正月休みとブログの引っ越しで間が空いてしまいましたけど、昨年に引き続いて「女性と新婚さん向け、ペット可のアパート『Fukuwauchi』」の外構をご覧いただきます。
今回の樹木はリゾート感と季節感をミックスした樹種になっています。
ドラセナ

ソテツ

オリーブ

エゴノキ

フラミンゴカエデ

エレガンテシマ

ブルーエンジェル


「リゾート感」は「非日常」。
庭や外構を演出する時にこの「リゾート感」を意識すると、暮らしがグッと楽しくなりますよ。つまり、「日常」に「非日常」を取り込むんです。
庭の提案をする時に思うんですけど、リゾートを日常に取り込むって、多くの人に取ってかすかな(理由無き)罪悪感があるようなんですね。きっと生活の場を遊び場にしてしまうような「不真面目」な感じがするのでしょう。
でも、考えてみてください。ハワイにも、軽井沢にも、「真面目な日常」があります。生活の場がリゾートフルな楽しさに包まれていることで、暮らしが堕落していくことはありません。自分の家なんですから、思う存分楽しい演出をしていいと思うんですけどねえ。
お気に入りの空間で、好きなモノに囲まれて暮らす。非日常を日常にする。イメージしてみませんか。イメージしだいで、日常が楽園に変わりますよ。
いやはや・・・引っ越し前と勝手が違って、ここまで書くのにえらく時間がかかってしまいました。頭が硬くなってるのを実感。それでも久しぶりに庭のことを書いたので、気分がスーッとしました。
今回ブログの引っ越しをしてみて、情報量が異常に多いことにあらためて気がつきまして「よくこれだけの写真と言葉を並べたよなあ」と自分で自分をほめる・・・と言うより「ちょっと変わってるよなあ」と。妻からはよくそう言われますけど、ぼくは、庭に関しては「変わってる」のかもしれません。規格外と言うか入り込み過ぎと言うか・・・。
でもまあ楽しくてやってることなので、今まで通りに夢中でやってるうちに、きっとこの先もいい方向に道が開けていくのではないかと思っています。
「夢中でやってるやつは夢の中なんだよ」
元町の名店、バッグのキタムラの北村宏社長の言葉だそうです。キタムラに入ると、いつも店員さんのいい感じに打たれます。みなさん夢中で仕事してるんですよねえ。だからキタムラのバッグは物質ではなくて夢のかたまり、夢の入れ物なんだと思います。
そして夕べわが社の新年会での妻カオリのあいさつはこうでした。
「いわふちはそのての本が大好きなので、いつも幸せを実現する方法をああだこうだとくどくどと語りたがりますけど、私から見たら大事なことはたった3つです。夢と感謝とプラス思考!」
B型の関西人にはかないません。おっしゃる通りでございます。
A型の越後人のぼくは「しあわせ家族がもっとしあわせになる魔法の庭」を、今年も(くどくどと)熱く語って、夢中で設計し続けますよ!
この仕事で、今回とてもうまくいったことがアプローチの乱張りです。
石はエスビックのアースクォーツで、色はピンクとホワイトを7:3で混ぜて使いました。

