ。
今回の場合は1と3でした。
1の目隠しは、一昨日ご覧いただいたテラスの壁で道路側は解消されました。そして裏側は、パーゴラに組み込んだ木製パネルと、その外に植えたシマトネリコでOK!です。
次に2の居心地は、ユニットデッキの材料を使った広々ベンチと、毎度おなじみのコーナーパーゴラと、その柱に取付けたマリンライトで、はい、これで問題はすべて解決!
ウッドデッキをお持ちの皆様、
1、目隠しがされていないため、周囲から丸見え。
2、広さや形が適当ではない。
3、居心地をよくするための要素(座れる、こもれる、夜も過ごせる)が欠けている。
この3つのポイントをチェックしてみてください。
武田双雲さんのブログ「書の力」http://ameblo.jp/souun/にいい言葉が書いてあったので転記します。
ぼくにとっての健康法は、食事でも運動でもなく「上機嫌」でいることです。
いつも100%は難しいですが、少しでも「上機嫌率」を高めるような思考や行動を心がけています。
逆に、不機嫌になるくらいなら何もしない方がいいと思います。
不機嫌になってまで必ずやらなければならないことはない。
不機嫌なままで何かを続けると、いろんなマイナスがかけ算で増えていきます。
ぼくも上機嫌だったり不機嫌だったりします。お客様からは「不機嫌なことなんてない人」と思われているようなんですが、そんな人はいません。しっかりと不機嫌なぼくも存在しています。
双雲さんの言う通り!不機嫌なままで何かを続けるといろんなマイナスがかけ算で増えてきますよね。ぼくの場合は不機嫌だととたんに設計が進まなくなってしまいますし、このブログもスイスイ書けなくなります。
不機嫌だと大好きなことができなくなるんですから、自然と上機嫌を維持するクセがついているんですけど、もう一歩前進して、双雲さんのように「上機嫌率を高める思考や行動」をちゃんと意識しながら暮らすこと、大事ですよねえ。
上機嫌率を高める思考や行動にプラスして「環境を整えること」もぼくにとっては重要です。冷静に自己分析すると、ぼくの不機嫌を引き起こす原因の大半は身の回りの環境。だから話は簡単で、不機嫌の虫がうごめいたら掃除や模様替えをする。これで気持のリカバリーができます。「上機嫌率を高める思考や行動や環境」。
それと、たしかにそうだなあと思います。
不機嫌になってまでやらなければならないことは何ひとつない。
手帳に書いときます。
お客様から、完成した庭でのバーベキューにお招きいただく度に実感する夜の庭の魅力。夏でも冬でも、季節に関係なく夜の庭はスペシャルな時間を提供してくれます。せっかく庭があるのに「暗くなったら雨戸を閉めてしまうから、夜庭になんて出たことがない」というのでは、あまりにもったいないです。
今回使用した照明は、マリンライトが4灯とLEDフラットライトが2灯です。
で、夜はこうなります!
ほんとに、昼と夜では庭は別世界。あなたの庭は「すてきな夜の時間」を持っているでしょうか。
今日は横浜市の健康診断に行ってきます。血液検査とか問診とか、そういう簡易的なものです。もうすぐ50歳なので、ほんとはそろそろ一泊の本格的な人間ドックで、身体の隅々まで診てもらえばいいんでしょうけど・・・。まあやらないよりはやった方がいいので。
みなさんどうしてますか人間ドック。
昨年は「ややメタボ」という診断で5キロダイエットしました。その後うかつにも3キロ戻ったので、今回も指摘されるかも。ちょっと油断すると胴回りが膨らむんだよなあ。
お医者さんによっては「ややメタボ」の方が長生きするという見解もあるようですけど、いやいや、ちゃんと指導に従って理想体型を目指しますよ!
お客さんの歯科医師の方が、ここ一年間で14キロ痩せました。お会いする度にスッキリしていって、ついに見た目に半分くらいになった気がするほどスリムになったので心配してたんですが、うかがうと、計画的なダイエットだったということで安心しました。歯科医もお医者さんですからね。むちゃはしないと思うので大丈夫でしょう。
その方のダイエット方法は「先に野菜を食べるダイエット」。食事の量は減らさないで、最初に野菜かところてんを食べてから好きなものを食べるのだそうです。
それで14キロ落とせるんだったら、やってみたくなりますよね。どうです、やってみますか「先に野菜を食べるダイエット」。
最初はガーデニングエリアに植えたオリーブ。
地中海をイメージさせる木ですよね。ひと昔前はまだ珍しくて、値段も高価でした。今ではその独特な葉の色で雰囲気を醸し出してくれることから女性に人気で、ガーデニング好きな方の庭でよく見かけるようになりました。
生育条件も地中海的で、乾燥していて肥料分の少ない痩せ地が適しています。ですから水はけのいい場所に高植えして、肥料のやり過ぎに注意、というか、放ったらかしの方が元気に育つ気がします。「レノンの庭」に植わっているオリーブは、まさにそういう場所で放ったらかしですけど、幹の直径が15センチくらいに育っています。元気です。
オリーブを買うなら背丈以上に育った木にした方がいいと思います。その理由は苗木のうちは暴れまくる木だからです。
鉢植え程度のオリーブだと枝が四方八方に伸びて、その樹形を整えながら大きく育てるには剪定の知識が必要。なかなかイメージ通りに育ってくれません。主幹の太さが4〜5センチ、高さが2メートルくらいまで育つと、おとなしくなります。
昨年の今ごろ、横須賀の佐島で6メートル以上まで育ったオリーブを発見しました。これまで関東で見た中で最大で、実もたくさんついていました。佐島は暖かいんでしょうねえ。それと、おそらく潮風もいいのだと思います。やっぱり、地中海の木なんですよね。
次は玄関前に植えたエゴノキ。
夏場の水切れだけ注意すればあとは手間いらずで、虫も付かないし、葉も花もかわいらしいので、雑木類の中では一番人気です。
玄関前の駐車場が広々とコンクリートで味気なかったので、コンクリートを丸くくり抜いて植えました。車の配置や動きには支障がない位置です。
こうして木を一本植えるだけで、玄関先の印象が、駐車場から前庭へと変化しました。
ちなみになんですけど、エゴノキの花が盛大に咲いたら、よろこんでる場合ではありません。前年に木がダメージを受けている可能性があるからです。
水涸れや肥料不足や根が傷んだ時など、エゴは翌年の花を盛大に咲かせます。天命を感じて子孫繁栄に走るわけですね。ですから、例年よりも異常に花数が多かったら、そのダメージの原因を推測してちゃんと養生してあげてください。そうしないと枝枯れや、へたすると本体も枯れてしまいます。
花が実になる前に取ってしまうこともいいと思います。弱っている木がありったけのチカラで花を咲かせて、その数だけ実が生ったら、エネルギーを使い果たしてしまいますからね。
木のはなし、明日も続きます。
土日はお客様との打ち合わせが続くので、楽しみで早く目が覚めます。遠足の朝みたいなもんですね。
こうして次々にお客様との出会いがあって、ぼくの庭への思いがいくらかでもお役に立てるということが、しみじみと「ありがたいなあ」と。朝の澄み切った空気にクッキリと見える富士山に向って感謝!ありがとうございます!と・・・なんていうと、ものすごく年取った人とかお坊さんみたいですかね。でもね、ほんとに感謝ですよ。感謝の分、一生懸命仕事しますからね!
