昨日はパソコンの調子が思わしくなくて1回パスでした。連休でクリック数が急上昇しているさなかに申し訳ありませんでした。
では今日から新シリーズ「四季の庭&浅見帆帆子さんの世界」です。
上大岡のある隠れ家的レストラン「伊太利庵厨房 四季の庭」、ご存知の方も多いと思います。もうすぐ5周年です。
そこのオーナーの渡辺さんがフラッと港南台の店に来られたのはオープンの1年前ですから今から6年前。今も変わらないいい感じのガハハ笑顔で「レストランつくるんだけどさあ、シェフはいい人が決まっていてこれから建物建てるんだけど、店の作りはそこそこでいいから庭が評判になるような店にしたいんだ」、ぼくは直感的に「この人とはいい仕事ができるな」と思いました。いい波動を感じたんです。
「住宅メーカーから庭の提案があったんだけど、どうも違う気がしてさ・・・」ぼくはすぐに答えました「まかせてください!」。ぼくが「まかせてください!」と言うときって、いつも頭の中には何のアイデアも絵も描かれていません。だから自信満々に胸を張ってそう言う、その自信には何の根拠もありません。でも大丈夫なんですね。いつもそうでしたから、経験的に、ぼくの「まかせてください!」が出れば大丈夫。
そしてたたき台として提案したのがこのプランです。
その後1年かけてプランの変更と施工をやらせていただいたんですけど、お付き合いが深まるうちにあのときのぼくの直感が当たっていたことを確認できました。まじめで、明るくて、頭の中に夢がギッシリ詰まっている。しかもその夢がカラーなんですね。こういう人って何をやっても成功するんですよね。
明日はこのプランをもとに渡辺さんと組み立て直した各ゾーンのプランを並べてみます。
ガハハ笑顔の良質な波動を放つ「四季の庭」オーナー渡辺さんと、昨日ご覧いただいたプランを叩き台にして打合せを重ね、できあがった庭各所の変更プランがこれです。
ふだん設計しているのは家庭の庭です。そこで暮らしていくご家族が幸せな人生を送っていただくための場所を考え出します。もっと言うと、たまたまぼくと巡り会ったことで「この庭がなかったら、人生はもう少しつまらないものだったかもしれないなあ」と後年思っていただける、そんな庭をつくりたいと、ぼくが手がけるすべてのプランにそういう思いを込めています。
でも今回は「店」ですから、客席数や従業員さんのサービス導線、メンテナンスが楽なことなど実利的な部分をクリアーしつつ、家庭の庭とは違うコンセプトを立てる必要がありました。
それはすぐに浮かんだんですね、設計のテーマ、「上大岡の奥様たちが欲しがる庭」。
上大岡はうちの営業エリアで、それまで数多くの庭をつくっていました。だからその土地柄やそこで暮らす方々の生活イメージは実感としてつかめていたので、「いける!」と。
その思いは実現して、オープンからずっと奥様方の予約でいっぱいの状態が続いて、渡辺さんは「居心地がよすぎて回転率が悪いんだよ」と言いながらもとてもうれしそうでした。ぼくとしても普段と違う仕事がうまくいって肩の荷が下りたような、ホッとした気持でした。
レストランの庭は商業施設です。そこでのプランニングは「非日常」を演出するのが常套手段なんですけど、ぼくがイメージしたのは「日常」でした。ただし、奥様方が「実現したい日常」。
「うちの庭をこんなふうにしたら・・・」というイマジネーションをかき立てる庭を目指しました。
次回は最近増設したガーデンハウスのビフォー・アフターをご覧いただきます。
明日、明後日は仕事の都合でブログをお休みさせていただきます。過去のネタを引っ張り出してお楽しみください。
今年のゴールデンウィークは最後が雨でちょっと残念でしたけど、遊びまわった疲れを取るのにはちょうど良かったのではないでしょうか。
我がチームは例年通りの大忙しで、ぼくも連日庭の話をしゃべりまくっていました。そしてこれもうれしい恒例なんですけど、庭をやらせていただいたお客様が何人も遊びにきてくださって「おかげで楽しい毎日ですよ」「いい庭をつくってくれて感謝してますよ」と身に余るお言葉をたくさんいただきました。こちらこそ、庭を楽しんでいただいている皆様に感謝の気持ちでいっぱいです。お客様に「ありがとう」と言われると、もう天にも昇る心地になります。
では、「四季の庭」の続きを。
今日は最近増設したガーデンハウスをご覧いただきます。
Before 1
After 1
Before 2
After 2
Before 3
After 3
四季の庭では庭の席が大人気で、冬以外は庭席の予約から埋まっていくそうです。気持ちいいですからね、庭での食事。でも問題は夏なんです。真夏の日中は暑いし、奥様方は日焼けも気にされるので・・・、というわけで、庭を感じながら快適に食事を楽しんでいただくために今回のガーデンハウス、となったわけです。
楽々8人座れます。
ライトはリゾートフルにマリーン系で、
