まくら木の通路-吉永邸|横浜|エクステリア工事|グレースランド

Graceland

  • 会社概要
  • お問い合わせ
  • LINK
  • HOME
  • 施工実績
  • テーマ別施工事例
  • ビフォーアフター
  • おすすめ商品
  • ご依頼いただいてからの流れ
  • 店舗紹介
  • コラム
ホーム>施工実績>まくら木の通路-吉永邸
まくら木の通路-吉永邸
Back
お問い合わせはこちら
Next

まくら木の通路-吉永邸

17
451

しっとりした庭( 吉永邸 1)

梅雨に逆戻りしたような天気ですね。どうやら夏本番は8月からのようです。

さあはじめましょう!
今日から新シリーズ、吉永さんちのしっとりした庭です。
撮影が梅雨時期だったので、太陽ギラギラの夏には絵的にずれるかな?なんて思っていたら、天候がブログに歩調を合わせてくれました。では。

奥様が生まれ育った家を建て替えて、庭は以前のままで外構は一応完成。その外構(駐車スペース)が使いづらいということで声をかけてくださいました。

現地にうかがってあれこれお話しをお聞きするうちに「外構もプランしますけど、庭の方もご提案させてもらっていいですか?」ということになりまして、結果的には外構の改修はそこそこにして庭の方を施工することになりました。
これはよくあることなんですね。家を建てるとどうしても外構のことが気になってそちらに意識が集中してしまって、庭スペースは後回しになりがちなのです。外構と庭、どちらも大事ですけど、どちらが優先かというと、ぼくは庭だと思っています。
住宅の外構は(一般的に言うとですけど)駐車スペースがあって、あと必要なのはアプローチと表札とポストとインターホンです。簡単に考えれば駐車場に砂利を敷いて、表札・ポスト・インターホンがセットになったユニット門柱を建てて、玄関までのアプローチに飛び石でも置けばそれでOK!です。もちろん見た目や建物のコンセプトと合致しつつ、家を引き立てる外構ができれば最高ですが、優先順位としては庭なんですね。

外構がイメージ通りにできることのメリットやうれしさと、理想的な庭が実現することのうれしさ、価値、どうですか、新居での暮らしが始まるわけですから、やっぱり庭優先じゃないでしょうかねえ。いい庭があれば豊かな気持で過ごせたり、暮らしが何倍にも楽しくなるのですから。見事な外構ができあがったからといって、そのことで暮らしが楽しくなるわけではないですからね。いや、ちょっと極論ですけどね、もしも優先順位をつけるとしたら、ということです。

では、そんないきさつで(外構は後回しで)できあがった庭のプランをご覧ください。

Plan A

b4802f2a.jpg

施工前の庭はこうです。

05fa9654.jpg

奥様のご要望としては、
1、既存の木と草花を大事にしたい
2、昔から仲良くしている裏のお宅と行き来ができるようにしたい
3、素朴な和の雰囲気でガーデニングを楽しみたい
4、お隣りさんから見ても感じがいい庭にしたい
というものでした。

Plan Aをご覧いただいての感想が「通路の素材を石だけではなく、まくら木を使いたい」ということと、「もっとナチュラルに、まくら木とまくら木の隙間に草が生えている感じに」ということ。そのイメージをぼくに伝えるために、色鉛筆を使って一生懸命に描いたスケッチを渡してくださいました。感激しました。
そうやってできあがったプランがこれです。

Plan B

37c13548.jpg
8158b3d3.jpg
727a9e35.jpg

明日はビフォー・アフターです。しっとりした庭が出現しますよ。

植物が主役の庭( 吉永邸 2)