さっ、今日も店の掃除から・・・っと、みなさんは休日ですかね。冬の澄んだ空気を楽しみまくってくださいね。家族で富士山に向ってドライブとか、湘南もいいですねえ。
湘南と言えば、ワカメが解禁だそうです。とれたてのワカメでシャブシャブ、昨年北原さんにゴチになったんですが、最高でした。ワカメシャブシャブのように旬のものを単純な調理で食べるのが一番美味しい。海を食べてるみたいな味わいでした。新鮮ワカメが手に入ったら、みなさんもぜひやってみてください。
枝が細い木なので、冬には何とも淋しい感じですが、花が咲いて葉が茂ると印象が一変、とてもかわいらしい風情になります。
春が待ちきれないので、昨年春に撮影したジューンベリーの花をご覧いただきましょう。
桜みたいな花です。そして花の数だけ実がつきます。
酸味があるうちに収穫してジャムにしても美味しいですし、完熟したのをヨーグルトに乗せて食べるのもいいですよー。ただし、熟したのから順に鳥が食べにきますので、ネットを掛ける必要があります。
そして、何といってもこれ、ジューンベリー酒です!美味いですよー!!
このジューンベリーは、昨日ご覧いただいたエゴノキと違って、盛大な花付きがダメージの現れということはありません。いい環境で健康に育つほど花は多くなります。
今日は日曜日のお楽しみ、音楽熱中倶楽部 があります。
NHKラジオ第1放送で16:05〜16:55。北原輝久さんと弘兼憲史さんが隔週でナビゲートを担当する音楽番組で、今日は北原さんの番です。
お二人とも人並外れた音楽好きで、これまでの人生も人並み外れてドラマチックですから、曲にまつわる思い出とか、古い曲だとその当時の社会の様子とか、いつも興味深い話が展開されます。そして必ず「しあわせだな〜」という満ち足りた気持にさせてくれる番組です。
日曜の夕暮れ時にぴったりな、「ちょっといい時間」が過ごせるはずですので、ぜひ聴いてみてください。
庭木としてすっかりお馴染みになったこの木も、20年前は観葉植物としてのみ楽しまれていました。それが温暖化の効用(?)で、何とかギリギリ関東でも冬越しできることが知られてから、庭木としての生産が盛んになって、今や新築住宅では必ず植えられる木になりました。生産地は八丈島や沖縄です。
用途は主に目隠しです。この写真の木もそうで、テラスの中から見るとこうです。
向こうに見えるアバンギャルドな色の家を隠しています。
ウッドデッキの外側にも植えました。
これもやはり、目隠しのためです。
目隠しと同時に、照葉樹ですから、一年中艶のあるさわやかな緑色で庭を明るく演出してくれる木です。
病気もなく虫も付きにくいシマトネリコですが、ひとつだけ注意が必要。樹勢が強いんです。つまり急激に大きくなる木だということ。ただし、「根が伸びれば」なんですけどね。
肥沃で水はけがよくて柔らかい土地を好む木で、その条件が揃うとあっという間に成長します。玄関先に不似合いなほど大きくなってしまって持て余しているシマトネリコを何度か目撃しています。
「根が伸びれば」ということは、土がかたくて痩せていれば伸びないということ。その点も便利な木で、痩せ地でもめったに枯れることがありません。ですから、大きくしたくない時は、根鉢の周囲を板で囲うとか、根っこが奔放に伸びないような工夫をすれば大丈夫です。港南台付近の粘土質の土壌の場合、その土質のまま植え込めば、ゆっくりと成長してくれます。
それから日当りは、もともと観葉植物として売られていたくらいですから、日陰でも平気で、四方を壁に囲まれたパティオにはうってつけの木です。
剪定にも強いので、うっかり大きくなってしまったら思い切ってバサッと枝落としをしても大丈夫。放ったらかしとけばまたちゃんと樹形を回復します。
環境が良ければグングン伸びて、環境が悪くてもまったく衰えることがなくて、バッサリ切られても平気の平左でまた回復して、これが強い木ってことなんですよねえ。シマトネリコ、我が妻のごとくたくましい木であります。
フラッと店に立ち寄ってくださった年輩のお客様が(以前庭をやらせていただいたお宅のご主人で、企業の社長を数年前に退職して今は野菜作りと趣味のハーモニカにはまっている方です)「どう、もうかってる?」とこえをかけてきました。「忙しいんですけど、自慢じゃありませんがもうかっていません」と答えると、ニコッと笑って「今の時期は忙しいだけですごいことだよ。たいしたもんだねえ」と。そして「うまくいってる時こそ変化し続けないとね。守りに入ったらつまづいたときに大怪我するからね。じゃあがんばってよ!」と言って去っていきました。
まるで神様が降りてきて啓示を与えてくれたような出来事でした。
うまくいってる時こそ変化し続けないとね。守りに入ったらつまづいたときに大怪我するからね。
企業人として大成功した方の言葉だけに、とても納得できました。それはスキーやサーフィンと同じですよね。体勢が固まっていると、状況の変化についていけずに、ちょっとしたギャップや波の変化ですっ飛ばされてしまいます。腰で重心を保ちつつ、膝はやわらかく、進行方向を見据えて、やや前のめりにシュプールをイメージしてゆく。ウ〜ン、いい感じです。
お客様からいただくアドバイスや応援の言葉はありがたくてうれしくて、感謝感謝です。