塗装はオスモカラー(防腐性能がいいことと、においが少ないので)の白と赤を、湘南をイメージして半透明に塗りました。
色の選択は渡辺さんの奥様で、「明るい人が選ぶとちゃんと明るい建物になるなあ」なんて妙に納得しました。ケーキ屋さんみたいでいいですよね。
完成後、さっそく予約殺到だそうです。いやあよかったです。
明日は5年前、オープン時の庭の様子をご覧いただきます。
「四季の庭」はもうすぐ5周年です。飲食業で5年続くってのは並大抵のことではないんですよ、新規オープンの店は3年で半分になるとも言われているくらいですから。オープンにかかわったものとして、ホッとしつつ、ごひいきにしてくださっているお客樣方に感謝です。
この5年間、うちのお客様と庭の打合せをしている時に「上大岡の『四季の庭』みたいな感じの庭にしたいんです」というお話しを何度も聞きました。そのたびに「やったー!」と内心ガッツポーズ。「上大岡の奥様たちが欲しがる庭」という設計のテーマがうまいことカタチになったんだなあと小躍りする瞬間でした。
ではそのオープン当時の写真をご覧ください。
渡辺さんの店への情熱に応えたいという気持ちと、店舗系の施工では付きものの「期限」、オープンに間に合わせなくてはいけないということもあって、その当時の我がチームの最高メンバーで施工に当たりました。
できあがった時、職人さんたちと感じた達成感、感動は、今写真を観ていてもよみがえってきます。ぼくが思う存分描いた厄介な設計を、みんなが精一杯がんばってつくってくれました。5年経った今見ると「もっとこうすればよかったなあ」という点がなくはないんですけど、その時の感性と技術ではこれがベストでした。おもしろいもので、そのときベストをつくした庭は、後年勝手に育ってくれます。制作者の手を離れて、自分の意思を持って成長するんです。だから色あせない。この庭がまさにそうでした。
明日も5年前の、夜の様子をご覧いただきます。
上大岡にある隠れ家的レストラン「四季の庭」、5年前、オープン当時の夜の写真です。
正直に白状すれば、当時はまだライティングの経験が少なくて照明の効果の具合にもうひとつ自信がありませんでした。今だったらもっと演出効果の高い、非日常的な照明計画を考えたと思うんですけど、あの時は「失敗しないこと」が最優先でした。何といってもそこにお客様が入ってレストランを営業するわけですから。図面上に器具の照射範囲を落し込んだりしながらの設計作業でしたが、結局最後は出たとこ勝負。まあこうして写真を見ると合格点だったかなと。
明日は現在の「四季の庭」の様子です。5年経って庭が趣を増しました。
現在の「四季の庭」をご覧ください。
5年前・・・そして今・・・。今の庭を眺めて様々な思いがありますけど、ひとつとってもうれしく思うことは「5年分成長している」ということです。施工が完成したオープン当時がベストで、あとは年々色あせていくようでは失敗ですからね。
店の入り口も進化しました。
そして庭は、そこに5年間居座った木々や草花が、お互いにうまいこと調和しています。
このペアのカエルも5年間ここに座って庭とお客樣方を見つめていました。今やこの庭で暮らしている夫婦のようです。
庭木の手入れが済んだテラス席は、春そのものの日差しと新緑の空気で、「こりゃあ予約が入るわけだ」と納得の気持ちよさです。
「四季の庭」ですから、季節を感じられるようにしつつ、あくまでも「レストラン」ですから極力メンテナンスが楽な庭に仕立ててあります。
この「メンテナンスが楽な庭」というのが、普段お聞きするお客様からのご要望でとても多くて、ですから今日は、そのためのポイントをいくつかご紹介しようと思います。
まず歩いたり過ごしたりするエリアと植物を植えるエリアをしっかり分けること。導線計画とゾーニングがほとんど考えられていないということが、雑草取りのための庭みたいになってしまっている場合の共通点なんです。
同時に、どの植物にも通路から手が届くというのも手入れを楽にする秘訣です。
次にグランドカバーに何をどれくらい植えるかということ。
ガーデニングを楽しむ庭では手入れイコール楽しみですからバラエティーに富んだ植物を植えていただければいいんですけど、「手入れが楽な庭」を目指すなら、常緑の放ったらかしでいい植物(ヘデラ、クリスマスローズ、ラベンダーなど)で地面の7~8割を植えつぶすことをお薦めします。残りの2、3割に一年草やアクセントになる草花を植える。そうすることで緑濃い庭の中に季節の花が咲いているという雰囲気になります。
そうやって植えた手入れいらずのグランドカバーを早くはびこらせて、土が見えない状態にすること。これもコツです。
「雑草取りが大変で・・・」という場合、たいがい雑草を丁寧に取って土を出しています。当然そこにはまた元気な雑草が生えてくるわけでして、これが「雑草取りのための庭」なのです。自分が植えた植物が茂って、庭のどこを見ても土が見えない状態の庭は、実は雑草取りの苦労がほとんどありません。雑草も日当り風通しなどの環境が整わなければ成長できないのです。