最初はリビングの外の通路です。地面を持ち上げてテラスにしました。

Before 1

3f7a8344.jpg

After 1

6a1d3cfb.jpg

反対側から。

Before 2

3919890b.jpg

After 2

9be38b59.jpg

そして庭です。裏木戸の外から庭を見るとこうなりました。

Before 3

9a58db41.jpg

After 3

3432fe0c.jpg

庭に入って、振り返って、

Before 4

526f6cbc.jpg

After 4

0fbcb652.jpg

そのまま後ずさりして、

Before 5

28cbc687.jpg

After 5

8253932c.jpg

庭の中央で振り返って奥を見ると、

Before 6

db086d67.jpg

After 6

7a992b11.jpg

そして一番奥まで行ってまた振り返ると、こうです。

Before 7

4ad1c1b3.jpg

After 7

6b70a453.jpg

もともと植わっていた木や草花を残しつつ、通路を整備しました。そして工事完了から、木が芽吹いて草花が生長するまで撮影はじっと我慢。
普段つくっているバーベキューテラスなどのそこで過ごす人が主役の庭と違って、今回は植物が主役の庭ですから。その主役が元気になるまで、何度か覗きに行って、梅雨明け間近のこの日に撮影となったのでした。

いつもと違って、なぜ今回は植物が主役なのか。それはまた後日ということで、明日から各所を解説していきます。

通路をテラスにする( 吉永邸 3)

リビングの外にある1メートル20センチ幅の通路。

d90bb5a5.jpg

一般的には建物の基礎がドロはねで汚れないためと、雑草取りを楽にするために砂利を敷きますよね。
その1メートル20センチ幅の通路をテラスにすると、けっこういいもんですよ。地面を持ち上げて、タイルを張って、それだけで部屋が外に広がった感じになるし、小さめの椅子テーブルなら置ける広さですから、いつでもそこで過ごせます。「狭いから無理だ」とあきらめないで、いち度イメージしてみてください。部屋が広がって、室内と外が解け合って、リビングの居心地が大きく変わりますよ。

19ab9a14.jpg

今回のいちばんの狙いは庭に出やすくすることでした。それは同時に庭から家にも入りやすくなるということで、仲良しのお隣りさんが玄関からではなく、庭を通ってここから「いるー?」とか言いながら入ってくる、そんなことをイメージしてつくりました。田舎の縁側みたいなもんですね。

70eb5ba2.jpg

こういう場合、地面を持ち上げるだけでは片手落ちで、同時に、立体的な要素として塀やフェンスを設置するといい感じの場所になります。できれば部屋に立って目が当たる高さまで。そうすることでカーテンを開けていても外の風景が絵になるし、立って目が当たる高さの壁や塀があると、そこまで部屋が広がったという認識が生まれるからです。

今回その役を果しているのはタカショーの千本格子ユニットです。奥様の和風好み(室内も洋室に和テイストがあしらわれていて、とても落ち着きのあるリビングなのです)にあわせてこれを選択しました。

a0f0e3a6.jpg

じつはこれアルミなんですよ。アルミフェンスに木目のプリントを貼ってあるんです。
すごいでしょこの味のある本物感。プリントの耐久性も抜群で「さすが、こだわりのタカショー!」と言いたくなる製品です。

ebaef755.jpg

持ち上げたテラスには植栽スペースを設けてあります。部屋からの景色として考えた時に、これもまた有効な手法です。

97004f3d.jpg

景色のアクセントにライトを一灯設置しました。おもしろいでしょこれ、お月様が転がっているみたいで。積水エクステリアのムーンランプです。

42545ed4.jpg

テラスから階段を下りて、庭と、その向こうのお隣りさんちへと続く延べ団が見えます。

222939fb.jpg

どうですか、通路をテラスにすることで、ずいぶん便利で楽しくなるでしょ。

昭和的な庭( 吉永邸 4)

庭の全景です。考えてみたらこういう庭をつくったのは久しぶりです。

93e28911.jpg

庭師を志した人が神保町に行って庭に関する書物を買いあさると、今回のような庭の仕立て方に関する大量の本と遭遇します。ということは、こういう植物が主役の和の庭が日本の庭の歴史だったのかもしれませんね。

e81f4e71.jpg

日本人にとっての庭は植物とともに情緒を育み、その情感を体感するための場所という一面があった。キッチリ仕立てた庭木と盆栽、石組み、打ち水、杉苔や山野草やシダ類、それを眺める縁側。昭和時代の典型的な庭の捉え方です。