今日はヤマボウシです。おなじみの庭木ですよね。ミズキ科ミズキ属の落葉樹ですから、これまた人気のハナミズキの仲間です。花が似てますよね。あの4枚の花びらは、花びらじゃなくて葉が変形した苞(ほう)と呼ばれるものだそうです。
ヤマボウシの魅力は「野趣」です。その名の通り山に自生しているようなワイルド感が持ち味ですから、できればこのように四方に空間がある場所で、自然樹形で育てたい木です。
ヤマボウシといえば落葉樹なんですが、最近は中国原産の常緑のヤマボウシ「ミルキーウェイ」に注目が集まっていて、お客様からリクエストされることが増えて来ました。作り物のようなハッキリとした白い花がたくさん咲きます。木の成長はゆっくりです。これも大人気になりそうな予感。
庭木って結構流行り廃りがあるんですよ。例えばシャラノキなんかは、十年前はダントツの人気だったのに、今では売れ残っています。チャドクガがつくとか夏の水涸れに弱いとか、そういうことが知れ渡ったからなんですよねえ。あと和風の木、モッコクなんかは庭木の王様だったんですけど、今は見向きもされなくなりました。
住宅のデザインや暮らしの感覚が変化するのにともなって、庭木の好みも変わっていきます。
大きな流れとしては、その姿を眺める木から、実を取ったり花や香りを楽しんだりできる「楽しい木」に人気が移ってきました。
小椋さんちにはもう一本、いい感じの木があります。これです。
トウジュロ。お隣りさんの木なんですけどね。
これこそ人気がなくなって久しい木ですが、好きなんですよねえこれ。横浜っぽい感じしません?山手の古くからの住宅地にはあちこちに植わっています。古い洋館に似合いますよね。
このシュロの木はクレイジー・ケン・バンドの曲にも出てきます「ミッドナイト・クルーザー」。あと、何かのインタビューでも剣さんが「シュロはヨコハマの木って感じがするんだよね」と話していました。
シュロが醸し出す古き良き横浜の風情を、野鳥が守っているってことですね。
今日は暖かいですねえ!朝からぬるーい南風が吹いていて「こりゃあ気を引き締めないと頭がモワッとしちゃうなあ」と、気合いを入れてから仕事に取りかかりました。
一足早い春風を感じながらの〜んびりと過ごしたいという誘惑に負けないで、今日も溜まりに溜まった設計に集中しますよ!
そうそう、梅が見頃になりましたねえ。春近しです。
このシリーズの前半(1月16日〜24日)で「庭を楽しい場所にするための8つのポイント」というのをやりました。
- 平面に厚みを持たせる
- 目隠しをする
- 庭に出やすくする
- 部屋っぽくする
- 風合い素材で構成する
- 平面を区分けする
- 楽しいシーンをイメージする
- 未来予想図を思い描く
えーっと、どうしましょうかねえ、簡単におさらいしときましょうか。庭のことを考える時にすごく大事なことばかりなので、サラッと、もう一度やっときましょう。
1、平面に厚みを持たせる
庭をどうするか考えるときに、とかく平面的にイメージしてしまうものです。樹木やパーゴラやトレリスを使って立体的に構成することで、それまで意識に入っていなかった空中、空間があなたのものになります。
庭に空間を生み出すことでいざないや居心地が生まれるのです。
2、目隠しをする
庭に出たときに、周囲の視線が気になるようではなかなか楽しめないものです。必要なところに、必要最小限の目隠しをキチッと設定することが必要です。
室内のためにも目隠しは重要です。リビングのカーテンを開けないままで過ごしていませんか?気候のいい時期にはカーテンも窓も開け放して過ごせるように、庭を使って目隠しを考えましょう。
3、庭に出やすくする
ウッでデッキのように部屋の床とフラットで庭に出られたら、それだけで庭が生活空間になります。
庭への段差が大きくて「よっこらしょ」という感じだと、庭は遠い場所、暮らしの外にある場所になってしまいます。
4、部屋っぽくする
「眺める庭から過ごす庭へ」とイメージした場合、庭のデッキやテラスに、部屋にいるときのようなくつろぎ感を演出できたら、そこはリビングにも勝る「家族の部屋」になります。
ラチィスパネルや板塀で壁を、パーゴラや樹木で天井をイメージさせて、イス、テーブル、囲炉裏、サイドボード、ハンモックやクッション、照明器具、工夫すれば冷蔵庫やテレビも置けます。
はい、1〜4を復習しました。明日は5〜8です。
わが家に隣接して百坪ほどの白梅の梅園があります。日に日につぼみが開いて、今朝は薄らと雪が積もったようになっていました。「この開花を眺めるのも十回目だなあ」、横浜生活十年目の春です。
十年前の自分を思い返すと、今よりもずいぶんと・・・いびつだったなあ。気合いだけが空回りしていて、よくこけてはしかめっ面していた気がします。今のにこやかなぼくからは想像できないんですけど(どこがにこやかやねん!と家族からツッコミが入りそうですけど)。左右のバランス、前後のバランスが、まったく調整できていなかったんですね。
横浜に来て、たくさんの出会いがあって、夢中で仕事して、妻との喧嘩しいしいの夫婦修行を経て、ようやく何か「これこれ!こういう感じ!」という暮らし方が見えて来たような。・・・まだまだですけどね。
頭でっかちで、あちこちとんがりまくっていて、ずいぶん変なカタチだったぼくを、ゆっくりと、やんわりと、とても上手に仕立て直してくれた横浜と、横浜で出会った人たちと、そして妻に、感謝だなあ!