自然石の乱張りは、職人さんの上手下手がハッキリと出る作業で、いくつかある決まり事に従って施工するんですけど、そのことに加えてその職人さんのセンスも問われます。
我が軍の職人さんたちは人柄もセンスも抜群だと自負しているんですけど、石を扱う時の知識と技術には多少のばらつきがあって、過去何度か「こことここはやり直し」と手直しをお願いしたこともありました。
そんなぼくの(職人さんにしてみたら理不尽とも思える)ダメ出しに「なるほどねえ〜、勉強になるなあ」と前向きに対応してくれる人ばかりなので、それに感謝しつつ、でも何度もダメ出しをしてきました。
しかし今回は 一発合格!で、実のところちょっと感動しながら撮影していたのです。「腕上げたなあ!」と。
ではここで、乱張りの上手下手の見極め方をお教えしましょう。いくつかの守るべき法則があるんですけど、一番簡単な見極めのポイントは「目地が三叉路」だということ。目地というのは石と石の隙間のことで、その交わる部分が全て三叉路になっているのが正しい石の組み方なのです。
写真をご覧ください。ね、そうなってるでしょ。四つ角や五叉路は一ヶ所もありません。散歩しながら近所の乱張りを見てくらべていただくと、その違いがよーくわかると思います。
なぜ三叉路がいいのか・・・、くわしく解説すると長くなるので、ごくごく簡単に言うと3は安定を生む数だということなんですね。大阪城の石垣も同じ法則だし、なんとなんと、マチピチュの遺跡の石積みも同じなのです。目地が三叉路です。3。2でも4でもなくて3。
紀元前の中国の器で足がついているのがありますけど、その足の数は決まって3本です。
日本の生け花でも基本は3です。芯、添え、控えの3点で構成されます。
南米でも中国でも日本でも、太古の昔から3の効用に気づいてそれを暮らしに取り入れていたのですから、3、興味深い数字です。
「三つどもえの戦い」とか「三角関係のもつれ」とか、3はドラマも生み出しますよね。
他にもあります3がついた言葉。「三種の神器」「三日坊主」「三度目の正直」「石のうえにも三年」「三三九度」「三日天下」「三位一体」「かけつけ三杯」「御三家」「三大珍味」・・・ウルトラマンが地球上で戦えるのは3分間で、カップラーメンも3分間です。
ね、3という数字は人類に対して特別な何かを持っているのです。そしてその特別な数字を背中にしょって活躍したヒーローが、そう、長嶋茂雄さんです。そう考えると、長嶋さんは背番号を3にした時から「特別な人」としての運命が始まったのかもしれませんねえ。
3ておもしろいでしょ。毎日庭の設計をしていて、最も使う図形が円と三角なんですね。円と三角があれば「幸せな場所」を設計できます。ということは、生活全般にも円と三角を取り入れると、何かしらいい結果が導き出されるのかもしれませんね。
そうそう、円もまた興味が尽きない形なんですよ。家庭円満の円、円卓会議の円、雪舟が描いた円、楕円、卵型、スパイラル。宗教哲学や宇宙まで円の話は広がっていきます。そんな円のことも、そのうちやります。
では、夜の様子をあらためてご覧ください。
アパートの入り口から、

中に入っていきます。


今度は建物の脇です。

この脇道の奥がレストラン四季の庭で、今回のアパートはそのレストランを経営するご家族が建てました。

ですからこのアパートの外構は、同時にレストランへの誘導と、店への期待感を高める演出的役割りも果たしているのです。

伊太利庵厨房『四季の庭』は上大岡の奥様方に大人気の店で、昼も夜も予約が必要です。

地元の奥様方に支持されているというのはホンモノですよね、奥様方はきびしいですから。味、サービス、値段、すべてが合格点だということです。

この店をオープンする一年前にうちに来られて「庭が話題になるレストランにしたいんだ」と語ったオーナーの渡辺さん。オープン当初、そのイメージ通りに庭が話題のレストランになりました。気候のいい時期は庭の席から予約が埋まっていったそうです。
しかしここまでの数年間、人気を維持し高め続けてきた要因は、庭ではなくて渡辺さんの人柄。いつもガハハと豪快に笑いながら、実はこまやかでやさしい、魅力あふれる人です。まだ行ったことのない方はぜひ一度行ってみてください。
ときどきいろんなミュージシャンのライブもやっているので、いつかテミヤンのライブもここでやれたらすてきだろうなあ、なんてひとりでイメージしています。テミヤンの歌は常連の奥様方に必ずウケるはずなんですね。なぜならば、オーナーの渡辺さんの風貌がテミヤンと瓜二つ、まるで双子のようにそっくりだからです。大ウケ間違いなし!
レストランの庭をやらせていただいた縁でご依頼いただいて、今回の仕事はほとんど「おまかせ」でした。ですから仕事自体も楽しいものでしたし、それ以上に、また渡辺さんと関われたことがとてもうれしいことでした。
上大岡の隠れ家的レストラン 伊太利庵厨房 四季の庭 、すてきな店ですよ。