2a9f700c.jpg

この昭和的とも言える庭の捉え方から、なぜぼくがしばらく遠ざかっていたのかというと、アンチ昭和的な庭に夢中になったからです。アンチ昭和的な庭とは、眺める庭から過ごす庭へ、物思う庭から体感する庭へ、そして庭が趣味の場所ではなくて、家族にとって欠かすことのできない生活空間、外の部屋になる、ということです。
だからといって、昔ながらの庭は興味がないとかつくらない、ということではないんですよ。たまたま夢中になると長引く性格なもので昭和的から遠ざかっていただけ。

今回は最初から昭和的な庭をつくりたくてウズウズしていました。それは奥様から受けた「そうしたいんです」というメッセージに心を奪われたからでした。そのいきさつはまた後日ということにさせていただいて、とにかく今回はいつもとは違う、昭和的な概念に立った、そこを目指してつくった庭です。

75f4537f.jpg

昭和的、アンチ昭和的、という何とも昭和的な言い方をしましたが、考えたら「昭和は遠くなりにけり」になってきましたね。そのうち「まったく昭和生まれは・・・」なんて子どもや孫に言われるんでしょうね。
でもね、子どもたちよ、昭和時代はすばらしかったんだよ。今にくらべたら全員が貧乏だったけど、でもね、心は豊かだっだ。家族を大切にするのが当たり前だったし、近所のことは家族放ったらかしでも面倒をみた、そんな時代。それにね、なんたって昭和時代には、ビートルズっていう凄い4人組がいたんだぜ。

てなわけで、また明日。

意味があるもので構成する( 吉永邸 5)

2枚の木製パネルが設置してあります。

ちょっと次の写真でイメージしてみてください、この2枚がなかったら・・・庭が平面的になりますよね。これが立体構成です。庭を歩く人の目線よりも高い構成物があると、庭を平面としてではなく空間として認識するようになるのです。

40aa4d46.jpg

だからといって、庭のあちこちにやみくもにパネルや塀を立てるのではなくて、やはりそれぞれに意味が必要です。今回の場合だと、建物側にあるパネルは室外機と給湯器を隠すためで、

eb866bb2.jpg

もう1枚の隣地側のものはつる性の植物をからめるためのパネルです。

84b55c64.jpg

そしてどちらも「お隣りさんからの見栄えがいいようにしたい」という奥様のご要望に添っての提案でした。
その意味と同時に、庭に厚みを持たせる効果も狙ったというわけです。

このこと、意味があるもので構成する庭というのが基本だと思っていて、そうすることでデザインが荒れるということがなくなります。「意味がある」とは言い替えると「説明がつく」ということです。庭を構成している図形的な曲線や直線、構造物の寸法など、どこをとって質問されても答えられるという、そういう庭をぼくは「気持いいなあ」と感じます。
では気持悪い庭とはどういう庭なのか、それは何となくつくった、意味不明の庭です。多いんですよそういう庭。よく「ゆるい」って言うんですけどね、そういうのを見かけると。

庭に限らず、建築でも、洋服でも、クルマのデザインでも、同じですよ。もし、「理屈で組み立てるとおもしろさに欠ける作品(商品)になる」というデザイナーがいるとしたら(たくさんいるんですけどね)、それはその人自身がおもしろさに欠けているんだと思っています。デザイナーのフィルターを通すと、そのフィルターの色が染み付きますからね。おもしろい人が理屈で組み立てたものはおもしろいんです。作曲や演劇もそうでしょ。

で、ぼくのフィルターの色はどうですか?自分にわなかなかわからないんですよね、自分の色。まじめさや熱心さは出ている気がしてるんですけどね。はたしてぼくのフィルターの色は・・・、この話、明日に続きます。

植物が図形を消してくれます( 吉永邸 6)