1、歩く場所と植える場所をハッキリさせる
2、植栽スペースの7~8割にグランドカバーを植える
3、土が見えなくなるまで植えた植物をはびこらせる
以上の3点に加えて「風景にメリハリを付ける」ということも書き添えておきましょう。小物や植物の構成で庭のあちこちにポイントになる風景(見せ場)をこしらえるんです。そうすることでひとつの庭の中にいくつかの「維持したい景色」が生まれます。雑草取りはマイナス域の作業、つまらないですよね。お気に入りの見せ場を維持・成長させることはプラス域のことですから、楽しみながら、結果的にメンテナンスが完了している、という具合になるでしょう。
おっと、もうひとつ大事なことがありました。
通路やテラスをつくるときに、周囲の土よりも高く設定することです。いつもカラッとしていて、植え替えをして土が膨らんでも大丈夫なようにしておくと、落ち葉の掃除もしやすいし、手入れも気持ちよく行えます。
「手入れが楽な庭」をご希望の方は、この5つのポイントをチェックしてみましょう。
「四季の庭」にある井戸はもともとそこにあった古井戸です。一般的にはお祓いして空気穴のパイプを差し込んで埋めてしまうんですけど、ぼくとしては即座に「こりゃあおもしろい!」と思ってしまって、アンティークのポンプを取付けることを提案しました。プランについてはほとんどおまかせだったオーナーの渡辺さんだったので実現したものです。
この5年間で、たぶん4千人以上の人がこのポンプのレバーを動かして、噴き出す水に歓声を上げただろうと思います。あのときひらめいて良かったです。そしてそんなぼくの思いつきをおもしろがって実現させてくださった渡辺さんに感謝です。
庭ってのは庭単独では生まれなくて、家(建築の設計者)があって、そこで暮らす人がいて、そして庭なんですね。今回の場合だったら渡辺さんとの出会い、相性のよさが大きかったなあ。それと住宅メーカ(三井ホーム)とうまいこと協力体制が取れたこと。庭は庭のつくり手だけではいい仕事にならないんです。
撮影の日はたまたま花が少ないタイミングで、彩りは少ないんですけど、それでも新緑が美しかったので写真も何とか絵になりました。普段は季節ごとにもっと花が多いんですよ。
商いに損益分岐点があるように、表現にも分岐点があります。ある程度以上まで持っていかないとゼロに等しい、場合によってはマイナスの結果が待っています。だから表現する人ってみなさんこだわるんですね。「そこそこ」で妥協してたらどこまでやっても結果はゼロかマイナスになってしまいますから。
そうは言ってもぼくの場合、端から端まで、何もかもにこだわるわけではありません。ほんのいくつかのポイントだけです。でないと、妙な緊張感が出て「やりすぎ」になってしまい、これまた失敗になってしまいます。全体的には「間が抜けている」感じで、よく言うんですけど「花を生ける前の器」だと考えると、そのバランスをとりやすいかなあって思います。
施工上の仕上げでもそうで、あまり細かいところにまで意識が行った現場は、たいがい「楽しくない庭」になってしまうもの。庭は楽しんでナンボですから、ポイントだけ押さえればあとはへたくそなくらいで丁度いいんです。うちの職人さんの中には一生懸命にこの「へたくそ感」を出そうとしてくれる人もいて、ぼくとしてはそういうのがたまんなくうれしいんですよ。庭は庭、美術品ではないですからね。
庭を成功させる分岐点を(パーフェクトを100として)70としましょう。お客様のご要望が最初から30の場合、それをそのまま実現したとしても結果はゼロです。分岐点を超えていませんから。だからぼくはそういう仕事はしません。依頼をお断りすることはありませんが、そういうときはご要望と外れるのを承知で、言わば頼まれてもいないのに、おせっかいな提案をすることにしています。それは、とにかく点数が71点まで行かないことには、その庭に意味が生まれないからなんです
上大岡の駅裏にある隠れ家的レストラン、「伊太利庵厨房 四季の庭」。オープン1年前からプランニングして、もうすぐ5周年です。5年分、庭はいい感じを増して「庭が話題になるレストラン」という注文をクリアーできたかなって、ひとりニンマリしながら撮影しました。
常連の奥様方の口コミでけっこうな話題のレストランになり、今では「予約が必要な店」として大人気です。秋には道路からの入り口付近も改修する計画がありますし、もう「隠れ家的」ではなくなって「上大岡の名店」。
庭席は今の時期が最高に気持ちいいですから、ぜひ予約を入れてみてください。もちろん料理も最高、そしてスタッフも最高ですよ。
今日で「四季の庭」はおしまいにして、明日から訳あって急きょ閉鎖になった新山下ホームズの「Garden Friend」をご覧いただきます。