その感謝の分、今日も一生懸命設計します。
5、風合い素材で構成する
レ ンガ、石材、材木などの時間が経つほどに風合いを増して、いい感じになる「風合い素材」で構成すると、庭に歴史という価値が積み重なってゆきます。材木は メンテナンスも必要ですが、それもまた楽しいと解釈できれば、あなたの庭は十年後、今以上に豊かな価値ある場所になります。
樹脂(プラスチック)やコンクリートやアルミ製品は施工直後がベストな状態で、あとは劣化するのみ。それら「劣化素材」を極力排除することで、後年の庭の趣きはグッとよくなるのです。
6、平面を区分けする
歩く場所、過ごす場所、植える場所、作業する場所などを平面的に区分けすることで、庭は楽しみやすくなります。そしてどんなに楽しみまくっても雑然としなくなります。庭の間取りを考えるということです。
この平面的な区分け(ゾーニング)によって、その庭の楽しみ方、目的や意味までもが明確になります。
7、楽しいシーンをイメージする
これが、庭を楽しい場所にするために、最も大事なことです。楽しさをシーンとしてイメージすること。
平日の朝は・・・、昼は・・・、夜は・・・、休日は・・・、来客時は・・・、春は・・・、夏は・・・、という具合にその庭を舞台とした楽しいシーンをイメージしましょう。そしてそれを映画の台本のように書き貯めていってもいいし、誰かに話しまくってもいいし、絵が好きな人はスケッチブックに描いておくといいでしょう。
繰り返しイメージして、そこに風が吹いて、色がはっきりしてきて、楽しい会話まで聞こえてくれば、もうそのイメージ通りの庭は完成したようなものです。あとはつくるだけです。
8、未来予想図を思い描く
庭は季節によって表情を変えながら、年々変化していきます。木は生長し、宿根草の株は大きくなります。なかなか実らなかった果樹がある年から豊作になったりします。
同時に家族も成長しますので、庭の主役が子どもから夫婦へと代わったり、「いつかバラを極めたい」とか「定年後は野菜作りを」という先々の楽しみを思い描いている方もいらっしゃいます。
5年後10年後の庭をイメージすることで、庭は家族の幸せな人生に欠かすことのできない大切な場所になります。
いかがでしたでしょうか。「う〜ん、なかなかいいとこついてるなあ」と自画自賛。ブログの記事に埋もれるのは惜しいので、これをパンフレットにして店に置いとこうと思います。
楽しい場所になり切れていない庭は、ストレスになってしまうこともありますので要注意。せっかくの庭がそうなってしまったら悲しいですよね。
この「庭を楽しい場所にするための8つのポイント」を、じっくりとチェックしてみてください。古今東西、いい人生にはいい庭が存在するのです。楽しい人生には楽しい庭が必要です。
明日は「リビングが2階なので庭にほとんど出ない」というご相談です。
毎日毎日ぼくらは鉄板の〜 みたいに来る日も来る日も庭のことを考えて暮らしているわけですけど、飽きなんだなあこれが。
庭フェチでも庭マニアでもないんですよ。いたって普通の人なんですけど、庭のことを考えるのが仕事ですからね。
仕事が好きという点では人並みはずれているかもしれません。食べなくても眠らなくても大丈夫な体があったら、ずーっと仕事していたいです。よく思うんですよね「忙しいのに、何で腹が減るんだ!」。まあ腹が減るからおいしいご飯をいただけるんですけど。でもそれくらい仕事してるのが楽しいです。
その楽しさは、突き詰めると「よろこんでいただけるから」なんですよね。ほんとにたくさんの人たちがよろこんでくださって、そして次々新しい出会いがあって、ありがたいことです。
今日もまた、庭のことを考えながら過ごします。設計設計!
「リビングが2階なので、ほとんど庭に出ることがなくて、雑草取りのなめの場所みたいになっています。こんなんだったら一戸建てじゃなくてマンションに住めばよかった(無理してローンを組んでくれた主人には言えませんけど)と思ってしまいます」
これはよくある悩みで、毎月何度かこのての話に遭遇します。
リビングと庭が離れていると、庭が生活の外に追いやられてしまうんですよね。何年経ってもまったく使われていない庭の多くが、このように2階にリビングがあったり、1階にリビングがあったとしても庭が離れた位置にあるというケースです。
では、こういうときにどうしたらいいのかと言いますと「庭の目的をハッキリさせる。そしてそのことを強くイメージする」ということです。使われていないその場所を何に使うのかを明確にしない限り、その場所は、永久に庭としての機能を持たないままになってしまいます。
たとえリビングから離れていても、その場所にワクワクするような何かがあれば、そこはあなたの暮らしに無くてはならない素敵な庭になります。そのワクワクはあなたが思い描く理想の庭のシーンそのままでいいんです。「庭がリビングの外にあったらなあ・・・、こんなことできるんだけどなあ」と、そう思うときの「こんなこと」をしっかりと、具体的に、できるだけハッキリとイメージしてみてください。
家庭菜園、ハーブ園、ローズガーデン、キッズガーデン、バーベキューテラス、ウッドデッキ・・・。どんな庭が理想的なのか、あなたは庭で何をして過ごすことにときめくのか、それさえ明確になれば、庭がリビングと離れていることは大した問題ではなくなります。旅行先で離れのついた宿に泊まると、ゴージャスな気分になりますよね。それと同じことで、その離れた庭に魅力が生まれた時には、普通のリビングの外の庭以上に、贅沢な感じを味わえるようになるのです。
具体的にどうこうじゃなくて、何だか精神論みたいな回答ですけど、これって本当なんですよ。強くイメージすることでマイナスがプラスに転じる。
考えたら庭ってそういう場所です。イメージしなければ、活用されることもなく荒れ果てていって負のエリアになるし、それがイメージひとつ瞬時に楽しい場所になります。イメージしだいでどこまでもいい場所になっていって、ついには「庭が生き甲斐」とか「家族の特等席」とか「元気の源」とか、そんなふうに限りなく価値が増していきます。
つまり庭は、住む人のイマジネーションの強さを現している場所とも言えるのです。
明日は「庭の周囲が建て込んでいるので、日当りが悪いし暗い感じがして・・・」というご相談です。
昨日は寒かったですねえ。そして今朝はチラチラと雪が舞っています。春の陽気が一転、冬らしい冷たい空気に、ふと「コタツに潜り込みたい」と思いました、が、わが家にはコタツがない!!!