昨日は立体的な構成に役立つ木製パネルをご覧いただきました。今日は平面的な構成です。

8d961dda.jpg

ガーデニングがメインの庭では歩く場所と植える場所をはっきりさせることが基本です。ようするに通路をどうとるかということです。

86769231.jpg

まず導線(庭での動き方)を決めて通路の素材と寸法を考えて、できあがった通路以外の土の部分が植物を植えて育てる場所、という分け方です。
逆に、スペシャルな植栽スペースとして花壇を設定して、そこへのアプローチとして通路を考えていく、というやり方もあります。

e2c1a1d2.jpg

今回は通路先行でイメージして、ポイントとしては奥様の「まくら木の隙間に草が生えている感じに」というご希望がありましたので、できるだけ通路自体が主張しないようにと意識しながら設計しました。
ここが微妙に難しいことなんですが、使用する石材やまくら木に規則性を持たせると図形的な主張が出てしまいますが、かといって、無秩序に何となく並べるとデザインが荒れてしまいます。ですから、図形が出しゃばらない程度にそこそこ規則性を持たせて(この先が大事なんですけど)さらに植物にその線を消させるというふうにしました。

f01c0af6.jpg

今回の撮影は、植物が育ってその狙いが果せるまで待ちました。時々通りがかりに庭を覗き込んでタイミングをはかって、そして梅雨明け間近のこの日に撮影。

780d173b.jpg

モミジと語りました( 吉永邸 7)

ガーデンリフォームですから、もともと庭に植わっていた樹木を極力残しつつプランするようにしました。いつも基本的にはそうしようと考えていますが、特に今回は、奥様から「庭の木や草花は想い出があるのでできるだけ残したいんです」というご要望がありましたのでなおさらでした。

このモミジはもともと植わっていた木です。そしてひとめ見て「いい木だなあ」と。時々あるんですよそういうこと。

b622620f.jpg

その姿から、かなり庭好きで、けっこう凝り性の方がかわいがって育てた木だということがわかります。うれしくなるんですよね、こういう木に出会うと。
どんなにいい仕立ての高級な木を買って植えても、木は生長しますから、放ったらかしたら早晩姿は乱れて、下手すれば枯れてしまうものです。反対にたいした木じゃなくても、愛情を持って付き合っていけば必ず見事な木になります。最初から樹形がヘンテコな木でさえ、年季が入るとそのおかしな形が味わいになるもので、だから植木屋さんの畑には変な形の木もたくさん植わっています。けっこう需要があるんですよ、そうい木って。

このモミジを丹念に手入れしながら大切に育てていた方はもうこの世にはいません。「樅の木は残った」という大河ドラマがありましたけど、この庭では「紅葉の木は残った」です。いいですよね、木が元気だと、その木にまつわる想い出やその木を育てた人のことが蘇ってきて。しかも庭木を見て故人を偲ぶ場合、不思議と悲しいし気持にならないものなんですよ。これは昔、ぼくに剪定のしかたを教えてくれた植木屋の親方さんが、茶飲み話で言っていたことです。その時は何気なく聞いていましたが、後年自分でも何度かそれを実感しました。
なぜ木を見て思い出す故人の想い出は悲しくなくて楽しいことばかりなのか、というと、その木が息づいているからです。故人とその木がダブって、亡くなった気がしなくなるんですね。
このモミジはぼくにはそう見えました。お会いしたことのないその方と、撮影の合間にけっこう会話しましたよ。先にこちらからご挨拶したら、とっても気さくに話しかけて来てくださいました。

降ったり止んだりの空模様だったので、モミジの葉に細かい水滴が。ファインダーをのぞきながらぼくはその葉っぱと話していました。完全に木と故人が重なっていました。

822585cd.jpg

庭には他にもいろんな灌木類が植わっていて、アジサイ、アオキ、ツゲ、チャノキなど、いかにも昭和を感じさせる木々がそのモミジに見守られるように茂っていました。

dc32c9bb.jpg

ほんとに庭が好きな方だったんだなあと、そんなこともモミジに向って話しかけて、いつしかぼくは、自作の坪庭が自慢だった祖父(先日七回忌が済みました)と会話していました。

