今回ご紹介するお宅は湘南某所のいい感じの中古住宅を買われて、それをさらにいい感じにリフォームした、いい感じのご家族、上野さんちです。打合せから施工、完了そして撮影まで、ご夫婦、子供たち、お母さまからずっと“いい感じ”を感じていました。ご家族全員が穏やかで、明るくて、自然体で、イマジネーション豊かで。わが家に欠けていることが全てそろっている感じがして。変な話ですけど「そうか、こんな風に生活してもいいんだ」と今さら気が付いたような次第でして。
わが家はもっとガシャガシャしていて、構成員が全員何かに向かって戦闘体制になっているような感じがあります。これはきっと、妻も私も自営業の家に生まれ育ったせいでしょう。自営業の家庭というのは365日、常に生活と仕事が混ざり合っていて、つまり生活イコール仕事なのです。おかげで2人とも仕事好きというか、いつのまにか休日がなくても平気な生活になっています。仕事をがんばって、仕事で気分転換して、仕事で遊ぶという感じです。そして時々力つきて倒れる。お互いに相手が倒れていても、それはバランスを回復するためのインターバルなんだとわかっているので、まったくノータッチです。こないだ私が疲れきって「ちょっと寝るわ」と言って昼間からビールを飲んでダウンしていた時も、妻はスタッフに「社長は今倒れてるけど、しばらくほっとけば自分で這い上がってくるから大丈夫よ」と話していたそうです。走っているか倒れているか、それがわが家の生活パターンなのです。
そんなうちの感じと対極にある上野さんご一家の穏やかで明るい日常、明らかにその方が賢い生き方だと感じました。で、そう感じたらどうするべきか、まず私自身が自己変革してガシャガシャのわが家に“いい感じ”の風を呼び込もうと決意しました。穏やかで笑顔か絶えない岩渕家を目指そうと思います。お客さまとの出会いでこういう気持になれることが、この仕事のいいところ。庭のデザインは私が提供して、お客さまからは家族のあり方をインスパイアされる、そうやって進化していくわが家の歴史がまた次の庭の設計に生かされる。このサイクルを崩さないで続けていけば、少しはジョンとヨーコに近付けるかもしれませんから。
そんな上野さんちの庭は、前にお住まいだった方が残していった和風の木や石をご主人ががんばって処分して、半分くらいはさら地のようになっていました。「さて、どんな庭にしましょうか?」あまり具体的な構想が出てこなかったので、叩き台として2プランをご覧いただきました。
Plan A
Plan B
これをもとに検討していただいて、できあがった Plan C は明日。