あらためてそのことに気がつくと、コタツの良さというか、魅力というか、効用というか、頭の中がコタツでいっぱいになってしまいました。
新潟の実家では(贅沢なことに)今でも炭ゴタツです。あの暖かさは格別なんですよねえ。一番早起きの母が暗いうちに起き出して、縁の下の炭蔵から出した炭を熾すことから家族の一日が始まる。炭が燃えるときの香りってあるでしょ、バーベキューしてると漂うあの二酸化炭素っぽい香り。あれを嗅ぐと、ニコニコしながら実直に日々を繰り返している母を思い出します。
炭を熾して、玄関先の雪を片付けて、朝飯を作ってというあの淡々と反復される日常が、母には、きっとこの上なく幸せなことなんだろうなあと。そして母のその反復が、一家の軸をぶらさないための、精神的な支柱になってるんだよなあと。
いやあ、朝からしみじみしてしまいました。
淡々と、ただ淡々と。いつか孫から「ひでじいちゃんは、ちょっとボケてきたけど、朝起きて店の前を掃除することだけは忘れないんだよね。ずっと昔からそうしてるんだって」なんて言われたら、ひとつ役目を果たしたことになるのかもしれません。
っと、そんな先のことまで考えてないで、いつものように店開けて、掃除から始めます!そして今日も設計設計!
ではいきましょう。
今日は「3年前に新築したんですけど、庭の周囲が建て込んでいて、日当りも悪いし暗い感じがして・・・。3年間、芝生の雑草とりをしただけで何にも楽しくなかったんです。花を植えても別に楽しくないし、庭を見ても気分が重くなるのでカーテン閉めっぱなしなんです」というご相談。
庭がストレスになってしまったんですね。
家を建てる時には「庭付き一戸建て」というくらいですから庭がある暮らしへの憧れや夢に満ちていたはずなのに、気がつくと庭がなーんにも楽しくない、どころか、抱いていた夢とのギャップで「見たくない場所」になってしまった。
もしかしてあなたの家もそうなっていませんか?そうなっていたらえらいことです。もう一度新築の時の気持ちを思い出して、仕切り直しをしましょう!
お持ちいただいた写真を拝見すると、庭の3方向に隣家の壁が迫っていて、さらに正面と右側の宅地が1メートルほど高いという庭です。広さは幅がリビングダイニングに面して8メートルで奥行きが3メートル。ご相談の通りであまり元気のない芝生と木が数本植わっているだけで、そこで何かを楽しんだ形跡はありませんでした。ただただ雑草取りと年に何度かの芝刈りをするだだけで3年間が過ぎたことがうかがえました。
「広くて日当りがいいばかりが庭じゃありません。周囲に家があるということはこもった感じで、隠れ家的に落ち着いて過ごせるじゃないですか。これは楽しい場所になりますよ」と話して、庭に出やすくすることや視線が気になるポイントに目隠しすること、庭で何をしたら楽しいのかというようなことを整理していくと、来店時は悩みのかたまりみたいだったお客様の表情が、みるみる明るくなっていきました。「よし!これこそ我が仕事!」
いろんなお話しをした中で「庭の空中を取り戻しましょう」ということにとても興味を持たれたようでした。
「空中を取り戻す」というのはどういうことかと言いますと、リビングから外を眺めた時に、見えるのがお隣りのコンクリートとフェンスと外壁の場合、その手前にあるわが家の空中(庭空間)を認識できないんですね。つまり窓のガラスから向こうはすべてお隣りのものになっているのです。実はその空中に庭が存在しているんですけど・・・。
ではどうすれば、その捨ててしまっていた空中、庭空間を取り戻せるのかと言うと、話は簡単で、お隣りの構造物の手前に自分ちのものを存在させればいいんです。木を植えるとか、リビングから見て目が当たる高さまでのトレリスを建ててそこに植物をからめるとか。たったそれだけで、庭空間が認識されるようになります。
庭の空中を取り戻しましょう!