5c2cae8e.jpg

庭っていいですね。ぼくがこの世からいなくなった後に、ぼくのことを思い出して語りかけてくれるような庭を、子どもたちと、そのまた子どもたちに残したいなあ。

いやあ、あのモミジがあまりにいい感じだったので、何だかタップリと幸せな想い出が蘇ってきました。

76035a77.jpg

っと、延々ノスタルジーに入っていきそうなので軌道修正して、話を庭木に戻しましょう。

今回新たに植えたのはエゴノキとミカンの2本です。エゴノキは庭のほぼ中央に。これは庭全体に厚みを持たせるためと、いわゆる雑木を植えることで、今風のナチュラル感を出したかったからです。そしてミカンは、物置を隠すために植えました。どちらの木もお隣りさんから見栄えがいいように、という配置にもなっています。

fbaeaf0c.jpg

a87f6d64.jpg

幸せな庭をつくるために、邪魔になる木を切ることはよくあります。塩とお酒でお清めして、パパッとお払いして、チェーンソーで一気に。でも、想い出の木、魂が宿った木はとてもじゃないけど切る気になれないので、それを残してプランします。

庭は植物のための場所ではなくて人のための場所です。人がいて庭です。木に宿っている想い出の人もまた、庭にいる人なのです。

テラスの植物( 吉永邸 8)

ようやくブログの調子が回復したので、吉永さんちのご紹介を再開します。

リビングの外を持ち上げてつくったテラスにタイルを抜いた植栽スペースがあります。
部屋から見て正面に設置した千本格子にネットを張って、ゴーヤが伸びていました。

71a3a57b.jpg

年々人気が増しているゴーヤ、簡単にグリーンカーテンを仕立てられます。

13c90988.jpg

床面にはタイルを抜いた植栽スペースがあります。

370b5c08.jpg

この多肉、グッときました。色合いがとてもいい感じです。

ad80a3cf.jpg

そしてミニトマトも植わっていました。

be942de1.jpg

これらの植物がリビングから手が届きそうな位置にあるということが、いつも身近に植物があって、それを愛でるということと同時に、室内、リビングの雰囲気を引き上げていました。施工前は敷き砂利とお隣りさんの外壁が見えていたんですから、劇的な変化です。

図形を隠すのは日本的( 吉永邸 9)

まくら木を、隙間を空けながら規則性(角度が乱れないように)を維持しつつ並べて通路にしました。
そうやっておいて隙間に草を植えて、まくら木の直線を植物で消すと、風景から図形的要素が消えてナチュラルな感じになります。

909bf65c.jpg

このように構造物で規則をつくっておいて、そこに植物をかぶせて隠していくという考え方はものすごく日本的なことです。

40f7b8cc.jpg

日本以外、特にヨーロッパでは庭にはっきりと図形を描いて、規則性を目立たせるんですね。庭の中心にシンボリックに噴水があって、そこから外に向って何重にも円形の通路があって、植物も構造物のひとつとしてキッチリと刈り込んだトピアリーになっている、そういうイメージです。
これは円、直線、左右対称といった図形的、規則的な表現をすることで、人間(庭の持ち主)が自然の一部を支配できた、という解釈があるからだと言われています。

8cb751ac.jpg

日本人は庭を考えるときに、自然を支配するとか制圧するとかいう感覚がなくて、逆に自然を感じる、自然を再現するということに価値を感じるので、庭を眺めた時にハッキリした図形が見えるような庭を好みません。自然の風景にはそういうことが存在しないからです。

