3年前の新築時に前庭だけをつくって、そこから先の奥の庭をあらためて設計したプランです。
3年前に自分が描いたプランを、頭の中で1回チャラにしてから考えたこのプラン、仕上がってから並べてみたら「変わっていない自分」と「進化した自分」が見えて来て、同時に自分自身のこの3年間が蘇って来て、ちょっといい時間でした。「いろんなことがあるけど、よくがんばってるよなあ」って。
図面を時計回りに180度回転させて、3分割のアップです。
昨日書いた「やっぱりなあ・・・」とニンマリした理由です。
3年前、奥様が港南台のビッグサム(当時)にあるうちの店に、初めて来られたときのことをよく憶えています。
カラッと晴れた日曜日に、その天気のようにカラッとした笑顔の奥様が入って来られて「新築なんですけど、けっこう庭が広くてどうしようかと」という感じでした。さっそくその場で敷地の様子をお聞きしながら、ラフスケッチを描きつつあれこれとお話しさせていただいたんですが、そのときの奥様の反応がとっても印象的だったんですね。
ぼくの話にちょっと身を乗り出す感じで「わーすごい!」「すってきー!」と、もう無邪気な少女のように目を輝かせて。とにかく興味津々で、ご来店のときからすでに笑顔だったんですけど、その笑みがさらにどんどん大きくなっていって。
そんな反応をされるとぼくとしては当然悪い気はしないわけで、どんどん調子が出て、まだ見ぬその敷地の庭が頭の中につぎつぎとカタチになりました。その時点で、イメージの世界で、もうすっかりできあがってしまった庭を後日仕上げたのが、昨日ご覧いただいたプランです。
なんと言うか、ほめ上手というのとちょっと違うんですね。「よろこび上手」かな。そう、ものすごくよろこび上手なんですねその奥様。
好奇心いっぱいで、庭のことだけじゃなく、世の中のすべてのことに好奇心から入っていって、まずぜーんぶ吸収してしまいます。探検遊びとか宝探しごっこをしている感じ。
プランができあがって、またもや「すっごーい!すってきー!」と反応してくださって大盛り上がり。しかし、施工のご依頼は全体ではなくて前庭部分だけでした。
ぼくは一瞬コケて、でもすぐに「そうか、前庭を花だらけにすることに興味が集中したんだな」と思ったんですね。
奥様のような「よろこび上手」な方の特長で、何ごとにも興味津々なのと同時に「早く自分で試してみたい」という、子供が買ってもらった長靴をすぐに履いてみたくて雨の日が待ちきれずに家の中で履いてしまうような感じがあります。それと、これが重要なポイントなんですけど、あまり多くを望まない。
盛りだくさんのプランの中で、玄関先のガーデニングに焦点が合って、そのワクワクに向ってまっしぐら。すぐにそれに取りかかって「しあわせ~」な暮らしが実現する。それだけで十分に、最高に幸せですから、庭の奥が手つかずの荒れ地になっていても、3年間きっとそんなことは意識にも入っていなかったことでしょう。
これが幸せ上手な人の姿なんですよね。もっともっとと欲張ることなく、目の前の幸せを育ててそれを味わい尽くす。
玄関先の前庭を楽しみまくって「さあて、3年楽しんだし、そろそろ奥の方にも楽しみを広げてみようか」と再度連絡してくださって、そして現地に行ってみるとそこには咲き乱れる花に埋もれるように庭仕事をしている、若きターシャテューダーのような奥様の姿が。だから「やっぱりなあ・・・」とニンマリしたわけです。
よろこび上手は幸せ上手
何ごとにも興味津々で、目の前の幸せを存分に感じて暮らす。賢いというか、得な性格というか。見習いたいですねえ。