「日当りが悪くて」ということも、実際にはたいした問題ではなくて、一応芝生が育っているのですからまったく日が入らないということではありませんでした。半日陰の方がよく育つ植物もたくさんありますし、そのお客様が楽しいと感じることがバーベキューテラスやウッドデッキなど、庭で過ごすことだったので、なおさら日照の悪さは問題ではありません。
思い描いていた「庭付き一戸建て」と多少イメージが違っていても、そこであきらめてはいけないのです。あきらめた時点で庭は「なくてもいい場所」になり、やがて「ない方がいい場所」になってしまいます。
イマジネーション豊かに、せっかくの庭スペースですから「庭があってよかったー!」と思えるような場所にしましょう。そのために、ぼくにできるお手伝いは、徹底的にやりますよ!おまかせください。
だいたい2つに分けられるんですね、その原因。
ひとつは花に意識が行かないケース。
例えばせっかくプランターに花を植え込んでも、その鉢がふだんの暮らしから見えない場所、全く近づかない場所に置いてあったら、ハナガラ摘みも水やりも滞ってしまいます。毎朝通る玄関先に置くとか、庭に地植えにするんでもリビングから見える位置に植えればいいのです。
もうひとつは、熱心にかまいすぎることで上手く育たないというケース。初めてガーデニングにトライする人の多くが陥りやすい失敗です。
水のやりすぎなんですね。量じゃなくて頻度の問題です。几帳面に毎日水をやってると花は育ちません。なぜなら、いつも充分な水分が与えられると根が伸びない。手を伸ばさなくても水分が得られるんですから伸びる必要がないんですね。そして、ほとんどすべての植物に共通することなんですが、地中の根が伸びないと地上部分も成長しません。「たすけてくれー!」というくらいの水不足と充分な水やりの繰り返しによって、草花は健康に勢いよく育つのです。
いつも丁度いい水分が得られると根っこは伸びません。そして根が伸びないと葉も茂らないし花も咲きません。
んっ!子育てと似てますよね。そうなんです。ちょっとずぼらなくらいで丁度いいんじゃないでしょうかねえ。
かまわなくてもいけないし、かまいすぎても上手く育たないし・・・。でもしばらくガーデニングを楽しむと、そのコツはつかめるようになりますよ。花が教えてくれるのです。これほんと。
そうそうそれともうひとつ、庭を花だらけにしている達人たちの共通点があります。それは「枯れても気にしないで次を植える」ということ。
意外に思うかもしれませんけど、そうなんです。草花に対してあまり執着しないんですね。もちろん植えた花に愛着を持って育てるんですが、ぼくが知る限り、達人達には「枯らしちゃったらお花がかわいそう」とひとみを潤ませるタイプの人はいません。それどころか時期が過ぎるとまだ咲いていても引っこ抜いて次の季節の花に植え替えるし、葉や根を食べるいも虫を見つけたら平気で踏みつぶすんですよ(これだけは真似できません)。
最初は土に触ることさえ嫌がっていた線の細ーい奥様が、庭をやるうちにそういうたくましい女性になっていったケースを何人も知っています。子育てと同じで、庭は女性を強くするのです。
朝は播州弁の世界にいたのに、高速をひとっ走りで夕方にはいつもの横浜で、(到着早々)設計していることの不思議な感じ。
ドライブ中はオリンピックのラジオ中継を聴いてたんですけど、いいですよねえオリンピック。ラジオで聴くっていうのも妙に感動するもんです。
国籍とか順位とか、そういうこととは別に「本気」なことから受ける感動。勝った選手も負けた選手も本気なんですよねえ!だから感動するんですよね。
「本気」に触れると、自分自身が活性化します。行きよりも帰りの方が時間がかからなかったのは、道路が空いてたこともありますが、早く横浜に帰って仕事がしたかったので無意識にアクセルを余計に踏み込んでいたのかもしれません。
今日のお悩みは「雑草取りをしたくないので、庭中コンクリートにしようと思うんですが・・・いいんですかねそれで」というものです。
50代のご主人で、家を建ててからずっと、もう何年も庭の雑草取り担当だったのだそうです。たまにはバーベキューをしたり、ハーブや野菜も育てているそうなんですが、とにかく雑草取りがいやでいやで。植物はプランターでも育てられるので、とにかく庭中をコンクリートにしてしまいたいということでした。と言いつつ「・・・いいんですかねそれで」と微かに躊躇しているご様子。みなさんならこの悩み、どう判断しますでしょうか。
「ちょっと理屈っぽくなりますけど」と前置きして、プラス域マイナス域という話をしました。
「いやないやな雑草取りはマイナス域の世界です。バーベキューやガーデニングはプラス域の世界です。何となく躊躇されているのは庭中コンクリートにしてもプラス域の庭にならないことに気づいていらっしゃるからですよねきっと。だったらそうしない方がいいと思います。わざわざお金をかけて庭をつまらない場所にしたらもったいないですよ。お金と場所と、楽しめたはずの時間と、そういうのがぜーんぶ消えてしまいます。雑草取りという現在の庭のマイナス要素を解消しつつ、一気にプラスに持ってくような方法を見つければいいんです」
そしてうちの施工例をいくつか示して、バーベキューテラスやウッドデッキについて解説しつつ「これなら雑草取りは大変じゃないですよね」と。
ご主人は担当している(させられている)雑草取りの呪縛から解放されて「そうだよなあ、楽しまなきゃなあ」と意気揚々で帰っていきました。
「湘南スタイルの庭」ってあると思っているんですけど、その定義のひとつが「庭ではご主人がキャプテン」ということです。藤沢や茅ヶ崎あたりでは庭は男の領域。雑草取りやペンキ塗りもするけど、ガーデニングもバーベキューも、その指揮権はご主人にあります。それが湘南スタイル。
どうせ苦労するなら、「雑草取り担当」から「庭のキャプテン」に昇格できるといいですね。
湘南スタイルの庭を楽しんでいらっしゃる神出さんというお客様がご来店、「庭に露天風呂つくりたいんだけど」とのことでした。楽しんでるなあ!