378d0d8e.jpg

ただし、そうは言っても無秩序に、行き当たりばったりに通路や構造物を配置したら、その風景は荒れてしまって、庭自体のパワーが落ちてしまいます。

ですからいったん図形的、規則的に理屈っぽく組み立てておいて、そこに見える線をどうやって、どこまで消していくか、という手法が有効なのです。

554bc1a8.jpg

自然そのものに見えるような公園や日本庭園には、実際に隠された図形の組み合わせでできあがっています。例えば木の配置は平面的、立体的、両方で3角形を使って植えるのが基本とされています。景石の配置も同じです。
そうそう、この三角形が「図形を意識させずに規則性を持たせる」ためにとても便利な形で、このことはいつかじっくりと解説しようと思います。生け花での「芯・添え・控え」もそうですが、とても日本人の感覚に馴染む構成が生まれるのです。

d6477196.jpg

理屈はこのへんにしといて、美しいでしょう!雨に濡れた草。
明日も引き続きご覧いただきます。

シズル感、本田健さん( 吉永邸 10)

この日は雨が降ったり止んだりを何度も繰り返していました。霧雨の時はおかまいなしで撮影続行し、ばしゃばしゃ降ってきたら軒下へ避難。だから植物かしっとりと濡れていたり水滴が光っていたりしていて「きれいだなあ」と。

04965a18.jpg

コマーシャルフォト(広告写真)の世界で広まった言葉でシズル感というのがあります。例えばジョッキに注いだビールをおいしそうに撮影するために霧吹きでジョッキを濡らすんですね、そうするといかにもキンキンに冷えたビールのように写ります。野菜サラダもそうですね、霧吹きすると新鮮に見えます。これがシズル感。

06f1d79d.jpg

木や草花もまた濡れるとイキイキ写ります。今回は天候によってたまたまそうなったのですが、庭の撮影でも水を打ってから撮るのは常套手段で、日本庭園の写真集をめくるとかなりの割合で庭石や植物を意図的に濡らして撮影しています。

7b9b95b0.jpg

濡らすことでイキイキさせることを言っていたそのシズル感という言葉が、だんだん進化して、今では撮影対象を実物以上に魅力的に演出したい時に「シズル感出していこうよ」とか「もっとシズルがほしいね」というような使い方になりました。

59e4aa56.jpg

実態よりも美しく演出する(本質をより強調するための演出かな?)、シズル感を出すということを、世の女性は日常的にやっていますよね、お化粧や洋服選び。
自己演出、自分のいいところを印象づけるオシャレ、大事なことだなあと思いますよ。われわれ男性もシズル感の演出を怠らないように、せっせと霧吹きしましょう。

f6db35af.jpg

先日北原照久さんにご紹介いただいて、河口湖のHappy Daysで本田健さんにお会いしました。本田健さんはお金と幸せの専門家で著書は累計300万部売れているというものすごい方です。たまたまそのときに夢中で読んでいた本が本田さんの「ピンチをチャンスにかえる51の質問/大和書房」だったので、もう大感激で、妻と一緒にとてもすてきな時間を過ごさせていただきました。(いつものことながら、北原照久さんに大感謝です)

72ca07c9.jpg

本田健さん、かっこよかったなあ!まさにシズル感いっぱいで、奥様とご一緒だったのですけど、河口湖畔を歩くお2人の姿は、まるで軽井沢のジョンとヨーコのようでした(実際に風貌がジョンとヨーコに似ています)。そしてLOVE & PEACEな方でした。
いただいた名刺の裏には、手描きで夢を生きる!!と。いいんだなあこういう人。

9d6414ef.jpg

自己演出、オシャレ、シズル感。
さあ、自分に霧吹きして、今日もいい感じでいきましょう!

夏のアジサイ( 吉永邸 11)

数日間ブログのシステムトラブルでアップできませんでした。にもかかわらず、クリック数が減っていなくてうれしいやら申し訳ないやらです。
ではいつものように、吉永さんちの庭を再開します。

