けっこう交通量のある道路ぞいでありながら、宅地が高いのと樹木が茂っていることで、別荘地のような風情で過ごせる庭です。特に庭らしい仕立てをしなくても、ご家族でこれまで十分に楽しんでこられたという様子が感じられて、大きな木があることの魅力と適切な目隠しの重要性を改めて感じました。
そんな庭スペースをリフォームしようということになった理由は飼っているワンちゃんです。もうかなりの老犬で・・・。余生をいい環境で過ごさせてあげたいということでした。
ワンちゃんのためにはゴロゴロできるリュウノヒゲマットのスペースを。その中央に鎖をつなぐためにまくら木を立てます。他の場所は円形花壇を2箇所、後は通路と植栽スペースを明確に分けて、草花に囲まれてワンちゃんと過ごす、そんなプランです。
着工までに何度か打合せを行って変更をしていった結果、大きなヒメシャラを伐採したり、レンガのスペースを広くしたりでこのプランとは違う感じに仕上がりました。もっと“過ごす”感じが強まって、リュウノヒゲマットは砂場になりました。そうやってお客さまのご要望を入れて行くと必ずいい感じになっていきます。お客さまには実際にその場所で過ごしていたことで感じている感覚があるからでしょう。
さあ、このプランからどのように変化したかは明日、ビフォー・アフターでご覧下さい。
Before
After
Before
After
Before
After
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ヒメシャラを抜いたことでゆったりと過ごせる場所が確保できました。
こうして出来上がってみると、お客さまが漠然とイメージしていたのは手入れがあまりいらない“過ごす”庭だったことがわかります。最初の打合せでの私の突っ込みが甘くて、ピントが少々ずれていました。それにもかかわらず一生懸命イメージを伝えて下さって、お詫びとお礼を申し上げます。
今回のように、思い込みが激しかったり情緒だけが先行してしまってご要望とずれっぱなしになることが時々あります。今後ご依頼の方は、そんな私の性格を広い心で笑って許しながら辛抱強くおつき合い下さい。ずれることもありますけど、必ずピントが合うまで練り続けますので。これもまた私の性格なのです。
撮影をしながら「ここでゴールドブレンド飲んだらうまいだろうなあ」としばし妄想。この場合、ネスカフェゴールドブレンドがいいのです。

ダバダ~ダ~バダバダ~ダバダ~

。ほんと、別荘地にいる感じです。階段降りたら大通りなのが信じられません。
そんな雰囲気を生み出している最大の要因は7メートル近くまで育ったクロガネモチです。ほとんど主張しない木なので、さて何を植えようかというときに選ぶ人は少ない木ですが、でもこのように大きくなるとすっごくいい感じを出します。クロガネモチの木漏れ日で休日のブランチ。いつか必ず体感したいシーンなのです。
庭の奥の砂場は3才のお孫さんの遊び場だそうです。でも残念ながら今はアメリカにお住まいだそうで(1年間の予定だそうです)、しばらくは少しさびしい砂場の風景です。
軒下にある水鉢はメダカを飼っているのだそうです。メダカは孵化したらすぐに別の水槽に移してやらないと全部親魚に食べられてしまいます。水鉢がいくつもあるのはそのためでしょう。こんなところからも、おだやかに、愛情豊かに日々を過ごしている戸澤さんご夫婦の生活ぶりがうかがえます。
多肉植物のコレクションがありました。
一般的には乾燥に強いので簡単そうな印象がありますけど、実際に育ててみるとなかなかうまくいきません。光と温度と、そして一番難しいのが水分管理なのです。もちろんやり過ぎたら駄目ですが、逆に水やりを忘れて枯らしてしまうことが多いのです。植物の状態を観察しながら温度を調節したり霧吹きしたりで、静かに、でも丹念につき合わなければなりません。だからでしょうか、多肉植物をやっている方には共通点があります。もの静かでおだやかで、でもものすごく凝り性。昨日紹介した“めだか”と共通しています。
表の通りからは全くうかがい知ることができない隠れ家のような場所。お孫さんの帰国を心待ちにしながら、おだやかに、こまやかに、充実した時間を過ごされている戸澤さんご夫婦の庭でした。