神出さんの趣味はヨットで、会社を定年退職されてからは、趣味の域を超えてスクールをやったりあちこち遠征にも出かけています。お会いするたび、いつも若大将のような大きな笑顔で夢いっぱいの暮らしぶりを聞かせてもらって、こちらも元気いっぱいになれる、ありがたいお客様です。
ヨットやサーフィンやってる「海の人」ってのはみなさんそうですよね、笑顔で夢を語る。
ぼくは50歳から(もうすぐです)海の人になると決めています。
さっ、今日は設計をひと休みして、お客様のバーベキューに押し掛けて撮影させてもらいます。楽しみ楽しみ。
はい、ではお勉強の時間です。植物が育つのに必要な要素はなんでしょうか。5つあげてください。
答えは、光、水、土、養分、そして忘れがちなんですけどもうひとつ、空気。
この5つのうちの何かが欠けているんでしょうね。ちなみに、空気なんですけど、地中にも空気が必要なのです。根は水と空気を求めて伸びていきます。
現地を見てみないと何とも言えませんけど、横浜の中区、磯子区、金沢区、港南区、栄区から鎌倉にかけてだったら、土に問題があるのかもしれません。
湾岸線を走ると三渓園の裏手の崖が見えます。グレーに近い薄茶色の粘土質です。この一帯はすべてこういう粘土質の岩盤の上に宅地がありますので、ガーデニングには不向きな土質なんですね。強酸性で、栄養分はなく、ガチガチに硬くて水はけが悪く、空気も入りません。
意外に思われた方もいらっしゃると思います。先ほど並べた地域はガーデニングが盛んで、どの住宅地も花でいっぱいですからね。
みなさん土作りをしながら庭を楽しんでいるのです。ですからこの地域のホームセンターでは堆肥や土壌改良材がものすごく売れるのだと聞きました。
うちのお客様は、台所で出た生ゴミや庭から出る落ち葉や雑草を使って自家製堆肥を作っている人もたくさんいらっしゃって「豊かだなあ!ロハスだなあ!」と感心してしまいます。すてきですよね、そういう暮らし。
野菜には野菜に適した土、芝生には芝用の土壌改良が必要です。そうそう、先日ロイヤルホームセンターに今年最初の芝生が入荷しました。春のガーデニングシーズン近し!を感じさせます。
そこで、明日は、「庭の悩みシリーズ」の最後として、これから増えて来る相談「芝生の張り方」をやります。
昨日は、次回のシリーズ「小枝邸」の撮影に。奥様のテニスのお仲間が集まって4人でにぎやかにバーベキューパーティーをやっていて、そこに押し掛けてパシャパシャと撮らせていただきました。
ご婦人方の陽のパワーってすごいですね。わが家のご夫人もすごいんですけど、それと同じ種類の強烈な(・・・いや、良質な)波動が4倍(4乗かな)という、ちょっと男のぼくとしては入り込むのに勇気がいる世界でした。
いいですね女子のお仲間というのは。何歳になっても女子高生みたいににぎやかに集えるんですよね。なぜか男はそうはいきませんからね。ある程度構えるし、カッコつけちゃうような感じがありますよね。いいなあ女子は。
花が少ない冬の庭でも、花満開のご婦人方が集うと、桜が咲いたような春爛漫の庭になる。庭の主役は人なんですよねえ。
素敵な波動をいただきました。おまけに奥様からおいしいケーキとワインまでいただいてしまって、感謝感謝の撮影でした。
一夜明けて今朝は雪。春爛漫から一気に冬景色。昨日のことが夢だったような変な気分です。
まず、芝生の順調な生育に必要な4つの絶対条件があります。
- 日当りがいいこと
- 土壌の水はけがいいこと
- こまめに雑草を取ること
- 夏場に散水と芝刈りを繰り返すこと
他にも管理の仕方としてエアレーション、根切り、目土、施肥などがありますが、前提としてこの4つのことがそろわないと芝生は上手く育ちません。
特に大事なのが1と2で「芝生が上手く育たない」という場合のほとんどが、この2つが原因です。
業者に頼まずに自分で張る時には、まずその場所の日当りを気にしてください。特に午前中の日差しが大切です。
次に土壌の水はけを良くすること。水はけの悪い土の上に黒土を敷いて芝生を張っても、1、2年は育ちますが、3年目位から急激に弱っていって、やがて消えていってしまいます。バーミキュライトや鹿沼土を鋤き込んで(地表10センチ程度)、硬く踏み均した後でも水がサーッとしみ込んでいくようにしてから張ってください。
3の「こまめに雑草を取る」、これはそういうものだという覚悟が必要です。芝生は雑草との戦いなのです。部屋の掃除や犬の散歩と同じく雑草取りが日常のことにならなければ、アッという間に雑草だらけになってしまいます。
4、「夏場に散水と芝刈りを繰り返す」ということも欠かせません。最近芝刈りが少なくてすむ芝生というのが売り出されていますけど、ちょっと違うんですよねえ。芝生は芝刈りを繰り返すことで根が張って丈夫になるんですから。
毎日水をやって、肥料もやって、無理やり伸ばしてでも芝刈りをするというのが芝生の育て方なのです。梅雨明けからお盆まで、毎週苅れればOKです。そうすれば根がしっかりと詰まった状態になって、雑草も生え辛くなります。
芝生の庭を楽しんでいる人には2つの共通点があります。ひとつは健康だということ。十年二十年と芝生の手入れをして暮らして来た方は明らかに元気です。日に当たるのがいいのか、屈伸運動がいいのか、芝生に意識が行くような気持ちの余裕がそうさせるのか、とにかくみなさん丈夫で長持ちなのです。
もうひとつの共通点は、人間的におもしろい(興味深い)ということです。洒落っ気があったり、創造的な暮らしをしていたり、いい笑顔の人ばかりです。これはまず外れたことがありません。だから、住宅地を歩いていてきれいな芝生の家に出くわすと、用事がなくてもピンポンを押してお話しがしたくなるのです(怪しまれるといけないのでしませんけど)。それくらい芝生の庭はいい印象があります。
空気がほんわかあったかい。冬→春→冬→春のくりかえしですね。こうして天気によって揺さぶられると、徐々にワクワクして来ませんか?春近し、です。
朝から感じるこのワクワク感で設計に没頭して、そして夜は、お客様に誘っていただいて、材木座の海辺のレストランでジャズのライブです。楽しみ楽しみ。
今日はもういただき!素晴らしい一日になります!時々ありますよね「今日は調子がいいぞー!」という日。いいんだよなあこういう朝って。
せっかくなので、一日を思いっきり楽しみ尽くします。
「8つのポイント」は、庭を扱いかねている方に取って参考になる内容だと思いますので「わが家の庭はどうも楽しくないんだよなあ」と感じたら、ぜひ読み返してみてください。
話を小椋さんちのことに戻して、あと数日やります。
撮影してたら日が傾いて来ました。