撮影が梅雨明け間近のころ(もう夏)でしたから、あじさいの花は色が抜けていました。

6f6dd4bd.jpg

ぼくはこの感じが大好きなんですね、「夏休みが始まるぞー!」というイメージがあるんです。

76499731.jpg

色あせた夏のアジサイを見て、子供の頃の夏休みへのワクワク感を思い起こす人ってけっこういるんじゃないかなあ。
同じように種がついて枯れ始めた朝顔を見ると「早く宿題を終わらせなきゃ・・・」というちょっと残酷な気分になります。

a3ae75d7.jpg

花の盛りが過ぎていても、やっぱり梅雨にはアジサイですね。ファインダーを覗きながらグッと引き込まれます。

c02fb527.jpg

そしてビックリしたのがこれ。なんという品種なのか不明ですが、新種のアジサイです。
美しー!引き込まれるように10回以上シャッターを切りました。
他のアジサイの茂みに埋もれていて、カメラを持っていなかったら気がつかなかったと思います。いやあ気づいてよかった。

c4bf643b.jpg

アジサイを撮り終えてふと見ると、古びたジョーロにアジサイが生けてありました。いかにも吉永さんらしい感じがして、ひとりニンマリしながらパシャッと撮影。

ba4a8eec.jpg

アジサイは、昭和の家の裏庭やお寺のまわりの日陰に咲いていた、ぼくにはそんな印象があります。そういうノスタルジーを持ちつつ、品種改良で次々新種が生まれています。
アジサイ、ぼくのこれからの設計に登場することが多くなりそうです。吉永さんの感性が、ぼくにひとつ、設計の引き出しを増やしてくれました。

奇跡( 吉永邸 12)

昨日のアジサイに続いて、その他の雨に濡れた植物をご覧いただきながら、今回の庭が生まれた経緯を書きとめておこうと思います。

74b31655.jpg

吉永さんの奥様は若い時にご両親とも亡くされています。それ以来、ご近所の方々(特に裏のお宅のおばさま)に支えられて暮らしてきました。

ご両親との想い出が詰まった家が老朽化して、大嫌いなねずみも住み着くようになったため、意を決して建替えに踏み切ったのだそうです。
生まれ育った家、ご両親と暮らした家を立て替える・・・、どんな思いだったか。その心情を考えると胸が苦しくなります。まあ逆に考えれば、それだけ今の生活が充実していて、想い出は想いでとして、しっかりと次に向って歩んでいるということですから、拍手なんですけどね。

31c1f085.jpg

立て替え後も、そのご両親が丹精していた庭の一部が残っていて、今回のガーデンリフォームはそこを再生することがテーマでした。だからいつもの「過ごす庭」ではなくて「昭和レトロなガーデニングを楽しむ庭」になったわけです。
それと、裏のお宅からの見栄えを気にしたのも、奥様の「お世話になった方へ、少しでも快適に暮らしていただきたい」という気持ちからでした。

c73e9686.jpg

ご両親の想い出が詰まった庭の再生は、イコール尽きることのない幼い日の幸せな記憶を庭に刻みつけたい、ということ。
ですから奥様からも「あまりつくり込んだ感じの庭ではなくて、まくら木のすきまに草が生えているような庭に」というリクエストがあったのです。そのことを奥様はご自分でスケッチッを描いて、とてもやさしく、でもしっかりとぼくに伝えてくださいました。

若くしてご両親とも亡くされるということが、どれほどキツいことなのか、両親とも元気なぼくには実感できるはずもありませんが、その経緯と、この庭への奥様の思いを感じて、身が引き締まる思いで設計にのぞみました。
頭を切り替えるのに数日かけて、昭和の庭の写真集や書籍を引っ張り出して眺め、気力を充実させて一気に描きました。

6622ef3f.jpg

話は変わりますが、打合せ中に奥様からベストセラー「奇跡のリンゴ」を教えていただいて、さっそく読んで、ものすごく感動しました。本を読みながら涙があふれるというのはそうそうあることではありませんけど、涙があふれました。