庭に西日が入る何ともゴージャスなひと時。出していただいた紅茶をいただきながら、ご夫婦とあれこれ話しました。
ご夫婦はぼくと同年代で、結婚してからなかなか子供ができなかったそうです。あきらめかけた時に待望のご懐妊、そして男の子が誕生。よかったですよねえ、ほんとに。
子供ができてからおふたりの気持ちにひとつの変化が。
それまで家を建てようなんて考えたこともなかったのが、そっち方向へとイマジネーションが広がって、運命の歯車が庭付き一戸建てへとまわり始めたそうです。そしてできあがったこの家。
子供の誕生で新たな扉が開くって、ありますよね。ぼくもそうでした。
完成した新居での幸せな暮らしが数年続いて、今度は庭へのイマジネーションがうごめき出して、そしてそこにぼくの出番が待っていたというわけです。
こうして、夫婦で手をつないで一歩ずつ進む感じ、これが人生なんですよね。そしてその歩みの一歩にぼくが係れたことが、最高にうれしいことでした。
お子さんの誕生がきっかけでできあがった新居は、子供から両親へのプレゼント。そしてこの庭は、ご夫婦のお子さんへの思いが詰まった親から子供へのプレゼントなんですね。
明日は夜の感じをご覧いただきます。
マリンライト4灯とブルーのLEDフラットライト2灯です。
時間とともに変化する庭。この時間帯の撮影は楽しくて、いつも夢中で愛用の大型三脚を移動しながら撮ってます。
いいでしょ、こんな「夜の庭」があったら。
ご主人と話していたら、ぼくとの共通点がありました。ぼくもご主人も山奥で生まれ育ったということです。ぼくは新潟の魚沼で、ご主人は福島の喜多方です。
で、ご主人もぼくも乾燥肌。冬は痒くなって大変なんですよ。奥様によると、ご主人は風呂上がりに全身に保湿クリームを塗りまくっているとのこと。わかりますそれ。それは山奥育ちのためなんですね。
山は木が多いので湿度が高くて、そのジトジトした環境でできあがった身体ですから、何年経っても冬の横浜の乾燥した空気に順応できません。ぼくも冬は保湿クリームが手放せないのです。
ご主人が山奥育ちの「山の人」だということは、話していて納得。基本的に寡黙で、放っといたら、おそらく一日中ひと言も発しないままだと思います。でも何かのはずみでスイッチが入ると一気に持論を展開し始めるというタイプ。ぼくと同じです。同郷の同級生、渡辺謙もそんな感じでしょ。そうそうあの感じ。あれが「山の人」なのです。渡辺謙も「山の人」。
そんなご主人の出身地、福島は喜多方の山村に、ある日東京から、神田と名乗る大学生がやってきたました。彼は人生に悩み、自殺すら考えていた・・・。明日は小椋さんちの最終日。ご主人から聞いたその青年の話を。
今朝は晴天なのに富士山がモヤっていました。春です。今日は暖かくなりますよー!
こうして山を見るのも「山の人」の習性なんですね。自分の現在地や方向、天気予測、田植えや稲刈りの時期も山に教えてもらいます。
小学生の頃、近所の農家のおじさんがおしえてくれました。
暦がなくても山見てたらわかるて。来週田植えだ。
山に訊きながら暮らす「山の人」、のどかだなあ。
「海の人」はきっと海に訊きながら暮らしているんでしょうねえ。「海の人」にしか聞こえない海からのメッセージってのがあるんじゃないでしょうか。あるのかな、どうなんでしょう?うん、あるんですね。加山雄三さんはいつも海と会話してますからね。
海に訊く、山に訊く、ついこないだ(昭和時代)まで、それは日本人が誰でも持っていた自然と会話する言語能力だったんじゃないかなあって。
春霞の富士山から「自然と会話する言語能力」に話が転がりました。庭屋としてはこのテーマに引っかからないわけにはいきませんので、次回のシリーズでネチネチやってみることにします。
では昨日前振りした話題。
ご主人が生まれ育った喜多方の山村は、住人のほとんどが小椋性だそうです。その小椋一族は代々山の民で、林業や山菜採りで暮らしていました。ですからその村から全国に散っていった小椋一族は、例えば京都でも漆器の器づくりとか、木に係る仕事をする人が多いのだと言います。
そんな村に、ある日東京から神田という大学生がやって来ました。彼は人生に悩み、疲れはてて、自殺まで考えながらその村を訪れました。ひょっとしたら死に場所を探してさまよっているうちに、たまたまそこにたどり着いたのかもしれません。
しばらく滞在するうちに、彼は村人たちの純朴な暮らしぶりに癒され、森とともに生きる山の暮らしに感銘を受けて、そして立ち直ったのだそうです。
これは1970年頃のお話しです。コンクリートの狭間で学園紛争に明け暮れる大学生の日常。声高くアジテーションするものに、興奮し、学生たちが思考停止したままで酔いしれていくような状況、そんな時代だったんだと思います。
その時代の空気に馴染めない繊細さを持った東京育ちの神田青年の中に、東京では解決できない青春の日の歪みが広がっていったんでしょうね。
そして彷徨いの果てに辿り着いた山村で、そこに暮らす山の民の営みに触れて立ち直った神田青年は、東京に帰り、銀行に就職し、後に音楽に人生の道を見いだしてシンガーソングライターになりました。そしてそのときに、かつて自分を立ち直らせてくれた小椋一族から名前を取って、小椋 佳と名乗ったのでした。
完成した庭で、夕暮れ時にご主人からうかがったこの話、「山の人」らしくトツトツとしゃべるその話し振りとともに、とても印象に残っています。
人は悩み苦しんだ時に、どんどんピュアになっていって、やがて真直ぐに自分を見つめるようになります。突き詰めて考えたときの自分の根っこを確認して、そこに立とうとします。小椋佳の根っこは「山の人」だったんだなあと。ですよね、きっと。そう、小椋佳は山の人ですよね。
そしてぼくの根っこも、まちがいなく「山の人」です。
ぼくも、ご主人も「山の人」。小椋佳がそうだったように、奥様はきっとご主人のそういうところに惹かれて結婚したんじゃないかなあって、勝手に想像しています。
あらためて考えると、ぼくも、自分の中の「山の人」を使ってと言うか、そこを頼りに生きて来たようなところがあります。だから小椋さんちには親近感とともに、これからも着実に一歩ずつ、ご夫婦で次の扉を探しては開いてゆくような、素敵な人生になってほしいなあと。
小椋さん、すてきな仕事をさせていただいてありがとうございました。夏になったらバーベキューに呼んでくださいね。食材持参でうかがいますので。
遠くからですけど、ぼくちゃんの成長を楽しみにしています。そして寡黙なご主人と明るい奥様というわが家と似た組み合わせのお2人が、いつまでも仲良く、実り多い人生を送られることを(寡黙に)願っています。