ab057ea1.jpg

eb14e4c7.jpg

不可能と言われたリンゴの無農薬栽培に挑んで、そして奇跡を生んだ、木村秋則さんの物語です。

075b5b5e.jpg

いい顔してるでしょう!木村さん。興味のある方はぜひ読んでみてください。この本を教えてくださった吉永さんに、感謝しています。

そして、この吉永さんちの庭でも奇跡が起こりました。

5d347c01.jpg

うちのスタッフが工事前に取り置いてあった草花を植え込みにうかがったときに、物置の奥にあった園芸用の炭を見つけ「この炭を使ってもいいですか」とお訊きしたら「どうぞ、使えるんなら使っちゃってください」という返事。で、スタッフがさあ植え込もうと土を掘ると、土中から炭がたくさん出て来ました。「これは亡くなったご両親が埋めたものに違いない」と、スタッフはそのことを奥様に。
それを見た奥様は「父が埋めたんだと思います」と、・・・微笑みながら涙ぐんでいたそうです。

a71cfe04.jpg

それぞれのお客様が、庭への様々な思いを持っていて、ぼくらはそれを精一杯いいカタチにしようとがんばって。
あの奇跡は、ご両親からの、庭を大事に思いながら立派に暮らしている娘へのプレゼントであり、そのすてきなドラマに接することができたぼくたちもまた、幸福なプレゼントのご相伴ににあずかりました。

41a63ef8.jpg

その晩、ドラマの余韻が消えなくて、ぼくは妻とそのことを肴に、おいしいビールをいただきました。「うちの子供たちは、将来、庭で野菜を育てたりバーベキューを楽しみながら、ぼくたちのことを思い出してくれるだろうか・・・」なんて言いながら

下町の風景( 吉永邸 13)

そろそろ撮影を終えようかというときに、アゲハが飛んできました。すかさずミカンの木にレンズを向けて待っていると、思惑通りにやって来ました。

78ad5b3d.jpg

この時期、チョウチョは山から住宅地の庭に下りて来て、柑橘類に卵を産みつけるんですね。これはほんとに不思議なんですが、誰に教わるわけでもないのにミカンの木を見分けて、そこに卵を産みつけます。

ee9f3ad9.jpg

昨日の「奇跡のリンゴ」で、著者の木村秋則さんが、昆虫についておもしろいことを書いていました。木村さんは農薬を使わないのでリンゴ畑は虫だらけで、その生態をじっくり観察することが成功への第一歩だったのです。

リンゴの葉を食べる害虫は、草食だから優しい顔をしている。その害虫を食べる益虫は肉食だから恐ろしい顔をしている。

害虫は優しい顔で益虫は恐ろしい顔、おもしろいでしょ。益と害は人間の都合でつけただけなんですよね。
人間も同じです。立場や肩書きがどんなに立派でも恐ろしい顔をした益虫もいますので、要注意です。うだつが上がらなくても、騙すよりは騙される人でいる方がいいし、優しい顔をした害虫でいたいなあと思います。
何となくそんな気持にさせられる、吉永さんであり、吉永さんちの庭でした。

b93406bf.jpg

今日で吉永さんちのご紹介は終了です。途中寄り道したり休んだりで、読みづらかったことをお詫びします。

早くにご両親を亡くされて、ご近所に支えられながら立派な社会人になられた吉永さん。撮影を終え、道具を抱えて庭を出ると、そこには吉永さんを支えたご近所の風景がありました。
いいでしょこの木!住む人の人柄、人情がうかがえます。再びカメラを取り出してパシャッと撮影。

ff1f98e7.jpg

そして振り向くと、今は少なくなった砂利道の路地がありました。

e2143304.jpg

吉永さん、ありがとうございました。とっても想い出に残る仕事でした。それから、いただいた水菓子と箱入りの創作菓子、めちゃくちゃ美味しかったです。またそのうちフラッと覗かせていただきます。


Back
お問い合わせはこちら
Next
index_pagetop

HOME|施工実績|テーマ別施工事例|ビフォーアフター|おすすめ商品|店舗紹介|コラム|いわふちひでとしブログ|
会社概要|リンク集|新着情報|プライバシーポリシー|お問い合わせ|サイトマップ|

Graceland

有限会社グレースランド  神奈川県横浜市港南区港南台6-21-1 ロイヤルホームセンター港南台店内
TEL : 045-834-3069 FAX : 045-835-1436 携帯電話: 090-3570-3455

JAG

Copyright © Graceland. All rights reserved.